プール熱ってどんな病気?プール以外でも感染することはある?アルコール消毒をしていれば予防はできるもの?そんな疑問について、めめ眼科船橋院長の安田向壱先生にお伺いしました。

夏に流行する「プール熱(咽頭結膜熱)」
夏が近づき、水遊びの計画を楽しみにされているご家庭も多いのではないでしょうか。この時期、小児科や眼科で急増するのが、通称「プール熱」と呼ばれる感染症です。
正式名称を「咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)」といいます。原因となる「アデノウイルス」は非常に生命力が強く、一般的な対策だけでは防ぎきれないケースがあります。今回は、ご家庭で実践していただきたい「本当に効果のある」対策と消毒法について詳しく解説します。
そもそも「プール熱」ってどんな病気?
かつてプールの水を介して広まることが多かったためこの名前がつきましたが、実はプールに入らなくても、飛沫感染(咳やくしゃみ)や接触感染(タオルやドアノブを介したもの)で、一年中どこでも感染する可能性があります。
主な症状は、以下の「3つのサイン」です。
○高熱(38〜39度前後が数日続く)
○のどの痛み(咽頭炎)
○目の充血・目やに(結膜炎)
熱とのどの痛みだけだと「風邪かな?」で見逃されがちですが、「目が真っ赤になる」「朝起きたら目やにで目が開かない」といった症状が加わると、プール熱の可能性が高まります。
似た病気との見分け方は?
特に注意が必要なのが、同じアデノウイルスを原因とする「流行性角結膜炎(通称:はやり目)」です。
プール熱(咽頭結膜熱)
喉の痛みや発熱を伴うのが特徴です。
はやり目(流行性角結膜炎)
熱は出ないことが多いですが、目の充血や痛み、目やにが非常に強く出ます。時に角膜(黒目)に濁りが出て、視力に影響することもあります。
どちらも非常に感染力が強いため、「目が赤いな」と感じたら自己判断せず、早めに眼科を受診することをお勧めします。
大人もかかる?治療法はあるの?
「子どもの病気でしょ?」と油断してはいけません。プール熱は大人にも感染します。 大人がかかると、子ども以上に症状が重く出て、長引くことも珍しくありません。
残念ながら、アデノウイルスを直接やっつける特効薬(抗ウイルス薬)は今のところありません。治療の基本は、自身の免疫力でウイルスを退治するのを待つ「対症療法」になります。
高熱に対して
解熱鎮痛剤で体力を温存する。
目の症状に対して
炎症を抑える目薬や、細菌の二次感染を防ぐための抗菌薬の目薬を使用する。
眼科医としては、特に「二次感染」や「角膜の傷」を防ぐための適切な点眼治療が、早くきれいに治すためのポイントだと考えています。

日常生活でできる予防と対策
注意!「アルコール消毒」だけでは不十分です
ここが最も重要なポイントです。新型コロナウイルス対策で定着した「アルコール消毒」ですが、実はプール熱の原因であるアデノウイルスには、アルコール消毒がほとんど効きません。
アデノウイルスは「エンベロープ」という膜を持たないウイルスで、アルコールに対して非常に強い抵抗力を持っています。そのため、玄関に置いてある消毒液をするだけでは、ウイルスは死滅せず、そのまま家庭内に持ち込まれてしまうのです。
日常生活で取り組む3つのブロック対策
では、どうすれば感染を防げるのでしょうか。日常生活で取り組める具体的な改善策を提案します。
(1)石鹸での「流水手洗い」を徹底する
アルコールが効かない以上、物理的にウイルスを洗い流すことが最強の防御策になります。石鹸をしっかり泡立て、指の間や爪の間、手首まで30秒以上かけてていねいに洗い、流水でしっかり流してください。
(2)「タオルの共有」をしない
最も多い感染ルートはタオルです。顔を拭くタオルだけでなく、手拭き用のタオルも家族分わけるか、使い捨てのペーパータオルに切り替えることを強く推奨します。
(3)「次亜塩素酸ナトリウム」で環境を消毒する
ドアノブ、手すり、おもちゃなど、家族が触れる場所の消毒には、アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を希釈したもの)を使用してください。
作り方の目安
市販の塩素系漂白剤をペットボトルの水などで薄めて作ります(0.02%〜0.05%程度の濃度が推奨されます)。
使い方
希釈液に浸した布で拭いたあと、数分置いてから水拭きをしてください。
※金属部分はサビる可能性があるため、最後にしっかり水拭きをすることが大切です。また、手指には刺激が強すぎるため、絶対に使用しないでください。
専門家の判断を仰ぐタイミング
プール熱は、学校保健安全法により「主要な症状がなくなった後、2日を経過するまで」は登校・登園停止と定められています。
「熱は下がったけれど、まだ目が赤い」
「目やにが止まらない」
「まぶしそうにしている」
このような場合は、治りかけに見えてもまだウイルスを排出している可能性があります。自己判断で登園を再開せず、必ず医師の診断を受けて「登園・登校許可証」をもらうようにしましょう。
まとめ
プール熱は、正しい知識を持って対処すれば、過度に恐れる必要はありません。「アルコールではなく、流水手洗いと次亜塩素酸」。このポイントを押さえるだけで、家族を守る力はぐんと高まります。少しでも「おかしいな」と感じたら、お気軽に私たち専門家を頼ってください。
※記事を作成後、校正に生成AIを使用しています。
執筆者

安田向壱
埼玉医科大学卒業後、埼玉医科大学総合医療センターで初期研修、順天堂大学医学部附属浦安病院眼科に入局し、順天堂大学医学部附属浦安病院や国立国際医療研究センター国府台病院などで経験を積み、2024年5月、千葉県船橋市に「めめ眼科船橋」を開院、院長となる。
眼科医療は医療者のみならず、皆様にも治療による改善を実感・体感できる数少ない診療科だと思います。「見える喜びもあなたにも」共有できるような眼科クリニックにしたい、それがめめ眼科船橋の目指すクリニックです。

