麻疹(はしか)は、感染力が強いウイルス性の疾患です。かつては日本国内でも広く流行し、子どもの命を脅かす重大な病気でしたが、予防接種の普及により近年では患者数は大幅に減少しました。
それでもなお、ワクチン未接種者や若年層、外国からの帰国者を中心に麻疹の発症が見られます。
また、麻疹は肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすため注意が必要です。この記事では、麻疹(はしか)の症状や合併症まで詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「麻疹」を発症すると現れる「症状」はご存知ですか?潜伏期間も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
麻疹(はしか)の症状や合併症

麻疹にかかるとどのような症状が出ますか?
麻疹の症状は時期によって特徴が異なり、大きく以下の3つの段階で進行します。発症初期の3~4日間はカタル期と呼ばれ、38度前後の高熱・鼻水・咳といった風邪症状が見られます。この時期の後半には口腔内にコプリック斑が出現することが特徴です。次の発疹期は4~5日間続き、40度前後の高熱と耳の後ろ側から顔面・体幹・全身へと広がる赤い発疹が出現します。それから7~10日間ほどの回復期を経て、寛解します。
麻疹の症状が回復するまでどのくらいかかりますか?
麻疹の症状が完全に回復するまでには、個人差はありますが、2〜3週間程度かかるのが一般的です。ただし、すべての症例が順調に回復するわけではなく、免疫力が低下している人や高齢者などでは重篤化する可能性があります。特に肺炎や脳炎などの重篤な合併症が生じた場合は、数週間から数ヶ月の治療期間が必要です。また、免疫機能が麻疹感染後に一時的に低下するため(麻疹後免疫不全)、ほかの感染症にかかりやすくなる期間が2〜3ヶ月続くことがあります。
麻疹の合併症について教えてください。
麻疹は合併症を引き起こすことがあり、特に免疫力が低下している人や乳幼児に多く発症します。主な合併症は以下のとおりです。気管支炎:高頻度で発症する合併症
肺炎:麻疹ウイルスが肺に感染して起こる合併症
中耳炎:麻疹が原因で耳のなかに炎症が起こり発症する合併症
脳炎:麻疹ウイルスが脳に感染して起こる合併症
亜急性硬化性全脳炎(SSPE):感染後数年してから発症し致死率が高い脳の変性疾患
また、妊娠中の麻疹は流産や早産などの胎児への影響を引き起こすなど、合併症が発生した場合には速やかに適切な治療を受ける必要があります。
編集部まとめ

麻疹は感染力が強いウイルス性疾患で、感染すると発熱や発疹などの症状が現れます。麻疹を予防するには予防接種が効果的な手法であり、接種を受けることで免疫を獲得できます。
予防接種を受けていない場合や免疫力が低下している人は麻疹に感染するリスクが高まるだけでなく、感染した場合に重篤化しやすいことも特徴です。
麻疹は空気感染するため、感染者と同じ空間にいるだけでも感染する可能性があります。流行地域への渡航前には、事前にワクチン接種歴を確認し、必要に応じて接種を受けることが必要です。
感染後の治療は症状を緩和することが中心になります。重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、感染が疑われる場合は速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
参考文献
麻疹の現状と今後の麻疹対策について|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
麻しんについて(ファクトシート)|厚生労働省検疫所FORTH
学校における麻しん対策ガイドライン
MRワクチン|厚生労働省
水痘・麻疹・風疹・流行性耳下腺炎
IASR 45(9), 2024【特集】麻疹2024年7月現在|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
麻しんについて|厚生労働省
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