“重いウエイト”を持ち上げるのは危険? 心臓を守る運動の適正量とやめるべき症状【医師監修】

“重いウエイト”を持ち上げるのは危険? 心臓を守る運動の適正量とやめるべき症状【医師監修】

中高年の方が高強度の筋力トレーニングを行うとき、心臓や血管には若い頃とは異なる影響が生じる可能性があります。加齢によって動脈硬化やプラークの形成が進みやすくなることや、激しい運動が心筋梗塞の引き金となるメカニズムについて、わかりやすく解説します。ご自身の身体の変化を正しく理解することが、安全な運動習慣への第一歩となります。

本多 洋介

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

中高年が激しい筋トレをすると心臓に何が起きるのか

中高年の方が高強度の筋力トレーニングを行うとき、心臓には若い頃とは異なる大きな負担がかかります。加齢による血管や心臓の変化を理解することが、リスクを避けるための第一歩です。

加齢による心臓・血管の変化

年齢を重ねるにつれて、心臓や血管にはさまざまな変化が生じます。心臓の筋肉(心筋)は心筋が硬くなり、拡張しにくくなり(拡張機能が低下する)、激しい運動に対して心臓が送り出せる血液量の最大量が低下します。また、動脈は硬くなる傾向があり、これを「動脈硬化」と呼びます。動脈硬化が進むと、血管内腔が狭くなり、血液の流れが滞りやすくなります。

さらに、血管の内壁には「プラーク」と呼ばれるコレステロールなどの蓄積物ができやすくなります。このプラークは、普段は安定した状態を保っていますが、何らかの強いストレスが加わると破れてしまうことがあります。プラークが破れると血液が固まって血栓を形成し、血管を急激に詰まらせる危険があります。

激しい筋トレが引き金となるメカニズム

高強度の筋力トレーニングは、心拍数と血圧を急激に上昇させます。特に重いウエイトを持ち上げる際に息を止める行為(「バルサルバ法」と呼ばれる)は、胸腔内の圧力を一気に高め、心臓への負荷を著しく増大させます。

この急激な圧力変化が動脈壁に与えるストレスは相当なものです。すでに動脈硬化が進んでいる中高年の方の場合、プラークが破れやすい状態にあるため、激しい運動が引き金となって心筋梗塞を引き起こすリスクがあります。心筋梗塞とは、心臓を栄養する冠動脈が詰まり、心筋(心臓の筋肉)が壊死(えし)してしまう状態です。

まとめ

中高年の方にとって筋力トレーニングは、筋力維持・生活習慣病予防・転倒防止など多くの恩恵をもたらす活動です。しかし、心筋梗塞リスクや関節の破壊というリスクを無視して激しいトレーニングを行うことは、健康を損なう可能性があります。自分の身体の変化を正しく理解し、強度・頻度・休養を適切に調整しながら、専門家の指導のもとで安全に取り組むことが大切です。気になる症状や不安がある方は、ためらわずに内科や循環器内科、整形外科への受診を検討してください。

参考文献

厚生労働省「身体活動・運動」

国立循環器病研究センター「心筋梗塞 (Myocardial infarction: MI) とは」

日本整形外科学会「変形性膝関節症」

日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」

配信元: Medical DOC

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