骨髄異形成症候群の種類
血液中と骨髄中の芽球がどの程度あるかによって分類されます。芽球の割合が20%になったときは、急性骨髄性白血病に移行したと診断されます。
不応性貧血
血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。下記含め4つの種類のなかで芽球の割合は軽度です。
鉄芽球性不応性貧血
血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。鉄芽球性不応性貧血は、環状鉄芽球が増えている状態です。なかでも鉄の代謝障害による全身症状が現れます。鉄が体内で使用されないので、鉄過剰状態になることがあります。そのときに現れる症状は以下の通りです。
肝臓に鉄が蓄積したことで起こる右上腹部の痛み
関節の痛み
皮膚が濃い灰色や青銅色に変色する
心臓が影響を及ぼし不整脈が発生する
食欲不振
舌炎
嚥下困難
どこに鉄が蓄積し、影響を与えるかによって症状が変化します。
不応性血球減少症
血液中の芽球は1%未満、骨髄中の芽球は5%未満です。異形成が複数の血球で10%以上ある状態です。欧米では骨髄異形成症候群の約1/4を占めます。
芽球増加型不応性貧血
血液中の芽球は5〜19%、骨髄中の芽球は5〜19%です。
骨髄異形成症候群の治療法
骨髄異形成症候群の治療法は下記のものがあります。病気の進行状況や患者さんがどの程度の治療まで耐えることができるかなど、全身状態を把握し治療法が決定されます。
支持療法
支持療法とは、輸血や抗生投与などの医療行為のほかに、治療をせず経過観察を行い精神的なサポートをする、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の評価をすることも含まれます。赤血球が不足している患者さんには赤血球輸血を行い、血小板が不足していれば血小板輸血を行います。
血小板輸血については、採血データが基準値より低下していても出血症状ない場合には輸血を行わないのが一般的です。感染対策のため、抗生物質の投与を行うこともあります。
免疫抑制療法
初期の骨髄異形成症候群に対して免疫抑制剤を使用することがあります。例としてシクロスポリン、抗胸腺細胞グロブリンという薬剤です。これらの免疫抑制剤を使用することで、造血の回復が認められています。
化学療法
がん細胞を破壊するために実施されます。化学療法を行うことで、正常な造血細胞をもつ細胞も破壊されてしまうので、治療時には注意が必要です。アザシチジンという薬剤が承認されており、治療で使用されます。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、患者さんかドナーから採取した血液や骨髄から成熟前の血液細胞である幹細胞を取り出し、患者さんの体内に戻す治療法です。患者さんの体内に注入された正常な幹細胞が成熟し、血液細胞になることで血液機能が回復することを期待して行われます。
異常な幹細胞が血液中に豊富に残っていると、注入した正常な幹細胞が死滅してしまうので上記で解説した化学療法とともに行われることがほとんどです。

