
歌手・俳優として活躍するIU(アイユー)が、5月16日に33歳の誕生日を迎えた。“国民の妹”として韓国で絶対的な人気を誇り続けるIUといえば、BTSのJUNG KOOK、TWICEのナヨンといったトップアイドルも彼女のファンを公言しており、老若男女を魅了するまさに韓国のトップスターだ。ドラマ「21世紀の大君夫人」では、相手役のビョン・ウソクとの息の合ったケミが注目を集めている。誕生日をきっかけに彼女の軌跡を振り返る。
■20代の自分を投影した歌詞に同世代から共感の声
オーディションでは不合格続きだったIUが、ようやくデビューをつかんだのは中学3年生だった2008年。ミニアルバム『LOST&FOUND』で歌手デビューを果たした。アーティストネームの「IU」には、I(私)とYOU(あなた)を掛け合わせ、「私とあなたが音楽で1つになる」という意味が込められている。
透明感と伸びやかな歌声を武器にソロアーティストとして、瞬く間にブレークしていったIUは、韓国の音楽番組で1位の常連になるほどの歌姫へと成長し、2012年には「Good day」で日本デビューも果たした。
デビュー初期の彼女の代表曲といえばその「Good day」を思い浮かべる人も多いだろう。“3段ブースター”と呼ばれる、曲の終盤、10秒以上にわたって段階的に音程を引き上げて歌うハイトーンボイスが美しいパフォーマンスは、まさに神業。残念ながら、2022年にソウルオリンピックメインスタジアムで開催されたコンサートにて同曲の披露は卒業にすると発表し、惜しむファンの声が続出したことも当時話題になった。
また、20歳(「二十歳の春」)、23歳(「Twenty-three」)、25歳(「Palette」)、28歳(「eight」)、29歳(「LILAC」)…とリリース当時の年齢をテーマに20代の頃の葛藤や悩みを楽曲に込め、年齢を重ねるごとに変化していく彼女の思いをつづった“年齢シリーズ”も多くの人に勇気を与えた。
■“韓国の歌姫”は演技派俳優としても注目
国民的歌手として活躍する一方で、役者としての評価も高いIUは、2011年に放送されたドラマ「ドリームハイ」に出演したことを皮切りに、「麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~」(2016年)や、「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」(2018年)、「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」(2019年)など、話題作にメインキャストとして出演してきた。
中でも「マイ・ディア・ミスター」では、不遇な生活を強いられ、周囲に心を閉ざして孤独に生きる女性ジアンを快演。視聴者から「あの“国民の妹”が…?」と衝撃が走るほど、劇中のIUは笑顔一つ見せず、過去のトラウマによって誰のことも信じることができない女性に扮(ふん)した。その演技力の高さは、歌の表現力の幅とはまた違った彼女の魅力として多くの韓ドラファンをうならせた。
近年は是枝裕和監督がメガホンを取った韓国映画「ベイビー・ブローカー」(2022年)やパク・ボゴムとの共演が大きな話題となったドラマ「おつかれさま」(2025年)などで、役者としてのキャリアも順調な彼女。
アーティストや役者として大きく飛躍し、輝き続けるトップスターの姿を見せ続ける一方で、韓国の人気バラエティー番組「ヒョリの民宿」のシーズン1(2017年)で見せた姿も非常に印象的だ。
同番組は、IUと同じく韓国のトップスターの先輩イ・ヒョリと夫のイ・サンスンが住む済州島の自宅を舞台に、公募で選ばれた一般人の旅行客を民泊させるという内容で、その民泊のアルバイトスタッフとして雇われているのがIUという企画。
自然豊かな済州島と自由気ままなヒョリ&サンスン夫婦と共に、IUも等身大の姿で宿泊客と会話を楽しむ姿や一緒に食事をする姿などが映し出され、飾らない彼女の魅力が垣間見えるバラエティー番組だった。

■「21世紀の大君夫人」では“敏腕経営者”に
そんなIUの最新出演ドラマ「21世紀の大君夫人」(ディズニープラス スターで独占配信中)は、“もしも21世紀の韓国に王室が存在していたら”という架空の現代を舞台にした王道ロマンス作品。
韓国最大の財閥の令嬢で、“身分以外は全て持つ”ソン・ヒジュ(IU)と、8歳の幼い王の叔父として国民の尊敬を集めるものの“称号以外は何も持たない”イアン大君(ビョン・ウソク)が、互いの利害のために婚姻関係を結ぶことから始まる物語だ。
契約結婚という形で始まった2人の関係性も紆余曲折を経て“本物の愛”に変わり、“塀越しキス”や、生々しいまでのリップ音が響いた情熱的なキスシーンなど、ロマンス作品らしいシーンも度々話題を集めてきた。
“大君夫人”という称号だけが狙いで、イアン大君に猛アプローチをかけていたキャッスルビューティーの代表の顔から、次第に彼自体に引かれていく1人の乙女の姿…IUは持ち前の見目麗しいビジュアルもフルに生かし、見事に演じてきた。
■幸せなクライマックス…のはずが思わぬ展開に
そして物語がクライマックスに差し掛かり、ロマンスモード全開になってきた2人とは裏腹に周囲の厳しい視線が2人に向く。契約結婚であることがどこからか流出して国民に知られてしまい、国民的カップルになるはずの2人が、一転して裏切り者として糾弾される展開になったのだ。
それも2人の“本物の愛”で乗り越えたかと思ったのもつかの間、第10話では幼王がイアン大君に譲位する意向を示し、今度は王宮内が不穏な空気に包まれる。さらに、イアン大君がいると思しきタイミングで王宮に爆発音が轟き、火が燃え広がる――。
最終週の第11、12話(5月15日、16日配信)でクライマックスを迎えるドラマのラストは一筋縄ではいかないかもしれないが、ひとまずは歌手・俳優、“表現者”としての明るい未来が待っているIUのバースデーを華やかに祝いたい。
◆文=suzuki

