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気象災害が起こりやすいタイミングの一つが梅雨です。この時期は停滞する梅雨前線の影響で線状降水帯が発生しやすく、集中豪雨によって毎年のように各地で甚大な被害が出ています。梅雨入りが近づいている今の段階から、改めて大雨への備えを見直しておくことが大切です。今回は2026年の梅雨の見通しや大雨のリスク、注意すべきポイントなどを紹介します。
2026年の梅雨入りは?
気象庁の長期予報によると、本州の多くが梅雨入りとなる6月は、平年と同様に曇りや雨の日が多い見込みです。このため、今年の梅雨入りは全国的に平年並みのタイミングとなる予想です。
今年の梅雨の傾向
今年の梅雨は、高温と梅雨入り直後の集中豪雨への警戒が必要です。以下は、気象庁が発表した3か月予報(4月21日発表)における6月の気温・降水量予想です。数字は、平年と比べて「低い(少ない)/平年並/高い(多い)」となる可能性を確率(%)で示したものです。
| 地域区分 | 気温 | 降水量 |
| (低い/平年並/高い) | (少ない/平年並/多い) | |
| 北日本(日本海側) | 20/30/50 | 30/30/40 |
| 北日本(太平洋側) | 20/30/50 | 30/30/40 |
| 東日本(日本海側) | 10/30/60 | 30/30/40 |
| 東日本(太平洋側) | 10/30/60 | 30/30/40 |
| 西日本(日本海側) | 10/30/60 | 30/30/40 |
| 西日本(太平洋側) | 10/30/60 | 30/30/40 |
| 沖縄・奄美 | 10/20/70 | 30/40/30 |
気象庁「向こう3か月の天候の見通し全国 (5月~7月)」 表:筆者作成
表を見ると、東日本や西日本で6月の気温が「高い」確率は60%に達しており、高温傾向が強いことがわかります。また、西日本から東日本の降水量については「多い」確率が40%と、平年より雨が多くなる可能性が高くなっています。
このため、梅雨入り前後から真夏のような暑さになる可能性があります。さらに、気温が高いということは、それだけ大気中に蓄えられる水蒸気の量が増えることを意味します。梅雨前線が活発になれば、この蓄積された水蒸気が一気に発達した積乱雲へと変わり、梅雨入り直後から集中豪雨を引き起こす可能性があります。また、梅雨入りが平年並みの見込みである一方、降水量が多めに予想されているということは、梅雨入り直後にいきなり集中豪雨になるリスクが例年以上に高いことを示唆しています。
例年の梅雨入り
| 地方 | 平年の梅雨入り | 昨年の梅雨入り | 平年の梅雨明け | 昨年の梅雨明け |
| 沖縄 | 5月10日頃 | 5月22日頃 | 6月21日頃 | 6月8日頃 |
| 奄美 | 5月12日頃 | 5月19日頃 | 6月29日頃 | 6月19日頃 |
| 九州南部 | 5月30日頃 | 5月16日頃 | 7月15日頃 | 6月27日頃 |
| 九州北部 | 6月4日頃 | 6月8日頃 | 7月19日頃 | 6月27日頃 |
| 四国 | 6月5日頃 | 6月8日頃 | 7月17日頃 | 6月27日頃 |
| 中国 | 6月6日頃 | 6月9日頃 | 7月19日頃 | 6月27日頃 |
| 近畿 | 6月6日頃 | 6月9日頃 | 7月19日頃 | 6月27日頃 |
| 東海 | 6月6日頃 | 6月9日頃 | 7月19日頃 | 7月4日頃 |
| 関東甲信 | 6月7日頃 | 6月10日頃 | 7月19日頃 | 7月18日頃 |
| 北陸 | 6月11日頃 | 6月10日頃 | 7月23日頃 | 7月18日頃 |
| 東北南部 | 6月12日頃 | 6月14日頃 | 7月24日頃 | 7月18日頃 |
| 東北北部 | 6月15日頃 | 6月14日頃 | 7月28日頃 | 7月19日頃 |
気象庁「梅雨入りと梅雨明け(速報値)」 表:筆者作成
四国や近畿、関東甲信などは平年だと6月上旬、北陸や東北地方では6月中旬頃に梅雨入りとなります。
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梅雨の大雨のリスク
梅雨の大雨は、停滞する梅雨前線がもたらします。活動が活発になっている梅雨前線付近では、積乱雲が次々と発生し、同じ場所に激しい雨を降らせ続ける線状降水帯が発生しやすくなります。低気圧や台風による雨に比べると雨のエリアが停滞しやすく、降り始めから数日にわたって雨量が積み重なりやすいのが特徴です。また、数日間にわたって雨が降り続くことで地盤が緩み、雨が弱まった後ややんだ後など、想像もつかないようなタイミングで土砂災害が発生するリスクもあるのが梅雨の怖さです。
梅雨の大雨に注意すべきポイント
梅雨時には線状降水帯による集中豪雨に警戒する必要があります。この現象が発生すると、わずか数時間で数百mmという雨が降り、それに伴い避難経路が瞬時に冠水するなど、移動自体が困難になり避難に遅れるリスクが高くなります。また、線状降水帯は日本国内のどこでも発生する可能性があり、「これまで災害がなかった地域」だからといって安全とは限りません。天気予報やニュースなどで線状降水帯というキーワードを見聞きした場合は十分に注意してください。
さらに、2026年5月下旬からは線状降水帯直前予測の運用が新たに始まります。この情報は、線状降水帯が発生する危険性が高まった際に、発生の2~3時間前を目標にお知らせする緊急性の高い速報です。気象庁ホームページの線状降水帯予測マップなどで危険な領域が示されるため、この情報が発表された際、崖や川の近くなど危険な場所にいる方は速やかに防災行動をとることが重要です。わずか数時間で命に関わる状況へ急変するおそれがあるため、過去の経験に頼らず、最新の気象情報を自分事として捉えた早めの判断を心がけましょう。
梅雨の大雨に備えるタイミング
大雨への備えで重要なのは、一人ひとりが避難の判断基準を持っておくことです。まずはハザードマップで自宅周辺の災害リスクを確認し、「どの警戒レベル(気象情報)で、どこへ避難するか」を事前に決めておきましょう。例えば、「小さい子どもや高齢者がいるので、高齢者等避難(警戒レベル3)が発令されたら避難所へ向かう」「浸水リスクが高い場所なので、大雨警報が出た時点で親戚宅へ移動する」といった具合です。
雨が本格化する前にしておくべき対策もあります。5月中には側溝や排水溝の掃除を済ませ、自宅周りの水はけを良くしておきましょう。週間天気予報で雨のマークが並び始めたら、改めて非常持ち出し袋や避難経路の再確認を行うことも大切です。いざという時に慌てないためにも、今のうちにできることから備えを始めましょう。
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<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
気象防災アドバイザー(国土交通大臣委嘱)
田頭気象予報士事務所代表。愛媛の気象予報士・防災士。防災や気象関連の記事執筆をはじめ、テレビ番組の監修、防災教材開発などを行う。BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。
