無毛症とは、本来毛が生えるべき場所に、生まれつき生えていない状態の病気です。先天的な原因で起こる病気といわれています。
他にも似た症状の病気に乏毛症がありますが、この病気とは異なります。また、この病気は遺伝するのかなど、気になっている方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では無毛症の診断・治療方法についても解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「無毛症」を発症する原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
無毛症の診断・治療方法

無毛症と思った場合は何科を受診しますか?
無毛症かもしれないと異変を感じた場合、診療科目は皮膚科です。
他の症状として、歯の異常がみられる場合もありますが、先にそちらが見つかった場合は歯科をご検討する方も多いでしょう。併発している病気の症状によって他の診療科目を受診すべきか悩んでしまう場合もあるかもしれません。
しかし、毛髪に少しでも違和感がある場合やこの病気が疑われる場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。
無毛症はどのような検査で診断されるのでしょうか?
無毛症が疑われる際の、検査方法としては血液検査を用います。遺伝によってこの病気を発症していることが考えられるため、ホルモンや遺伝子を調べるのです。
主な検査項目としては、染色体検査・テストステロンなどの血中性ホルモンの値などです。症状に合わせてホルモン検査なども行います。また、同時に問診や視診も行います。
どの程度、毛が失われているのか、その他の症状は発症していないかなどを加味して、検査内容を検討しつつ診断するのです。遺伝子を調べるには、専門の医療機関でなければ行えません。どの病院でもできるわけではないため、経過を確認しながら慎重に診断が行われるでしょう。
乏毛症との見分け方を教えてください。
乏毛症とは、無毛症の一種となります。その違い・見分け方は、毛量などが一つの基準となるでしょう。無毛症の場合、全く毛が生えないケースや、生まれてすぐは生えていたのに成長に伴って抜ける症状となります。
乏毛症の場合は、無毛症同様に全く生えないケースもありますが、細い毛がまばらな状態で完全に生えそろわないケースをいいます。また、縮毛を伴うことがある点も特徴です。見分け方は非常に難しいですが、無毛症の種類に乏毛症があることを、把握しておきましょう。
無毛症の治療方法はどんなものがありますか?
先天的な場合の治療方法は、現時点では確立されていません。遺伝的な要因が関係しているため、治療方法はまだ見つかっていないのです。また、治療方法が確立されていない理由には、毛に関する病気の原因がはっきりしないことも大きく関係しています。
毛に関する研究分野は、未だ確立されているものが少なく、診断方法や治療方法がはっきりしていないのです。しかし、対処法が全くないわけではありません。男性ホルモン分泌不全の場合であれば、テストステロン薬の塗布や全身投与なども治療法の一つです。
また、限局性無毛症などでは、病変している皮膚部分を手術によって切り取る方法もあります。外胚葉異形成症に関連する症状が現れている場合は、その症状の経過も見ながら、適切な治療を行うことも重要です。
編集部まとめ

無毛症は、先天的な遺伝子異常によって起こるケースや、男性ホルモン分泌不全などで起こる病気です。
症状は毛髪だけでなく、全身の毛で発症する可能性があります。生まれてすぐに気づかないケースもあるでしょう。
また、先天性の場合、明確な治療方法は現在ありません。しかし、今後の研究が期待されており、治療方法も開発される可能性があります。
万が一自分の子供が無毛症だった場合は、正しい情報を集めつつ、治療を進めていきましょう。
参考文献
無毛症について|Medical Note
無汗性外胚葉形成不全|小児慢性特定疾病情報センター
外胚葉異形成症|国立研究開発法人 国立成育医療研究センター

