
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、 サンデーうぇぶりに掲載されている読切作品『きみが写真にいない理由』(原作:後谷戸隆さん、漫画:我孫子楽人さん)をピックアップ。
原作を手掛けた後谷戸隆さんが4月15日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、3万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、後谷戸隆さんと漫画を手掛けた我孫子楽人さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■交通事故で亡くなった彼女

主人公の男子高生・鍵原は、ある日突然恋人の瀬藤ようこを交通事故で亡くす。彼女のことで夜眠れなくなっていた鍵原は、事故現場に行き彼女からもらったカメラでその場所を撮影。すると、突然目の前に幽霊のようこが現れる。驚いた鍵原だったが、翌朝自身が撮影した写真にしっかりとようこが写っていることを確認する。
それから度々夜にようこに会いに行くようになった鍵原は、日常生活ではどんどん元気をなくしていく。
ある晩、ようこが「行きたいとこの話をしよう。」と言い出す。行きたいところが無限にあるというようこに、今度の休みに行こうという鍵原。しかし、ようこは亡くなってから四十九日が経つため、会えるのは今晩が最後だと言う。それを知った鍵原は、ようこが行きたいといった海に今から行こう、と言い出し自転車の後ろに乗せて走り出す。
朝陽が昇ると消えてしまうようこと必死で海を目指す鍵原だったが…?
作品を読んだ読者からは、「マジで泣いた」「何だこの名作は」「辛くてもちゃんとお別れ出来て良かった」など、反響の声が多く寄せられている。
■原作・後谷戸隆さん「戻ってきてからもずっと覚えているような、そういう話を書きたい」、漫画・我孫子楽人さん「美しい要素を壊さず、新鮮なままお届けできたのなら…」

――『きみが写真にいない理由』を創作しようと思ったきっかけや理由などをお教えください。
後谷戸隆:わたしの子供の頃は心霊写真の全盛期で、いろいろな番組でいろいろな心霊写真が取り扱われていました。そこにはさまざまな幽霊や通常写るはずのない不思議な現象がたくさん写り込んでいて、それは必ずしも幽霊が写っているというわけではないかもしれないけれども、常識では説明のつかない不可解なできごととして、番組の司会者もゲストの芸能人もみんなでその写真を楽しんでいた、という世界が当たり前にあったような気がします。
そうした心霊写真をたくさん見ながら育ってきたわたしたちは、いつの間にかデジタル化が進んだ昨今の環境下において、「こんな写真はレタッチソフトで簡単に作ることができる」という風潮もあいまってか、あんまり心霊写真とは縁のないの世界にやってきてしまいましたが、わたしたちの世代の余波のようなものといいますか、心霊写真というもののもっていた見えない世界とのつながりのようなものを(それはいわゆるあの世だとか心霊の世界などという言葉で表されるようなものでは必ずしもなかったとしてもよくて)、もう一度見ることができればいいのかな、と思って書きました。
――「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
後谷戸隆:瀬藤さんが素足なところ。お化けなので素足。
最初は靴を履いていたのですが楽人さんに無理言って素足にしてもらいました。大変だったでしょう……。
我孫子楽人:自分の気持ちとは無関係にやってくる朝の清潔な空気感、夜の世界にたった二人しかいないような静けさ。そういうのが伝わればいいなと思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
後谷戸隆:あ゛~~~(ダミ声)
のところ。瀬藤さんの伝法な性格がうかがえるので。
我孫子楽人:31pの鍵原が瀬藤さんに心配しなくても良いと言っているページの、瀬藤さんが目を見開いてふっと笑うシーンです。
ここで、瀬藤さんは鍵原が泣いていることに気付きます。さりげない1コマですが、「あ、泣いてくれているんだ」という瀬藤さんの嬉しさが湧き上がる表情を上手く表現できたのではないかなと思います。
――後谷戸隆さんのXの投稿には、「涙が止まらない」「穏やかで、悲しくて、美しい作品」など、多くのコメントや反響が寄せられました。今回の反響をどのように感じていますか?
後谷戸隆:数年前から旅先ではなるべく自分の写真を撮ってもらうということをしており、なぜかというと「陰キャはあんまり自撮りをしないせいで遺影に使えるような写真がぜんぜん残らない、下手すると成人式の写真になってしまう」というような話を聞き、それはまずいと思っていつなんどき死んでもいいように写真を撮り始めました。なので自分のアルバムを見ているとたまに自分がでてきて「うわっ」と思うのですが、わたしは過去の自分は自分ではない別の存在だと思っているので、そうした観点からするとそれはみんな自分の心霊写真みたいなもんなのです。
今回の作品がご好評を頂けたということは、おそらくみなさんが自分の心霊写真を見つけられたのだということだと思います。
我孫子楽人:初めて私のもとに原稿が来た時、全く同じ気持ちになりました。そういった美しい要素を壊さず、新鮮なままお届けできたのなら作画冥利に尽きます。
――ご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
後谷戸隆:連載を目指してがんばってます。
我孫子楽人:体力のあるうちに富士山に登っておきたいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
後谷戸隆:みなさんをどこかに連れていき、そしてそこに置いてきぼりにし、見える景色や聞こえてくる音がどういうひびきであるのかを、戻ってきてからもずっと覚えているような、そういう話を書きたいです。
我孫子楽人:いつも応援ありがとうございます。皆さんの温かいお声のおかげで、執筆を続けられています。次回の作品もお楽しみに!

