
2023年10月にスタートした野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」が、ついに放送100回を迎えた。10月2日の放送では、番組を長く支えてきた真中満、五十嵐亮太、川上憲伸の“ダグアウトファミリー”3人が登場。MCの上田まりえとますだおかだ・岡田圭右とともに、笑いあり感動ありの特別回が繰り広げられた。
■“放送100回”を彩る“ダグアウトファミリー”
番組冒頭、MCの岡田は「100回まで番組はなかなか続きませんよ」と感慨深げに語りつつ、「数々のスター達が集まってくれるので野球ファンにとってはたまらない番組」と胸を張った。今回のゲストは“ダグアウトファミリー”の真中、五十嵐、川上という豪華布陣。おなじみの気心知れた3人を前に岡田が「通常回です」とボケると、上田は「この方々なくしては、100回を迎えられなかった。お世話になった方たちです」とフォロー。番組の節目を飾るにふさわしい、温かい空気感を演出した。
特に真中は2回目の放送でゲストとして登場し、そこからMCとしても活躍している番組にとって欠かせない存在。岡田から「監督もやられてるのにイジられるという、この脇の甘さ。そんな監督、今までおらん」と愛あるツッコミを受けると、照れながらも「嬉しいです」と笑顔を見せる。
五十嵐と真中は同じ東京ヤクルトスワローズ出身。現役時代からロッカールームで選手同士の活発なコミュニケーションがあり、そんな交流を通じてトーク力が磨かれたと語った。さらに引退後はさまざまな番組に出演した際の「あの時、ああ言っておけばよかったなとか、色々反省することもある」という告白に、岡田が「若手芸人や!」とツッコむひと幕も。川上も「レベル高いな。ほんとわかんないもん」ととぼけて返すと、岡田は「その入り方も満点の入り方や」と再び鋭くツッコミを入れるのだった。
■現役時代の“メモリアル”エピソードにスタジオ爆笑
100回記念らしく、スタジオでは現役時代のメモリアルなエピソードに花が咲いた。五十嵐は500試合登板を達成した際の裏話を披露。試合中にギックリ腰を発症して降板を余儀なくされたが、その直後に館内アナウンスで花束贈呈セレモニーが告げられた。
腰を押さえながらグラウンドに戻ることになった五十嵐にとっては苦い思い出であったものの、対戦チームの中日ドラゴンズ・落合博満監督は大いに笑ってくれていたという。少年のような笑顔で「あの笑わない落合監督を笑わせることができた。すごくない?」と自慢していた五十嵐の姿が印象的だ。
番組恒例のコーナー「ガチャガチャダグアウト」では真中が「父」のカードを引き、家族のエピソードを披露。父は野球経験がなく、真中の進路についても口を出すことがなかった。しかし真中が試合で活躍するとそれを報じる新聞記事を切り抜き、スクラップにしてくれていたとか。
一方で、「昼間から酒を飲んでいる親父でした」と意外な一面も披露。真中の現役引退の日、セレモニー直前に泥酔して球場内で行方不明になるなど豪快で破天荒な一面もあったと明かす。ちなみに五十嵐は真中の母親と一緒にお酒を飲んだことがあるが、その際に「お母さんから旦那さんの文句をずっと聞かされた」と暴露。スタジオは大きな笑いに包まれた。
■放送100回を経て改めて輝く「ダグアウト!!!」の真価
今回の放送で特に心に残ったのは、「あの日に戻れるなら、いつに戻る?」というテーマで五十嵐が語った一言だ。「実際ないんですよね。上手くいくこともあれば、そうじゃないこともある。上手くいかない時でも、それがあるから上手くいこうとする。成功し続けることはない」と述べた。
プロとして輝かしい実績を誇る一方で、失敗や挫折を真正面から受け止めてきたからこそ言える言葉。特に五十嵐の現役時代は決して順風満帆なものではなく、メジャーで悔しい経験もしてきた。だがそれすらも人生の糧になっていると語り、悔いがないほど野球人生を走り切ってきたことがうかがえる。
プロ野球の世界では、選手たちの華々しい活躍や記録ばかりが注目されがちだ。しかし「ダグアウト!!!」は現役時代の栄光や技術論だけでなく、こうした“人間臭いエピソード”を掘り起こす番組として100回を積み重ねてきた。
時代を彩ったスター選手たちが肩の力を抜き、笑いながら本音を語り合う姿は野球ファンにとって何よりの贈り物だ。100回の節目を迎えた「ダグアウト!!!」は、これからも野球ファンを惹きつけてやまないだろう。

