幻覚の治療と対応方法

幻覚症状があるときの受診目安を教えてください。
幻覚はストレスや睡眠不足で一時的に現れることもあれば、精神疾患や脳の病気が原因となることもあります。すぐに受診すべきケース:幻覚と現実の区別ができず、行動に影響が出ているなど意識障害や身体の動きの異常を伴う場合。
できるだけ早めに受診すべきケース:幻覚が繰り返し出現し持続していたり、妄想が伴っていたりする場合やレビー小体型認知症の可能性が疑われる場合。
様子をみてもよいケース:極度のストレスや疲労時、一時的に幻覚が見える場合。ただし幻覚が続き、悪化する場合は早めに病院を受診しましょう。
上記に該当する場合は、医療機関への受診が推奨です。
幻覚の診断方法を教えてください。
幻覚の診断では、原因を特定することが重要です。精神疾患や脳の病気、薬の影響などさまざまな要因が考えられるため、医師は以下の方法で診断を行います。幻覚の種類や頻度を問診で確認
神経や認知機能の異常がないか診察
精神疾患の診断基準をチェック
脳の病気を画像検査で調べる
薬や身体の病気が原因でないか血液検査で調べる
睡眠障害が関係していないか検査することもある
問診と検査を組み合わせて原因を明らかにし、適切な治療につなげていきます。
幻覚の治療方法はありますか?
幻覚の治療法は原因によって適切な対処を行うことが大切です。それぞれに合わせた治療方法を紹介します。まず統合失調症や精神疾患が原因の治療法は、抗精神病薬+心理療法+生活改善となります。抗精神病薬を服用することで、脳のドーパミンによる過剰な働きを抑えることが可能です。また心理療法でストレスを減らす方法を身につけたりリラックスできる環境を整えたりすることが大切です。またレビー小体型認知症が原因の治療法は、認知症治療薬+環境調整となります。認知症治療薬で脳内の伝達を助け、幻覚の頻度を減らします。また患者さんが安心できる環境を作ることも有効な手段です。そしてストレスや睡眠不足が原因の治療法は生活習慣の改善+リラックス法となります。7〜8間程の睡眠をとり、趣味や運動に時間を充てることでストレス解消を促してみましょう。
幻覚症状があるときの対応方法を教えてください。
幻覚が起こると本人だけでなく、家族や周囲の方も不安や混乱を感じることが多いため、適切な対応をすることが大切になります。まず患者さんに幻覚が起こってしまった場合、落ち着いて深呼吸しましょう。そうすることで、幻覚を客観視することができます。幻覚に集中しすぎると不安が強まるため、ほかのことに注意を向けることが有効です。また家族や周囲の方が対応するときのポイントとしての例を紹介します。認知症:否定せずに安心させる
統合失調症:ストレスや環境の変化に弱いことを理解し配慮する
また幻覚の原因となるのは統合失調症やてんかん、睡眠不足や精神疾患などさまざまです。
編集部まとめ

幻覚とは実際には存在しないものを見る現象のことで精神疾患や脳の病気、薬の影響、ストレスなどが原因です。種類や症状はそれぞれ異なる幻覚を伴うという特徴があります。
また認知症で幻覚症状が現れることもあり、レビー小体型認知症やアルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症などが挙げられています。幻覚症状が認知症の進行とともに現れた場合は、家族や介護者が否定せずに寄り添うとよいでしょう。
また幻覚症状があるときの対応方法は、まずは本人が落ち着いて幻覚を客観視することが大切になります。
家族や介護者は話を合わせ過ぎず適度な距離を保ち、ストレスや疲労が原因ならリラックスできる環境を作ることも症状の緩和につながります。
参考文献
ヘルプノート統合失調症|10代、20代のメンタルサポートサイト心もメンテしよう厚生労働省
和田健先生に「せん妄」を訊くQ1.「せん妄」とはどのような病気ですか?|公益社団法人 日本精神神経学会

