ぎょう虫症の治療
ぎょう虫症の治療は、駆虫薬(くちゅうやく)を使用します。寄生虫を麻痺させて腸管に留まらせなくするピランテルパモ酸塩などの抗寄生虫薬を内服します。ピランテルパモ酸塩で治療が困難な場合は、メベンダゾールまたはアルベンダゾールでの治療を試みます。
ぎょう虫症の薬を服用したときの駆虫率は90%程度といわれています。駆虫薬は、孵化していない卵を駆除することはできません。また、若いぎょう虫に対してもやや効果が劣るため、多くの場合1回目の服用後10日から2週間後に2回目の投与をします。駆虫薬の投与後2〜3週間経過してから、テープ検査を実施し効果を確認します。
患者さん本人のみが、ぎょう虫治療をしても、家族に感染者がいると家族間で再感染が続いてしまうため、家族や介護者も同時に服薬します。また、家の中に虫卵が残っていると再感染が起こる恐れがあります。
治療中は、布団を干す、ドアノブ・蛇口など手で触る場所やトイレの清掃を徹底します。患者さんや家族の身体の衛生管理も大切です。患者さんは毎日シャワーを浴び、肛門を清潔に洗い流し、爪を短く切るようにします。
ぎょう虫の卵は、室温で2〜3週間程度感染力を保つといわれています。通常の清掃でぎょう虫の卵を完全に行うことは困難なため、手指をこまめに洗うことが重要です。
ぎょう虫症になりやすい人・予防の方法
ぎょう虫症は、小児で多くみられます。また、家族感染、集団感染するため、子どもがいる家庭の方や介護施設の入居者にもみられます。
ぎょう虫症は、中間宿主(感染を媒介するほかの生き物)を介さず、人から人に感染する特徴があります。このため、人口密度が少ない地域では少なく、ある程度人が集中している地域に多いとされています。
ぎょう虫に対するワクチンはありません。ぎょう虫症の予防は、ぎょう虫の卵が口に入らないようにすることです。
ぎょう虫症の予防には、手洗いは大変重要です。トイレのあと、おむつ替えのあと、食事や料理の前には必ず手を石鹸で洗いましょう。
また、肛門付近を触ると、ぎょう虫の卵が爪に付着します。爪は短く切っておくことも大切です。
指しゃぶり、爪かみの癖があると、ぎょう虫の卵が口に入ってしまうリスクが上がるため、普段から指しゃぶり、爪かみをしないようにしましょう。
ぎょう虫の卵はシーツ・布団カバーなどの寝具・下着・衣類につくため、こまめに洗濯をしましょう。虫の卵は直射日光に弱いため、洗濯物は外に干して日光消毒するとよいでしょう。
床にもぎょう虫の卵が落ちるため、掃除機での床掃除もこまめにする必要があります。
関連する病気
腸炎肛門周囲炎
膣炎
睡眠障害貧血細菌性皮膚感染症
参考文献
厚生労働省検疫所
イエローブック ぎょう虫症
CDCぎょう虫症
広島県登録衛生検査所|株式会社リンショー|ぎょう虫卵検査
蟯虫症の治療方法と感染防止対策
社団法人千葉県臨床衛生検査技師会一般検査研究班
質疑応答7月
ガイドラインP73蟯虫

