ぎょう虫症の前兆や初期症状について
ぎょう虫に感染した場合、症状がない方もいますが、症状が出る場合は主に肛門部の痒みとして現れます。
ぎょう虫の卵が口から入り、孵化して成虫になり、メスの成虫が新しく卵を産むまでのサイクルに1ヶ月〜2ヶ月かかります。ぎょう虫症の主な症状である肛門の痒みは、産卵のために成虫が肛門付近を移動する際に生じます。このため、ぎょう虫の卵が口から入ってから成長したメスが卵を産みつけるまでの1〜2ヶ月が潜伏期間となります。
肛門の痒みにより、夜よく眠れなかったり、日中落ち着きがなくなったりする方もいます。
成虫は尿道・膣・外陰部などに移動することもあります。
ぎょう虫症による肛門の痒みで掻いて炎症を起こした皮膚が、細菌に再感染することもあります。
ぎょう虫のオスは交尾後、寿命を迎えてそのまま便と共に排泄されます。ぎょう虫のメスは、産卵後に寿命を迎えます。ぎょう虫のオスの寿命は約1ヶ月、ぎょう虫のメスの寿命は約2ヶ月です。このため、口から入ったぎょう虫はやがて自然に寿命を迎え、便に排泄されます。
しかし、ぎょう虫の卵が再度口に入って再感染することで、自然治癒せずぎょう虫症が続くことがあります。
ぎょう虫症は、子どもの場合は小児科、成人の場合は内科、消化器内科などで治療に対応しています。肛門の痒みの原因がぎょう虫症であるかはっきりわかっていない場合には、肛門科を受診するとよいでしょう。
ぎょう虫症の検査・診断
ぎょう虫は、生息している腸内で産卵するのではなく、肛門付近まで移動して産卵します。
ぎょう虫症の検査は、セロファンでできたテープを肛門に貼り付け、卵の存在を確認します。入浴や排泄のあとで、肛門から卵が除去されてしまわないように、朝起きたタイミングでぎょう虫検査をします。
採取したセロファンテープを顕微鏡で観察すると、楕円形で透明な卵がみられ、卵の中に幼虫が観察できます。
テープ検査や肛囲清拭などの肛囲検査法の検出率は50〜60%といわれています。
1匹のメスは一生に1回しか産卵しないため、ぎょう虫の数が少ない場合は、1回の検査では卵が採取できないことがあります。このため、多くの場合、シール検査は2日連続で実施します。
ぎょう虫は集団感染をすることもあるため、学校や集団などでの流行状況、家族の状況などを聴取します。肛門周囲や便にぎょう虫の成虫が確認されることもありますが、必ず確認できるわけではありません。テープ法でぎょう虫の卵が発見された場合や、肛門周囲に成虫が確認された場合にぎょう虫症の確定診断となります。

