関節リウマチによるこわばりは、日々の工夫と適切な治療の組み合わせによって和らげることが期待できます。この記事では、温熱療法やストレッチといったセルフケアの方法を紹介するとともに、抗リウマチ薬や生物学的製剤などの薬物療法、さらに理学療法士・作業療法士によるリハビリテーションとの連携がどのように役立つかを解説します。

監修医師:
佐藤 章子(医師)
川崎市立川崎病院整形外科初期研修医、東京女子医科大学東医療センター整形外科リウマチ科医療練士助教待遇、東京警察病院整形外科シニアレジデント。その後地域中核病院、リウマチ専門クリニックを経て、日本医科大学整形外科リウマチ科助教。その後国立病院勤務。
【研究】
大腿骨近位部不顕性骨折に対する画像診断の検討(神奈川整形災害外科学会論文賞受賞(執筆、指導実施)、関節リウマチ患者に対する人工関節、生物学的製剤などの薬物療法に関する研究、変形性膝関節症に関する研究など
関節リウマチのこわばりの緩和に向けた日常的なアプローチ
薬物療法が治療の根幹であることは間違いありませんが、日常生活の中でこわばりの影響を少しでも和らげるための工夫を取り入れることも大切です。医療的なアプローチとセルフケアを組み合わせることで、より快適な毎日を目指すことができます。
温熱と運動によるこわばりへの対処
関節を温めること(温熱療法)は、こわばりの緩和に有効な方法の一つです。温めることで血管が拡張し、血行が促進されるため、関節周囲に溜まった炎症物質や発痛物質の排出が促されます。朝、洗面器にためた40℃程度のぬるま湯に手首まで浸す「手浴」や、温かいシャワーを浴びることは、手軽で効果的な方法です。ただし、関節が赤く腫れて熱感が非常に強い急性期には、温めることでかえって炎症を増悪させる可能性があるため、冷やす(寒冷療法)方が適している場合もあります。どちらが良いか迷う場合は、医師や理学療法士に相談しましょう。
無理のない範囲での適度な運動も、こわばりの緩和と関節機能の維持に役立ちます。特に、関節の可動域を保つためのストレッチ(ROMエクササイズ)が重要です。布団の中で、あるいは温かいお風呂の中で、ゆっくりと指や手首、足首を曲げ伸ばしするだけでも効果があります。痛みを感じない範囲で、リラックスして行うことがポイントです。ウォーキングや水中運動なども、全身の血行を良くし、筋力を維持する上で推奨されます。
薬物療法とリハビリテーションの組み合わせ
こわばりの根本的な改善には、関節リウマチの疾患活動性そのものをコントロールすることが不可欠です。現在の治療の主流は、「メトトレキサート」をアンカードラッグとする抗リウマチ薬(DMARDs)です。これに、特定の炎症性サイトカインを標的とする「生物学的製剤」や、炎症性サイトカインによる刺激が細胞内に伝わる過程で必要な酵素を阻害する「JAK阻害薬」などを、病状に応じて組み合わせる「Treat to Target(目標達成に向けた治療)」戦略がとられます。これらの薬剤で炎症を強力に抑制することで、こわばりをはじめとする多くの症状が劇的に改善することが期待できます。
薬物療法と並行して、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)によるリハビリテーションも極めて重要です。理学療法士は、関節の可動域訓練や筋力トレーニング、痛みを緩和するための物理療法などを通じて、身体機能の維持・向上をサポートします。作業療法士は、日常生活動作の具体的な工夫や、関節保護の原則(関節に負担をかけない動作方法)、自助具の選定などを指導し、QOLの向上を支援します。これらは、薬物療法と車の両輪であり、総合的な治療アプローチに欠かせません。
まとめ
関節リウマチは、朝のこわばりや関節の腫れ・痛みといった症状から始まることが多く、早期に気づくことが治療のうえで重要です。こわばりの持続時間や朝起き抜けの症状は、病勢を知る手がかりであり、日常的に観察しておく価値があります。症状が続く場合は、リウマチ内科や整形外科への受診をご検討ください。適切な診断と治療の継続により、生活の質を維持しながら病気と向き合うことが期待できます。
参考文献
日本リウマチ学会「ガイドライン」
厚生労働省「悪性関節リウマチ 」
日本リウマチ財団「関節リウマチについて」
- 「関節リウマチ」の人におすすめの食事や運動をご存じですか? 日常生活のコツも医師が解説
──────────── - 「関節リウマチ」の初期症状をご存じですか? 完治することはあるの?【医師解説】
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