歯周病の治療期間と自宅でのケア

歯周病は治療によって完治する病気ですか?
歯茎の炎症だけで骨にダメージが及んでいない歯肉炎の段階であれば、適切な治療により健康な歯茎に回復させることが期待できます。一方、歯周炎で歯槽骨が溶けてしまった部分は自然には再生しません。
ただし、治療によってそれ以上骨が失われないよう病気の進行を止め、歯茎の健康な状態を取り戻すことは可能です。重度で歯がぐらつくケースでも、原因となる歯垢や歯石を徹底的に除去し噛み合わせを調整することで、ぐらつきが改善して長期間保てる場合もあります。このように、歯周病は適切な治療とその後の管理によって完治に近い状態まで持っていくことも可能です。
歯周病の治療期間を教えてください
歯周病の治療期間は、症状の重さや治療内容によって大きく異なります。
歯周病の重症度 治療期間の目安 通院回数の目安
軽度 1~3ヶ月程度 3~5回前後
中等度 3ヶ月~1年程度 5~10回程度
重度 6ヶ月から1年以上 10回以上
以上はあくまで目安ですが、歯周病は進行すればするほど治療に時間がかかる傾向があります。そのため、症状が軽いうちに治療を開始することが結果的に治療期間の短縮につながります。歯周病は慢性的な経過をたどる疾患ですので、その後も定期的に歯科医院でチェックとクリーニングを受けるようにしましょう。
歯周病になった際の自宅でできるケア方法とケア用品にかかる費用の目安を教えてください
歯周病の治療中・治療後に共通して重要なのが、自宅での日々の口腔ケア(セルフケア)です。どれだけ歯科で治療を受けても、日常のケアがおろそかになると再び細菌が増殖して歯周病がぶり返してしまいます。歯周病予防の基本はプラークコントロール、すなわちお口の中の細菌の数を減らすことです。そのために、自宅でできる主なケアとして以下のような方法があります。
丁寧な歯みがき
デンタルフロス・歯間ブラシの使用
洗口液(マウスウォッシュ)の活用
丁寧な歯みがきはセルフチェックケアの基本です。また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落としきれないため、フロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使った清掃も併せて行います。
さらに、補助的なケアとして、薬用成分配合の洗口液でうがいをするのもよいでしょう。歯みがきやフロスの後にお口をすすぐことで、歯周病菌の増殖を抑える効果が期待できます。ただし、洗口液だけでは歯垢は十分に除去できないためあくまで補助と考えましょう。
いずれも数百~1500円程度です。これらのセルフケア用品は薬局やスーパーで手軽に入手できます。毎日のセルフケアと定期的な歯科医院でのクリーニングで歯周病を予防しましょう。
編集部まとめ

歯周病はよくある病気ですが、その進行度(ステージ)によって必要な治療内容や期間・費用は大きく異なります。初期段階では簡単な歯石取りと歯みがき方法指導で改善し費用もわずかで済むのに対し、重度になると外科手術や長期の通院が必要となり、治療費も高額です。
したがって、「もしかして歯周病かな?」と思ったら早めに歯科医院を受診し、症状が軽いうちに治療を始めましょう。また、歯周病は再発しやすい病気でもありますから、治療後も日々のセルフケアと定期検診によるチェックを欠かさないようにしましょう。大切なのは予防と早期発見・早期治療です。適切なケアと習慣で歯周病を防ぎ、ご自身の歯をできるだけ長く健康に保ちましょう。
参考文献
『歯周病とは』(厚生労働省)
『歯周病の新分類への対応』(日本歯周病学会)
『歯周病の治療法』(日本臨床歯周病学会)
『歯周治療のガイドライン 2022』(日本歯周病学会)

