C型肝炎の治療
C型慢性肝炎に対する治療の目標は、HCVを体内から排除することです。以前はインターフェロン(ウイルスを抑える薬)を用いた治療が主流でしたが、現在はインターフェロンを使用しない「インターフェロンフリー」治療が一般的です。この治療法は、飲み薬だけで行われ、副作用も少なく、短期間で治療が完了します。
1992年以降、日本ではインターフェロンを基本にした治療が行われてきました。リバビリンという飲み薬を併用することで効果を高め、ペグインターフェロンという週に1回の注射で済む薬も開発されました。しかし、インターフェロン治療は副作用が多く、効果が不十分であるため、現在ではほとんど行われなくなりました。
2014年9月から、日本ではインターフェロンを使わない飲み薬だけの治療「インターフェロンフリー」が始まりました。これにより、慢性肝炎から代償性肝硬変(軽度の肝硬変)までの初回治療の場合、95%以上の確率でウイルスを排除することが可能となりました。非代償性肝硬変(進行した肝硬変)でも90%程度の確率でウイルスを排除できます。インターフェロンのような副作用が少なく、さまざまな合併症を持つ患者さんでも安全に治療ができます。
抗ウイルス薬は非常に高価ですが、肝がんの合併がない患者さんには医療費助成制度があり、自己負担は少額で済みます。
一部の患者さんには、ウルソデオキシコール酸(内服)やグリチルリチン配合剤(注射)などで肝機能を正常に保ち、肝炎の進行を防ぐ肝庇護療法が行われることがあります。
C型肝炎になりやすい人・予防の方法
C型肝炎のリスクが高い人は、以下のような特徴があります。
過去に輸血や大きな手術を受けた人
特に1992年以前に輸血や手術を受けた人は、HCV感染のリスクが高いです。 注射薬物の使用者
注射器を使い回すことでHCVが広がる可能性があります。 不適切な医療処置を受けた人
医療器材が十分に消毒されていない環境での処置を受けた人もリスクが高いです。 HCV感染者の家族
家庭内で血液に触れることがある場合、感染リスクが高まります。
現在、C型肝炎ウイルスに対するワクチンは存在しません。したがって、感染予防には次のような対策が重要です。
他人の血液に触れない
感染者の血液に直接触れることを避ける。 医療器材の適切な消毒
病院などで使用する医療器材が十分に消毒されていることを確認する。 安全な注射器具の使用
注射器具は使い回さず、使い捨てのものを使用する。
また、C型肝炎の早期発見と治療も予防に役立ちます。定期的に健康診断を受け、HCV感染の有無を確認することが重要です。特に、過去に輸血や大きな手術を受けたことがある人や、リスクの高い行動を取ったことがある人は、積極的に検査を受けましょう。
関連する病気
肝硬変肝がん
肝線維症
脂肪肝
参考文献
厚生労働省「C型肝炎について」
日本肝臓学会「C型肝炎治療ガイドライン」

