喜寿のフライマン、ファールドリーダーで〝一里一匹〟の夏山女魚を釣る

喜寿のフライマン、ファールドリーダーで〝一里一匹〟の夏山女魚を釣る

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ファールドリーダーなるモノを貰った。知人がひっそり作っているもので、だから使われ方もひっそりである。頑迷で食わず嫌いの喜寿アングラーだけれど団塊の世代らしく人と変わったことをしたいという困った根性もあるので、ひっそり、なんて言葉にちょっと惹かれて使ってみた。

島根県・高津川で試す

さてファールドリーダー君。当初は、馬毛やシルクを撚(よ)って作られていたというからフライフィッシングの誕生と重なる歴史があると察せられる。その後、ナイロンリーダー全盛の時代になっても、ひっそり使われ続けてきたとなると、これはもう信仰に近い形で受け継がれてきた伝説の糸といえる。

知人からは「釣り人の意図を糸が汲み取り、いとも簡単にフライを運ぶ」と、クドイ前置きとともに貰ったのだが、どうなるだろうか。

今回のファールド君、7.5ft。もっと短いのを使う人もいるようだが、まずは日頃のナイロンを使う要領で使ってみなはれと渡されていた。フライラインの先にファールド君、そしてティペット。普段のナイロンの場合と変わらない組み立てである。そのまた先にはピーパラ14番。夏の高津川でEHC(エルクヘアカディス)がウグイに気に入られて往生したので、パイロットには使わないでいる。

今回、高津川漁協の「渓流釣ガイドマップ」をもとに未踏の河川を踏破するつもりであったが、どれも深い夏草に覆われており、結局、馴染みの高津川水系紙祖川に行くことにした。

紙祖川、幽玄の渓。 ©釣りビジョン
紙祖川、幽玄の渓。 ©釣りビジョン

ファールドリーダーでゴギを掛ける

どこの岸辺も動物に混じってヒトの足跡、もう夏の渓に秘密はないのだ。

竿先からファールド君を引き出す、糸をツンツンしてみる、モスグリーンが渓の緑に溶け込んでいいじゃないか。柔らかいので投げるのに難儀するのかと思えば、意外にもうまいこと力がだんだん弱まりながらフライに伝わりフンワリ落ちる。初級者から脱したいとあがいている喜寿アングラーのアキュラ〝シー〟がBくらいになったような気にさせられた。ポリエステル製だといっていたからスレッドを使ったのかもしれない。撚り糸にフロータントをなじませていたので軽く漂い、ドラグの掛かりが遅い。

そんなファールド君に助けられながら森に覆われた瀬にたどり着いた時だった。岩に沿った樋状の流れにフライが落ちた途端、流れるフライと浮いて来た黒い影が一点で交差し、ガバッと水が膨らんだ。竿を跳ねる、掛かった。ゴギ(中国山地に棲むイワナの亜種)だった。さて、その後は先行の釣り人の後を追ってしまいヤマメを1匹掛けただけで終わった。

写真では伝わらないが、ここまで来る道中、本気の蜘蛛の巣に難儀した。 ©釣りビジョン
写真では伝わらないが、ここまで来る道中、本気の蜘蛛の巣に難儀した。 ©釣りビジョン
ここだ、ここに届いた時だった。 ©釣りビジョン
ここだ、ここに届いた時だった。 ©釣りビジョン
名に負うとおり、岩から分泌された金の雫。 ©釣りビジョン
名に負うとおり、岩から分泌された金の雫。 ©釣りビジョン
夏山女魚、大きさは問題じゃないんだ。 ©釣りビジョン
夏山女魚、大きさは問題じゃないんだ。 ©釣りビジョン

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