「パニック障害」の治療法は何をするかご存じですか?医師が解説!

「パニック障害」の治療法は何をするかご存じですか?医師が解説!

「このまま死んでしまうのではないか」というほどの辛い身体症状に悩まされた経験はないでしょうか。

パニック障害では、突然起こるパニック発作によってこのような不安や恐怖に襲われることがあります。

パニック障害と向き合い症状をコントロールするためには、どのような病気なのか知っておくことが大切です。

今回は、そんなパニック障害について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「パニック障害」とは?症状・原因・対処法も併せて解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

稲川 優多

監修医師:
稲川 優多(医師)

自治医科大学勤務。医学博士、公認心理師。日本精神神経学会精神科専門医・指導医・認知症診療医、日本老年精神医学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医、精神保健指定医。

パニック障害の診断と治療方法

ドクター

パニック障害を疑ったら何科を受診すればよいですか?

パニック障害を疑う症状があれば、精神科・心療内科を受診してください。しかし、最初から精神科・心療内科にかかるのではなく、「大きな病気ではないか」と思って内科や救急外来を受診するケースも少なくありません。

パニック発作でみられる動悸・胸の痛み・冷や汗といった症状は、心筋梗塞を疑う症状でもあります。パニック発作の場合は検査をしても身体に異常はみられません。そういった症状の訴え・受診歴・検査結果をもとに、精神科・心療内科を紹介されるケースもあります。

身体の病気ではないことを確認するためにも、最初に内科を受診するのも1つの方法です。

診断基準について教えてください。

まずは身体に異常がないことを確かめる必要があります。また、理由がなく突然発作が起こることも、パニック障害の診断に必要な情報です。

そして、「また発作が起こるかもしれない」という不安・恐怖のような精神症状や、発作を回避するための行動の変化が1か月繰り返されるとパニック障害と診断されます。

パニック障害の治療方法が知りたいです。

主な治療方法は、薬物療法と精神療法です。薬物療法の目的は発作を起こさないことで、抗うつ薬の1つである選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)や、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が使われます。

正しく内服すれば発作を起こさないか、もしくは回数を減らすことができ、パニック障害のコントロールにつながります。パニック障害の治療には他にも精神療法があり、併用されることも多いです。

治療は薬物療法だけではないのですね。

パニック障害に効果的とされているのが「曝露療法」です。曝露療法はパニック発作が起こりやすい場面に向き合い、発作が起こりうる状況でも安心していられるようにします。要は、「発作が起こるかもしれない」という不安な状況に慣れて、「この状況でも自分は大丈夫」と不安を和らげていくということです。

その他にも呼吸法や認知行動療法などがあり、患者さんに合った精神療法が選択されます。精神療法は、決して「気の持ちようで病気を治す」という意味ではありません。

特に曝露療法は辛い場面に向き合うことがあるため無理は禁物です。パニック障害の治療は、焦らず自分のペースで進むことが大切です。治療について不安なことがあれば、医師やカウンセラーに相談しましょう。

編集部まとめ

OKサインを出す女性

パニック障害はパニック発作が繰り返される病気で、予期不安や広場恐怖によって日常生活に支障が出ることも少なくありません。

外出を控えたり仕事に行けなくなったりするなど、病気の影響は大きいものです。

また、パニック発作で起こる身体症状や精神症状はコントロールが難しく、周囲の人に理解されにくいという苦悩もあります。

「パニック発作で死ぬことはない」といわれますが、パニック障害は本人にとってとても辛い病気です。

パニック障害で悩む患者さんも周囲の人も、まずは病気について知るところから始めましょう。

参考文献

不安障害|厚生労働省

パニック発作とパニック症|MSDマニュアル

「パニック障害」ってどんな病気?|公益社団法人 富山県医師会

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。