「萎縮性膣炎」の治療期間はどのくらいかご存じですか?治療法について医師が解説!

「萎縮性膣炎」の治療期間はどのくらいかご存じですか?治療法について医師が解説!

萎縮性膣炎とは膣の粘膜に起こる炎症で、閉経後の女性に多い疾患です。おりものや出血があり、気になっている人も多いのではないでしょうか。

今回は萎縮性膣炎の治療方法などについて、紹介します。

※この記事はメディカルドックにて『「萎縮性膣炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

萎縮性膣炎の治療

下腹部に手をあてる若い女性

どのような検査で診断されるのでしょうか?

問診・内診が行われ、内診では点状の出血の有無を確認します。問診や内診で萎縮性膣炎と診断される場合も多いですが子宮がんなどの可能性もあるため、悪性の疾患や細菌感染がないかの検査が行われます。
検査方法は細胞の検査・培養検査で、検査の結果悪性疾患や細菌感染がない場合に萎縮性膣炎と改めて診断されることが多いです。検査で真菌や細菌の感染が認められた場合には病原体を特定して治療が行われます。
萎縮性膣炎だと思っていたけれど症状の似た他の疾患だったということもあります。自己判断で放置することなく、受診して医師の診断に従ってください。

治療方法を教えてください。

萎縮性膣炎は女性ホルモンの分泌が不足することで起こるため、女性ホルモンのエストロゲンの補充が主な治療方法です。エストロゲンの補充方法は症状や患者の体調に合わせて行われます。
その他炎症があり細菌感染がある場合には、抗生物質や抗ヒスタミン薬が処方されます。エストロゲンの補充により症状は軽減するのですが、エストロゲン分泌が低下していること自体は改善できないため、症状が再度現れることもあるでしょう。そのため引き続き治療を続けることが必要となるのです。

どのような治療薬を使用しますか?

女性ホルモン補充のために、エストロゲンが使用されます。補充方法は全身投与と局所投与があり、患者の症状に合わせた方法での投与となります。全身投与では飲み薬のエストロゲンが処方され、局所投与では膣座薬・クリーム・軟膏などの治療薬が処方されるのです。かゆみがある場合には殺菌効果のある塗り薬が処方される場合もあります。

治療期間はどのくらいでしょうか?

エストロゲンの局所投与の場合で1〜2週間で症状が軽減しますが、重症の場合は1ヶ月以上かかる場合もあります。治療により症状は軽減しますが、根治しにくい疾患といえるでしょう。エストロゲンの投与を止めると、また同様の症状が現れる可能性は大きいです。
ただその場合もエストロゲンの投与を続ければ症状は軽減するので、医師に相談しながら治療を続けることが大切です。

編集部まとめ

ポイントを説明する女性(白背景)
閉経後の女性に多くみられるため、老人性膣炎とも呼ばれることもあるのが萎縮性膣炎です。

女性ホルモンの分泌の低下により、膣粘膜が薄く弱くなり自浄作用も低下することから発症する病気です。

症状は乾燥による外陰部の痛みやかゆみ、おりものの増加などで、つい放置してしまいがちな疾患ですが、しっかりと治療することで症状が軽減します。

放置して自然治癒する可能性はありません。受診して女性ホルモン(エストロゲン)の補充を行うことが必要になります。

一人で悩むことの多い疾患といえますが、多くの女性が同じ悩みを抱えています。勇気を出して受診し適切な治療を受けるようにしてください。

参考文献

ホルモン補充療法(HRT)の実際

配信元: Medical DOC

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