急性大動脈解離の代表的な症状
急性大動脈解離の際に現れる症状は多岐にわたりますが、その多くが命に直結するサインであり、早期の発見と迅速な対応が生死を分ける鍵となります。ここでは、特に注意すべき代表的な症状を3つ取り上げます。
突発的な胸や背中の痛み
急性大動脈解離でもっとも典型的な症状が、突如として現れる激しい胸部や背部の痛みです。「引き裂かれるような痛み」「焼けつくような痛み」と表現されることもあり、痛みが胸から背中、さらに腹部や下肢へと移動していくこともあります。これは解離が広がっている兆候と考えられます。高齢の方では軽い腰痛程度にとどまる場合もあり、注意が必要です。こうした痛みが出現した際に自宅で様子を見るのは非常に危険なため、ただちに救急車を呼び医療機関を受診する必要があります。
突然の意識消失(失神)
急性大動脈解離によって心臓や脳への血流が遮断された場合、前触れなく意識を失う「失神」が起こることがあります。本人に痛みの自覚がないまま倒れてしまうケースもあるため、周囲の人が異変に気づくことが重要です。失神は心臓の周囲に血液がたまる「心タンポナーデ」や、脳に向かう動脈の解離による血流低下が原因となります。このような状態を見た場合は、迷わず救急要請を行い、救命救急センターや循環器系の専門科での対応が必要です。
手足の麻痺や言語障害などの神経症状
解離が脳に血液を送る動脈に及ぶと、脳梗塞に類似した症状が現れることがあります。たとえば、「手足が動かしにくい」「言葉がうまく出ない」「ろれつが回らない」といった症状や、両下肢の突然の麻痺やしびれが現れることもあります。これらは大動脈の枝にあたる血管が閉塞し、臓器や神経への血流が遮断されることが原因です。見た目は脳卒中に似ていても、急性大動脈解離の可能性を否定できないため、全身の評価と緊急治療が不可欠です。循環器内科、心臓血管外科、または救急科をすぐに受診してください。
急性大動脈解離を予防する可能性の高い食べ物
急性大動脈解離を確実に防ぐと証明された食品は現時点では存在しませんが、発症の背景となる生活習慣病を予防する食生活は、結果としてリスク低下に貢献します。ここでは、血管の健康維持に良いとされる代表的な食品を3つ紹介します。
野菜や果物
カリウムには余分なナトリウムを体外に排出して血圧を下げる働きがあり、食物繊維は脂質や糖分の吸収を穏やかにすることで、血糖値やコレステロール値の管理に役立ちます。さらに、緑黄色野菜に含まれる抗酸化物質やビタミンKは、血管の柔軟性や健康維持にも良い影響を与えるとされています。バナナ、ほうれん草、アボカド、海藻、玄米などを積極的に取り入れるとよいでしょう。
発酵食品
納豆や味噌、ヨーグルト、キムチなどに含まれる納豆菌や乳酸菌は腸内環境を改善し、その結果として血圧や血糖値の安定に貢献すると考えられています。日常的に取り入れることで、血管の健康をサポートする可能性があります。
青魚
サバ、イワシ、サンマなどの青魚には、EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。これらは血液の流れを良好に保ち、中性脂肪を減らす働きがあり、動脈硬化の進行を抑える効果が期待されます。

