近年、「最期は住み慣れた自宅で迎えたい」と考える方も増えています。しかし、在宅での看取りにはどのような準備が必要なのか、どんな医療が受けられるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか? そこで、自宅で最期を迎えるためにまずやるべきことについて、「医療法人明医研」の市川聡子先生に解説してもらいました。

監修医師:
市川 聡子(ハーモニークリニック)
医療法人明医研理事長。総合診療を専門とし、プライマリ・ケア、認知症ケア、緩和ケアに精通。同法人のハーモニークリニックで外来や訪問診療をおこなう傍ら、大学医学部での講義や医学生・研修医の指導にあたっている。日本専門医機構認定総合診療専門医、日本専門医機構総合診療専門研修指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医・指導医、慶應義塾大学医学部客員講師、埼玉医科大学医学部非常勤講師。
編集部
どんな人が自宅で最期を迎えることを選んでいるのでしょうか?
市川先生
自宅での生活を大切にしたい人、家族やペットと一緒にできるだけ長く過ごしたい人などが、自宅で最期を迎えたいと希望されることが多いです。病院では起床・消灯時間が決められていたり、小さなお子さんとの面会ができなかったりする場合もありますので、そういったルールに縛られたくないという人も、自宅で最期を迎えるという選択をすることが多くあります。
編集部
さまざまな希望に応じられるのですね。
市川先生
また、病院では禁止となっているお酒、好きな食べ物などの嗜好品も、自宅であれば前向きに検討してもらえる場合も多いので、「最期は自分らしく過ごしたい」という想いから、病院から自宅に帰ることを検討する方もいらっしゃいます。
編集部
自宅で最期を迎えることを希望している場合、まず何をすればいいですか?
市川先生
一番大切なのは、自宅で最期を迎えたいという本人と家族の意思、想いの共有です。それを受けて、医療・介護で患者さんに関わるすべての関係者が、患者さん本人とその家族を支えていきます。まずは、本人や家族でよく話し合い、意思決定することが大事です。
編集部
自宅で最期を迎えるために、事前に準備しておくべきことは?
市川先生
在宅医療や介護の体制を整えることをまずはおこないましょう。まだ訪問診療を受けていない場合、主治医に訪問診療への移行について相談してみましょう。介護保険の申請や、在宅医療や介護を受けるための段取りがわからない場合は、お住まいの地域包括支援センターが相談に乗ってくれます。通院中の病院に地域医療連携室がある場合は、担当者が病状に合わせた具体的な相談に乗ってくれます。すでに訪問診療を受けている場合は、訪問診療の担当医師やケアマネージャーに相談して、必要な体制を整えましょう。そして、繰り返しになりますが。容体が悪化したときの対応についても話し合っておきましょう。
編集部
最後に読者へのメッセージがあればお願いします。
市川先生
自宅で最期を迎えるには、本人と家族の意思、想いの共有が大切であると先ほど述べましたが、時期や状況に応じて気持ちや考え方が変わることもあります。希望する治療やケアについて、医療従事者、支援者も交えてよく話し合うこと、また、その時々の状況に応じて話し合いを重ねることが大切です。
※この記事はメディカルドックにて<「自宅で最期を迎える」ために準備しておくべきことをご存じですか? 訪問診療医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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