網膜静脈閉塞症は、目だけの病気ではありません。高血圧や糖尿病といった生活習慣病が大きく関与しており、日々の過ごし方が症状の進行や再発リスクに影響します。治療と並行して取り組みたい血圧・血糖値の管理や、食事・運動・禁煙といった生活習慣の見直しについて、実践しやすい内容をまとめました。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
ゆがみを悪化させる要因と日常生活での注意点
網膜静脈閉塞症による視力低下やゆがみは、目だけの問題ではなく、全身の健康状態と密接に関連しています。治療効果を最大限に引き出し、症状の悪化や再発を防ぐためには、日々の生活習慣の管理が極めて重要になります。
血圧・血糖値のコントロールが重要な理由
網膜静脈閉塞症の最大の危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病です。これらの疾患は、全身の血管にダメージを与え、動脈硬化を促進し、血栓ができやすい状態を作り出します。特に高血圧は、動脈を硬化させて静脈を圧迫する直接的な原因となるため、厳格なコントロールが不可欠です。また、糖尿病による高血糖状態は、血管の内皮機能を障害し、血栓ができやすい状態を引き起こします。眼科での治療と並行して、内科や循環器内科の主治医と緊密に連携し、血圧や血糖値、コレステロール値を目標範囲内に維持することが、視力を守るための土台となります。
生活習慣の見直しで症状の進行を抑える
日常生活においては、血管の健康を保つための具体的な行動が求められます。まず、食生活では塩分や脂肪分の多い食事を避け、野菜や魚を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。適度な有酸素運動(ウォーキングや水泳など)は、血行を促進し、血圧や血糖値の改善に役立ちます。喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を著しく進行させるため、禁煙は必須です。また、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、眼精疲労だけでなく、血行不良の原因にもなります。1時間に10分程度の休憩を取り、遠くの景色を眺めたり、軽いストレッチをしたりして、目と身体の緊張をほぐしましょう。十分な睡眠とストレス管理も、血圧の安定に寄与するため、軽視できません。これらの地道な努力の積み重ねが、治療効果を高め、再発リスクを低減させるのです。
まとめ
網膜静脈閉塞症は、突然の視力低下やものがゆがんで見える症状で発症し、私たちの生活の質を大きく脅かす病気です。しかし、その背景には高血圧や動脈硬化といった全身の健康問題が潜んでいます。この病気と向き合うことは、単に目の治療を受けるだけでなく、ご自身の生活習慣全体を見直す良い機会でもあります。片目の些細な見え方の変化を「年のせい」「疲れ目」と片付けず、早期に眼科専門医に相談すること。そして、診断後は内科医と連携し、血圧や血糖の管理を徹底すること。この二つの柱が、あなたの貴重な視力を守り、再発を防ぐための道筋です。
参考文献
日本眼科学会「網膜静脈閉塞症」
日本眼科医会「網膜静脈閉塞症と診断されたら」
- 「網膜剥離」の手術は何をするの? 術後に日常生活で注意することは?【医師解説】
──────────── - 網膜剝離などの「硝子体手術」を受けるタイミングはいつ? 治療の流れ・術後の生活の注意点まで眼科医が解説
──────────── - 網膜硝子体手術が必要な症状・疾患を眼科医が解説 術後の見え方や網膜剥離など合併症のリスクとは?
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