娘を出産したときの話です。当時、出産予定日を間近に控え、私は初めての出産に対して言いようのない不安と緊張を抱えていました。そして、いざ陣痛が始まると、その痛みの激しさは想像を絶するものでした。
出産に立ち会ってくれた夫が…
病院へ向かう車内でも、大好きなドラマのワンシーンを思い出して気を紛らわせようとしましたが、痛みでそれどころではありませんでした。
分娩室に入り、いよいよいきみ逃しの段階に入ったときのことです。立ち会っていた夫に「腰をさすってほしい」と頼んだのですが、あまりの痛みに私が声を上げると、夫はパニックに陥ってしまいました。そして何を血迷ったのか彼は私の腰ではなく、自分の太ももを全力でさすり始め、「痛い、痛いよ!」と一緒に叫び出したのです。その姿があまりに面白くて、一瞬だけ陣痛の痛みが遠のくのを感じました。
「痛いのは私よ!」と思わず叫び返した瞬間、立ち会っていた助産師さんが冷静に「お父さん、代わってください」と夫をそっと脇に追いやり、プロの技でテキパキと処置を進めてくれました。あまりに鮮やかなその流れと、隅で小さくなっている夫の対比に、出産の緊迫した空気の中に妙な笑いが生じました。 おかげで、その後の出産は驚くほどスムーズに進みました。
無事に産声を聞いた瞬間、感動で涙が溢れましたが、夫のあの姿を思い出すと今でも笑いが込み上げてきます。この経験から、非常事態こそパートナーとの連携が大切であり、何より専門家の存在がどれほど心強いかを身をもって学びました。今後また出産の機会があったら、夫と事前にいろいろなシミュレーションをして、落ち着いて挑めるようにしたいと思います。
著者:宇垣真紀/20代女性・会社員
3歳の娘を育てている母親。趣味はドラマ鑑賞とサイクリング。
作画:さくら
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)

