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「少しだけ」のつもりが深夜まで…寝る前のスマホが『睡眠負債』を生み出す仕組み

「少しだけ」のつもりが深夜まで…寝る前のスマホが『睡眠負債』を生み出す仕組み

寝る前のスマホ習慣は、睡眠負債を積み重ねる大きな原因です。ブルーライトによるメラトニン分泌の低下だけでなく、SNSや動画による脳の興奮状態も睡眠の質を下げます。なぜ「少しだけ見る」が深夜化につながるのか、睡眠不足が慢性化する仕組みをわかりやすく解説します。

後平 泰信

監修医師:
後平 泰信(医療法人徳洲会札幌もいわ徳洲会病院)

2009年に旭川医科大学医学部を卒業。循環器内科のスペシャリストとして、長年、札幌東徳洲会病院を中心に救急医療や心疾患の治療に従事。2023年には睡眠・無呼吸・遠隔医療センター長を歴任し、最新技術を用いた診療体制の構築に尽力。2024年より病院長に就任し、2025年10月の「札幌もいわ徳洲会病院」への名称変更。日本循環器学会 認定循環器専門医。日本睡眠学会 総合専門医・指導医。日本スポーツ協会公認 スポーツドクター。日本内科学会 認定内科医。

寝る前のスマホが「睡眠負債」を生み出す仕組み

睡眠負債とは、毎日少しずつ積み重なる睡眠不足が、借金のように蓄積されていく状態を指します。寝る前のスマホ操作がこの睡眠負債を引き起こす仕組みを理解することが、習慣を見直す第一歩になります。

ブルーライトがメラトニン分泌を妨げる

スマートフォンの画面から放たれる青みがかった光(ブルーライト)は、目の奥にある網膜を通じて脳に「昼間の明るさ」と誤認させます。脳は光の信号をもとに体内時計を調整しており、明るさを感知するとメラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの分泌を抑えてしまいます。

メラトニンは夕方から夜にかけて徐々に分泌量が増え、身体に眠る準備を促す役割を担っています。就寝前にスマートフォンの画面を長時間見続けると、このメラトニンの分泌タイミングが後ろにずれ、寝付くまでの時間が長くなることが知られています。

その結果として「眠れない」「眠りが浅い」という状態が毎晩続き、必要な睡眠時間が確保できなくなります。1日あたり30分の睡眠不足でも、1週間で3時間以上の睡眠負債となり、身体と脳への影響が徐々に表れやすくなります。

睡眠の「質」を下げるもうひとつの要因

ブルーライトだけでなく、スマートフォンのコンテンツそのものも、睡眠の質を低下させます。SNSのタイムラインや動画配信サービスは、次々と新しい情報や刺激を提供する設計になっており、脳を覚醒状態に保ち続けます。

人の脳は、眠りにつく前に少しずつ活動を落ち着かせていく「準備時間」を必要とします。ところがスマートフォンの操作中は、感情が揺さぶられる投稿や興味を引くコンテンツが次々と流れてきます。驚きや笑い、悲しみなどの感情反応は、交感神経(活動モード)を刺激し、眠りに入るために必要な副交感神経(休息モード)への切り替えを遅らせます。

こうして「眠るつもりでスマ-トフォンを手にしたのに、気づけば深夜になっていた」という経験が積み重なることで、睡眠負債は着実に増えていきます。

まとめ

寝る前のスマホ操作は、睡眠負債の蓄積、脳の疲労深化、体内時計の乱れ、精神的な健康への影響など、さまざまな問題を引き起こす習慣です。その影響は一夜にして表れるものではなく、日々少しずつ積み重なるため、気づいたときには深刻な状態になっていることもあります。まずは今日から就寝前のスマートフォンを手放して、健やかな眠りへの一歩を踏み出してください。それでも慢性的な睡眠の問題が続く場合は、ためらわずに医療機関を受診することをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」

厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」

厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」

厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計」
配信元: Medical DOC

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