私の祖母は、何事も素早く伝える「報・連・相」を大切にする人でした。けれど入院中、家族は“ある知らせ”を伝えるべきか大きく迷いました。あのときの判断は、今でも家族の記憶に残っています。
報・連・相を大事にしていた祖母
私の祖母は、どんなささいなことでも迅速に共有する「報・連・相」をとても大事にする人でした。誰に対しても平等に、そしてすばやく情報を伝えるその姿勢は、祖母が現役時代に当時としてはめずらしい「会社員」として働いていたことに由来しているのかもしれません。
ただ時には、その真面目さが裏目に出ることもありました。たとえば、母の勤務中に職場へ電話をかけ、「母がとてもかわいがっていた飼い猫が脱走し、事故に遭った」と伝えてしまったことがあります。母はその知らせで仕事が手につかなくなり、困ってしまったのです。
心筋梗塞で入院
そんな祖母ですが、晩年は心筋梗塞(心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が詰まり、胸の強い痛みや息苦しさ、時に生命の危険をもたらす病気)をたびたび起こし、命の危機を何度も乗り越えてきました。
あるとき、祖母が心筋梗塞で緊急入院していた際、祖母の大切な友人の訃報が届きました。戦後の混乱期から互いに支え合ってきた、まさに「盟友」と呼べる存在です。祖母が「報・連・相」を重んじる人であることを考えれば、伝えないのは不自然かもしれませんが、病状が安定しないうちに知らせるのはあまりにも危険だと家族で判断し「退院し、落ち着くまでは黙っておく」という結論に至りました。

