一定ではないパーソナルスペース
パーソナルスペースとは、自分の体を基準にして、他人にそれ以上近寄られると不快に感じる空間領域のことです。心理的な距離感に使うこともありますが、物理的な空間を指すことが多いです。広さは、一定ではありません。人によっても異なりますし、相手との関係性やその時の気分によっても変わります。
これは人に関するパーソナルスペースの解説文ですが、猫にとってのパーソナルスペースも、定義としてはほとんど変わりません。飼い主さんや同居している他の動物との関係性によって、個々にパーソナルスペースの広さは異なります。
家に迎え入れたばかりの飼い主さんには決して近づこうとしなかった猫が、日が経ち、少しずつ関係性ができてくるにつれて距離感も縮まっていき、やがて一緒に寄り添って寝たりするほどの距離感になることもあるのです。
愛猫と快適に暮らすためには、住環境を猫にとって安全で安心できる場所に整えることが大切です。安心できる場所の条件の一つに、パーソナルスペースの確保があります。性格や関係性、気分で変化するパーソナルスペースを適切に保つためには、何を目安にし、どう対応すれば良いのかについて考えてみましょう。
猫が必要とするパーソナルスペースの目安
外で暮らす猫の場合、メス猫は半径約50m、オス猫は約500mほどが縄張りだと言われています。ただしメス猫は獲物の数、オス猫はメス猫の数によって左右されます。つまり、狩りも交配もする必要がない避妊・去勢済みの猫たちには、これほど広い部屋は必要がないということです。
しかし、猫が心穏やかに暮らすためには、飼い主さんや同居猫とも安心して過ごせるパーソナルスペースの確保が必要です。ごく普通の関係性を持つ猫同士の場合、すれ違う時に必要な距離は約30cmほど、人との間に必要となる距離はその関係性により約50cm〜150cmほどだと言われています。
そして、猫が危険を察知したときに逃げる距離(逃亡距離)が2mほどだという点も重要です。飼い主さんや同居猫との間のパーソナルスペースが確保されていて、かつ身の危険を察知した場合に2m以内の距離に隠れられる場所があるということが、猫にとって安全な環境だということです。

