
ある事故による昏睡から目覚めたカメラマン、星野星哉。彼が引き換えに得たのは、激しい頭痛とともに「10分後の未来(死)」を写し出す異能だった。これまで「自分には何もできない」と運命を直視せず、写真を消去し続けてきた星哉。しかし、病院のロビーでカメラが捉えたのは、かつての同級生・大谷力が車にひかれる10分後の姿だった。
現在、Amazon Fliptoonで連載中のつのだふむ(@tsunoda_fumm)さんによる『運命のリフォーカス』。運命を変えようと車椅子で走り出す主人公の姿に、「先が気になる!」「どう変化していくか期待」と読者からの熱い視線が注がれている。
■「なぜ、自分がこの物語を描くのか?」 10年以上くすぶり、もがき続ける自分を投影



本作の根底にあるのは、作者・つのださんの切実な自己投影だ。
こだわりについては、内容面ではとにかく「なぜ、自分がこの物語を描くのか?」というのを忘れずに描いていくこと。僕自身、いまだに作家としてくすぶってるのですが、毎日毎日「おもしろい作品を描けるようになろう」「自分の人生を良くしよう」ともがいています。このことを漫画で描いて自分を勇気づけたいんじゃないか。10年前の自分を奮い立たせたいんじゃないか。最近、そう思ってきました。
どんなに突飛な設定であっても、自分の中にある「良く知っている感情」を正直に描く。その姿勢が、予測不能なミステリーの中に血の通ったリアリティを生んでいる。
■第1章完結後に1話から全描き直し!?
本作の制作スタイルは極めて異例だ。通常、分業が主流のウェブトゥーンにおいて、つのださんはネームから彩色まで一人でこなし、あえて試行錯誤の過程をそのまま世に出している。
今、14話まで公開されていますが、全部実験段階で見せ方に一貫したこだわりがある作品にはあまり見えないかもしれません。15話で第1章が終わるので、そこまで描いたら1話から全部描き直します。そういう過程も全部世に出して見せてしまう、「それも含めておもしろさにしていこう」というスタンスが「僕のこだわり」とも言えます。
かっこつけず、泥臭く「リニューアル」を宣言するその姿は、まさに運命をリフォーカス(再設定)しようとする主人公と重なる。
■徹底した実録主義と飽くなき向上心
つのださんの作品群に共通するのは「実録」と「出会い」だ。自身の移住記録を描いた『糸島STORY』や、ブランディングのプロへの取材を元にした『ブランディングマン』など、自らの体験をすべて物語の糧にしてきた。
作中に登場する背景も、ゴミ捨てついでに近所を撮影した風景など、身近なロケーションを自ら資料化している。かつて自主映画を作っていた頃のようなフットワークの軽さで、「下積みしているなあ」と感じながら執筆に励む日々。その原動力はシンプルだ。売れたいです、と彼は真っ直ぐに語る。
15話でようやくスタートラインに立つ星哉の物語。来週のネームが見れるカメラが欲しい、と苦悩しながら生み出される「10分後の逆転劇」から目が離せない。
取材協力:つのだ ふむ(@tsunoda_fumm)
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