
綾瀬さんにとっては、数々の映画賞を受賞した『海街diary』(2015年)以来、11年ぶりとなる是枝監督作品への出演。一方の大悟さんは、これまでも映画出演経験はあるものの、映画主演級の役柄は今回が初めてとなる。
■初顔合わせで大悟が発した「ごめんな、俺が夫で」
撮影現場では、お笑い芸人と国民的女優という異色の組み合わせに、大悟さん自身も緊張を隠せなかった様子だ。初めて綾瀬さんと対面した際、大悟さんは「ごめんな、俺が夫で」と謝罪。これに対し綾瀬さんは「えーそんな!」と笑顔で返し、「とてもシャイな感じがしましたし、とてもすてきな方だと思いました」と第一印象を明かしている。
大悟さんもクランクイン時のコメントで「ビビってます」「大丈夫なんかなワシってほうが大きい」と正直な心境を吐露。しかし、綾瀬さんについては「本当にあのままというか、非常に明るい楽しい人でとてもよかった」と安堵の表情を見せた。現在は「ただただかわいく、ただただ遠くから見ています」と、まだ夫婦の距離感を探っている段階のようだ。
■「セリフを覚えなくていい」是枝監督が大悟に特別指示

是枝監督は大悟さんの起用について「存在感があり、歩き方が独特で、人間味があってすごくいい顔をされています。70年代の日本映画界にいた俳優さんのような顔」と評価。さらに「芸人さんには勘がよく、間合いの取り方がうまく、掛け合いのお芝居が上手な方が時々いらっしゃいますが、大悟さんはまさにそうでした」と期待を寄せる。
興味深いのは、監督が大悟さんに対して「そんなにきっちりセリフ覚えなくても、僕が現場で耳打ちする感じでそれをそのまま自分なりにやっちゃってください」という特別な演出方法を採用していることだ。これは監督がこれまで子役に使っていた手法だというが、大悟さんはこの指示に「非常に気持ちがラクになりました」と感謝している。
■ヒューマノイドの息子と紡ぐ「見たことない家族劇」
物語の舞台は“少し先の未来”。建築士の妻・甲本音々(綾瀬はるか)と工務店の二代目社長である夫・甲本健介(大悟)の夫婦が、7歳のヒューマノイドを息子として迎えるという設定だ。
綾瀬さんは役柄について「はじめはわだかまりがある二人が、ヒューマノイドの子どもを迎え、さまざまなことが起き、また心が通い合っていく」過程を演じることにワクワクしていると語る。「“少し先の未来”の物語ですが、夫婦の形や子どものこと、人と人の愛というのはずっと変わらない大事な部分だと感じながら演じています」と、普遍的なテーマへの思いも明かした。
■現場を和ませるヒューマノイド役の少年
撮影現場では、ヒューマノイド役の少年が雰囲気作りに一役買っているようだ。是枝監督によると「人懐っこくて、朝来ると大悟さんの坊主頭をなでなでしているほど懐いていて、彼の存在が大きく和やかな現場」になっているという。
大悟さんも「日ごろは笑ってもらうお仕事をしていますが、大悟が出た、大悟がしゃべった、大悟が現れた、で笑われないように頑張りたい」と俳優としての決意を新たにしつつ、「どういうのが出るかなって、自分でも楽しみです」と期待を込めた。
■「死者の蘇り」から着想を得た最新テクノロジーと家族の物語
是枝監督は本作の企画について「最新のテクノロジーで<死者を蘇らせる>という発想から」出発したと説明。中国では実際に生成AIを用いた「死者の蘇り」ビジネスが人気を集めており、「想像以上のスピードでテクノロジーが進化している」現状を踏まえ、この題材に取り組むことにしたという。
監督は「綾瀬さんと大悟さん演じる夫婦には期待しかない」と太鼓判を押し、「この夫婦と人間ではないヒューマノイドの子どもが一緒になったときに、あまり見たことない家族劇になるのではないか」と作品への自信をのぞかせる。
綾瀬さんも「きっと見終わったあとに心が温かくなる作品になると思います」とメッセージを送っており、2026年の公開が今から待ち遠しい。
映画『箱の中の羊』作品概要
2026年全国ロードショー
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:綾瀬はるか、大悟(千鳥)ほか
配給:ギャガ
(C)2026「箱の中の羊」製作委員会
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