
目力…という言葉を超えて“眼力”が凄まじい「大都会 PARTⅡ」。石原裕次郎、渡哲也、そして松田優作という昭和の三大スターの競演が豪華な本作は、その3人をはじめとにかく男臭く、彼らの覇王のような“圧”が凄まじい。石原プロモーション制作とだけあって、今では観ることができない、大胆な思い切りの良さが見どころの一つと言えるだろう。コンプライアンス重視の現代では絶対に不可能な、激しくて熱い狂気とも言えるエンターテインメントがここにはある。そんな「大都会 PARTⅡ」が、5月16日(土)深夜0時30分よりCSホームドラマチャンネルにて4話連続放送される(以降、毎週土曜放送)。
■映画のスケールを茶の間に持ち込んだ“テレビ映画”という革命
1976年1月、石原プロモーションが映画製作で培ったノウハウを活かし本格的な連続テレビ作品として、“石原プロ テレビ第一回作品”と銘打ち「大都会 -闘いの日々-」の放映を開始した。その後、「大都会 PARTⅡ」「大都会 PARTⅢ」とシリーズ化され、1979年9月までの約3年半で全132話も放送された人気作。
なかでも、「大都会 PARTⅡ」は“人間ドラマ”から“ハードなアクションとユーモア”へ大きく路線変更がされ、そのエンターテインメント性の高さで視聴率も高騰。「大都会」シリーズの中で最もファン人気が高い作品と言える。
渡が演じる黒岩の所属は城西署捜査四課から捜査一課になり、石原も新聞記者から渋谷病院の外科医・宗方悟郎へと役柄を変え、“刑事と医師” 罪を犯した者を追いつめる男と、犯罪によって傷つけられた者を助ける男。人命を守るという共通した目的を抱き、互いに協力し合い、時に対立しながらも、強い絆で結ばれた二人の男の関係が、前作を引き継ぐ形で描かれている。
そこに、松田優作が演じる血気盛んな若い刑事・徳吉がさりげないユーモアを添え、物語にアクセントを生み出す。余談だが、本作は松田のアドリブやコミカルな演技が確立された記念碑的な作品でもあり、のちの「探偵物語」に繋がる原点のような軽妙さも楽しむことができる。
■裕次郎・渡・優作…画面が割れんばかりの“眼力”がぶつかり合う奇跡の競演
渡のクールだが頑固一徹な昔気質な刑事と、石原の腕がよく柔軟な思考を持ったどこか前衛的な医師。一見真逆な性質だが、足りないところを自然に埋め合うような相性が良い二人。そこに松田の野性的でどこか愛らしい、若さ漲る刑事が良いスパイスとなって混ざり合う。全員画面が割れるのではと錯覚するほど、眼力がとてつもなく強いのだが、三者三様の鋭さと男臭さがあり、それを楽しむのもまた一興と言える。
■“石原プロ”ならではの大胆さと大迫力
何より、本作の見どころは石原プロならではの“テレビ映画”ではないだろうか。映画の迫力をテレビドラマに取り入れているため、実に斬新で見応えがあるのだ。
たとえば、第1話からたっぷりとした尺で、テレビドラマとは思えない大迫力なカーアクションが繰り広げられる。対向車線も歩道も関係なく刑事と犯人でカーチェイスを展開するのだが、カーアクションならではのスピード感と破壊力はさることながら、長尺だからこそ、そこにニワトリの白い羽や炎の赤さといった視覚的なアクセントを取り入れ、視聴者を飽きさせない工夫がさりげなく施されている。第1話は「大都会 PARTⅡ」の入り口だけあり、挨拶代わりに余すところなく本シリーズの面白さが詰め込まれている印象だ。
また他にも昭和時代の石原プロならではの大胆さも魅力の一つ。男臭さの要因とも言える、今となってはパワハラ、セクハラとも捉えられる、時にバイオレンスで時にエロがチラ見えする、明け透けなセリフとシーン。大雑把でガサツな男たちの言動はもはや清々しいとも言えるが、不思議とスッと入ってくる。今とはかなり時代も価値観も変わっているが、当時の時代背景とマッチしてるからなのか特に違和感がない…というよりももはや未知の衝撃とすら感じられて、刺激的で面白い。
■令和ではあり得ない大らかさと、そこから漂う人間臭さ
さらに大胆さで言うと、今では考えられないような矛盾が随所に散らばっていて、それもまた楽しめる。たとえば、死体のはずがまばたきをしたり、脇役たちの少し臭い演技だったり。また今の子役は皆プロの俳優と言えるほど、大人顔負けの演技力が当たり前になっているが、この頃の子役はまだ子どもらしく、それがまた微笑ましくて可愛らしい。
そういった大胆な矛盾は滑稽とも言えるが、むしろ人間臭さを生み、今のドラマとはまた違った不思議な愛着が湧いてくる。そして男たちの眼力と共にその矛盾が癖になるほど、気づいたら本作の世界にのめり込んでいる、そんな唯一無二の変わった中毒性があるのだ。
刑事ドラマだが、犯人を推理するというミステリー要素はほとんどない。眼力でまず視聴者を圧倒し、刑事たちのコミカルな会話と雑さで笑いをもたらし、銃撃戦や暴力、爆発などのド派手バイオレンスなワイルドさで度肝を抜かれる。そして、むさ苦しい男臭さの中に、仄かなエロが加わる絶妙さ。
石原プロらしい人間臭い魅力がたっぷりと詰め込まれた「大都会 PARTⅡ」。その眼力は、視聴者を石のように固めてじわじわと魅了していく。バイオレンス、エロ、そしてまばたきする死体――。石原プロが放つ、あまりに自由で熱い「大都会 PARTⅡ」の世界。その圧倒的な“眼力”に、あなたも射抜かれてみてはいかがだろうか。
構成・文=戸塚安友奈

