しかし、あまりの人の多さから、新規開拓を考えている人も多いのではないだろうか。そこで注目したいのが、地元民が集う“ディープな街”だ。
今回は「一人で楽しむディープな大阪」と題し、大阪在住のウォーカープラス編集部員が新世界エリアへ。誰でも“大阪のおばちゃん”になれるという、ヒョウ柄専門店をレポートする。

■ツッコミが止まらん!人間すらもまぎれるヒョウ柄尽くしの異空間
大阪のシンボル「通天閣」がそびえ立つ新世界エリア。大阪市浪速区の恵美須東に広がる、いわゆる“下町”で、立ち飲み店が並ぶ「ジャンジャン横丁」や串カツの有名店、遊技場などがあり、まるでタイムスリップしたかのようなレトロな街並みが特徴だ。
遊びや食に事欠かない場所だが、今回の目的は「ショッピング」。新世界エリアの入り口付近に位置し、比較的人が少ない「新世界市場」に足を踏み入れた。

訪れたのは、ヒョウ柄専門店「なにわ小町」。これまで数々のメディアに取り上げられているので、「聞いたことがある」「気になっていた」という人も多いのではないだろうか。しゃれた飲食店とシャッターが交互に現れる市場の中で異彩を放っており、遠目からでも「あそこや!」とわかるほどだ。

店に入ると、名物店主の髙橋真由美さんと二代目の髙橋輝明さんが出迎えてくれた。2人とも当たり前のようにヒョウ柄を身にまとい十分派手な格好をしていたのだが、真由美さんに「あとで写真撮るときに着替えますね~!」と言われ、それが普段着だったことに気づく。
まずは店内をゆっくり見させてもらった。奥のほうに立っていた姿勢の美しいスタッフを、編集部員はマネキンだと思っていたため、突然動き出して声をあげてしまうというプチ事件が起きる。店内がヒョウ柄であふれすぎているうえにトラやヒョウの顔が大量にあるので、感覚がおかしくなるのだ。
店内に並ぶアイテムをよく見ると、ヒョウ柄一つひとつに個性があり、トラやヒョウにはそれぞれの表情があった。あしらいや素材も異なり、「これは普段使い」「これは思いきり派手にいきたいとき」と、気分に合ったヒョウ柄が見つかるだろう。
一番人気はカットソーで、なんと1枚2900円。ビッグサイズで外国人観光客から人気なだけでなく、大阪・関西万博の開幕前には、会場の建設に携わる人々が家族や従業員へお土産として買っていくこともあったのだとか。大阪土産は豚まんやチーズケーキが定番だが、日持ちしないのがネックになることも。“大阪土産にヒョウ柄”、流行らせていきたいと思った。


店頭にはトラの頭が宙吊りになっており、一瞬「狩った…?」と思ったのだが、よく見たらリュックだった。これも人気商品だという。

「一番派手な商品はどれですか?」と聞くと、ヒョウ柄のファーコートと、大量のスパンコールで仕立てられたTシャツを紹介してくれた。あまりのゴージャスさに圧倒され、「売れているか」を聞きそびれてしまった。


どのアイテムもたしかに派手なのだが、これを着ていても浮かないのが新世界。しかし、ほかの地域から来た人には少々ハードルが高いかもしれない。そういう人にも楽しんでもらえるよう、靴下や帽子、キーホルダー、アクセサリーといった、気軽に身につけられるものもあるのでご安心を。


特にキーホルダーやアクセサリーはかわいらしいものが多く、コーディネートのアクセントにおすすめ。ヒョウ柄のウサギのぬいぐるみキーホルダーを見たときはさすがにツッコミを入れたのだが、真由美さんが「私、卯年やねん」と言うのでとりあえず納得することにした。



ほかにも、男性用・女性用ともに「勝負パンツ」が販売されており、恋人へのお土産や友人同士のおそろいアイテムとしてよく買われるそう。しかも、女性用はシームレスタイプもある。大切な仕事の日のゲン担ぎとして履きたくなった。

■「私は元気な大阪のおばちゃん」。毎日パワフルに“ザ・大阪”を発信
2011年の春ごろにオープンした「なにわ小町」。当初は“ヒョウ柄専門店”ではなく浴衣レンタルの店だったそうで、真由美さんが60歳の節目に「好きなことをしたい」と開業させた。
「実は当時は全然やる気がなくて、たまたま空き店舗があっただけなんです(笑)。もともと服飾系の仕事をしていたから、『店をやりたい』というよりは『服が好き』やったんですよ。しかも、そのころの新世界は寂れているうえに、言ってしまえば“大変な街”。商売をするには不向きでした。今でも50代以上の方はあんまり見かけませんしね」
今でこそ観光地として人気の新世界だが、かつては「近寄ってはいけない街」と言われていた。ディープな街の代表格・西成が近いことなどが要因だと思うが、治安の悪さばかりが広まり、今の50代以上にはあまりいいイメージを持たれていないようだ。30代の編集部員はにぎやかな新世界しか見たことがないが、親世代がそのイメージを持っていることは知っていた。
真由美さんは、変わりゆく新世界をずっと見守ってきたという。「2012年に新世界が誕生100周年を迎えて、徐々に街がきれいになり、人も増えてきました。ちょうど“改革期”と言えると思います。そこでうちも方向性を変えて、私が大好きやったヒョウ柄のアイテムを置き始めたんです。最初は『専門店』と言えるようなものではなくて、“半分ヒョウ柄”くらい。フリーマーケットみたいな形でしたね(笑)」と振り返った。

デザイナーをしている輝明さんの協力も受けながら、いつしかヒョウ柄尽くしの“ヒョウ柄専門店”になり、定着には2年ほどかかったそう。「ヒョウ柄だらけになってからは『ヒョウ柄の聖地』みたいに呼んでもらうこともあって、うれしいですね。私も『地域を盛り上げたい』とか、『来てくれた人が元気になって帰ってほしい』とか、いろいろな想いを持つようになりました。“ザ・大阪なおばちゃんがザ・大阪な服を売る”って、なんかええでしょ!」と、笑顔で語ってくれた。
かつては近寄りがたい雰囲気だった新世界。今では若年層に外国人観光客、修学旅行生までがヒョウ柄アイテムを見に来るようになり、「なにわ小町」は確実に街の活気の一端を担っている。
最後に、まだ新世界に行ったことがない人へのメッセージをお願いすると、「私は“元気な大阪のおばちゃん”。来てくれた人の『元気もろたよ!』が聞きたいから、毎日その意識を持って過ごしています。初めて新世界に来た人は、とりあえずヒョウ柄着て!楽しさ何倍にもなるし、ヒョウ柄着たら言いにくいことも言いやすくなるで!ザ・大阪を体感しにおいで~!」とパワフルに締めくくってくれた。

取材後に編集部員も買い物させてもらったのだが、迷っているとスタッフ全員で親身になってくれて、とてもいい買い物ができた。結果、トラの顔が大胆に縫い付けられたバッグ、ラインストーンでできたヒョウがかわいいTシャツ、靴下を購入。この夏は“元気な大阪のおばちゃん”に近づけそうだ。

通天閣や動物園で遊んで、串カツでお腹を満たす…。それだけでも十分だが、次に新世界に行ったときは、自分にぴったりなヒョウ柄を着用してみてはいかがだろうか。大阪をもっと身近に感じられるかもしれない。
取材・文・撮影=ウォーカープラス編集部
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

