金属バットの“3本目”からトットの激闘まで――「THE SECOND 2026」GPファイナルの全漫才師を振り返る【全ネタレビュー】

金属バットの“3本目”からトットの激闘まで――「THE SECOND 2026」GPファイナルの全漫才師を振り返る【全ネタレビュー】

(上段左から)金属バット、タモンズ、ザ・パンチ、黒帯、(下段左から)シャンプーハット、ヤング、リニア、トット
(上段左から)金属バット、タモンズ、ザ・パンチ、黒帯、(下段左から)シャンプーハット、ヤング、リニア、トット / (C)フジテレビ

結成16年以上の漫才師たちが、第2のチャンスを求めて戦うお笑い賞レース、「THE SECOND」。トーナメント形式、審査員は一般観客たちという、M-1やキングオブコントとはまた違った魅力のある本大会は、今年で4度目の開催。何かと話題になった「金属バットの3本目」も含めて非常に見ごたえのある番組だったので、本記事では僭越ながら、「THE SECOND~漫才トーナメント~2026」(フジテレビ系)にて披露された全漫才のレビューをさせていただく。

ちなみに筆者(城戸)はお笑いに関してはド素人というありさまですから、あくまでも個人的な感想だと受け取っていただけると幸いです。マジメに書いている分、偉ぶった文章に見えてしまうのはご了承ください。言葉というものは、つねに不自由なのです。

■第1試合

■金属バット

「肉の部位」というテーマではあるが、やはり金属バットらしく、“ふたりが喋っている”状況こそがトロの漫才。6分という尺にあらわれる弛緩した瞬間を、もはや貫禄と言える独特の空気感でへらへらとカバーできる風格は、「THE SECOND」の申し子にふさわしい。

■ヤング

五十音を使った、誰でも分かる王道漫才。初めて見た芸人さんではあったけれども、安定感があって心地よく見られた。番組内でも評されていたように、五十音というテーマを順々にやっていくんで先を予想できてしまうのがネックかと思われたが、終盤にはそれすら裏切られる。「これもういいかも」と飽きが来そうなところでの見事な転調となっており、漫才には構成も重要なのだろうと思わされた。

■第2試合

■タモンズ

金切り声で駄々をこねる安部と、比較的冷静な大波による口喧嘩。これは面白かったなあ。こういった口喧嘩の漫才が大好きだ。安部のスラップスティックな動きにより視覚的満足度も充実している。センブリ茶や低周波マッサージ器など、罰ゲームのモチーフとして挙がるワードが生々しい。「してもらったことを当たり前だと思ってお礼を言わない人のことをタモンズと呼んでます」には笑った。

■黒帯

「ネットの炎上」というモチーフを漫才に絡めるのは少し寒くなりやすい傾向にあると個人的に思っているのだけど、黒帯のこれは面白かった。「ギリ炎上しそうなこと」として通りつつも、実際には炎上まではしないだろう、というラインがうまい。終盤、大西が「もうセルフでいきます」と言い出したところでは過剰に畳みかけてほしかったのだけど、すぐに終わってしまったのが残念だった。

■第3試合

■シャンプーハット

ベテランとは思えない抜け感があるのが新鮮というか、むしろこの余裕こそがベテランの証か。反面、てつじが漫才中に軽く噴き出す場面がいくつか見られたのが、ベテランとしての照れのようにも見えて少しだけ気になってしまった。笑わないことに怒ったり、笑うことに怒ったり、観客をも巻き込んだふたりの物語が面白く、会場で見ていたら楽しさも倍増するような漫才だった。

■リニア

いや~面白かった。エゴサ漫才というものは初めて見たが、非常に共感を覚えたよ。「今あるものを探してるんじゃなくて、出てくる日を待ってるんだよ」。確かに、エゴサとはそういうものである。検索フォームに入力し、「最新」タブに移動する。なぜならば、初めて現れるもの以外は、すべて知っているからだ。きっと、この文章も見つけ出してくれるだろう。だから言うわけではないけれども、今大会で一番面白い漫才だった。

■第4試合

■ザ・パンチ

パンチ浜崎がとにかく茶化し続けるのだが、ただ意味のない音を発し続けるというような「迷惑行為」にすら発展していて、凄かった。もはや、漫才をサンプリングしたDJプレイかのように思えるくらい、パンチ浜崎とノーパンチ松尾に接点がない前半、音の鳴るふたつの機械。徐々に漫才らしくはなっていくけれども、ノーパンチ松尾のツッコミがしっかりハマるのも凄い。荒唐無稽に見えて、確かな実力によって裏打ちされている味わい深い漫才である。余談だが、ツッコミに「ファイナルファイト」なんて出てくるのが、「THE SECOND」らしい。

■トット

ザ・パンチの直後なんで、どうしても地味に見えてしまうところはあるけれども、これも口喧嘩の漫才なので好きだった。理屈を積み上げて、メチャクチャな場所まで。桑原の、キレながらも声を抑えるツッコミが、表情を含めてキャッチーですばらしい。

■準決勝第1試合

■タモンズ

酒の漫才だけれども、安部の声質や動作が、大波よりも「酒の上級者」である事への説得力を高めているのが素晴らしい。見ていて非常に乗っていける。個人的なワガママではあるが、安部の酔っぱらった動作のひとつでもあれば、よりスラップスティックに笑えただろう。タモンズはここで敗退してしまったけれども、2本とも相当面白かった。

■金属バット

いかにも金属バットらしいネタである。「立派すぎる人まぶしくてビックリしちゃうのよ」、皮肉というか何というか、こういった語彙の選び方はさすがだと思う。あとは普通に漫才が鉄。歴代最高得点が飛び出たのは、尖りながらも安定に推移する語りのうまさによるものだろう。

結果発表後のわちゃわちゃが面白かった。

■準決勝第2試合

■リニア

先ほどの「エゴサ」だったり、今回の「ビジュ」だったり、現代的なモチーフに触れるのが彼らの持ち味なのかもしれない。それも、若干の冷笑を含んで接するのではなく、全力で乗っかっていく。この時事っぽさが非常に漫才らしいし、年齢を重ねれば重ねるほど、若者的な価値観に乗っかっていく面白さは倍増するだろう。そういった意味で非常に「THE SECOND」らしくもあり、完璧な漫才であると思う。今大会で一番好きな漫才師、敗退したのが非常に残念である。

■トット

喫煙者と、禁煙成功者による小競り合い。6分という比較的長い尺で戦うとなれば、やはり「逆転」のようなものが必要になるのかもしれない。禁煙の成功を誇っていた桑原が、喫煙を渇望するモンスターと変貌する流れが美しく、物語も含めて貫禄がある。さんざん説教をされたあと共感をさせられる、喫煙者にはより楽しめる漫才だろう。

■決勝

■トット

ちょっとメタ的な、変わった漫才である。「もし自分に子供がいたら」という鉄板シチュエーション漫才であるが、(その「架空の子供」への愛情が昂ぶりすぎて)ロールプレイを終えて漫才に戻る部分を笑いとして見せるのは新鮮。「哀愁」をある程度共有している「THE SECOND」ならではの漫才とすら言えるかもしれない。この後に出てくる金属バットがどうしても話題を集めてはいるけれども、トットのほうだってそうまっすぐなモノでもないと感じた。面白い。

■金属バット

「笑いが起こる理由」については、いたってシンプルだろう。溜めて、溜めて、溜めて、放出するのは、何においても気持ちが良い。決勝でコレをやるという根性が凄い、と凡百たる私は思ってしまうのだが、彼らにだって勝つための考えがあるのだろうし、やはりこのセンセーショナルさが金属バットであろう。優勝どうこうは後からついてくるものであり、やはり先にあるのは「漫才」そのものなわけで、我々はただ、金属バットの「漫才」に立ち会ったのである。

さて、もうこれを読んでいるほとんどの人が既に知っているだろうけれども、トットと金属バット、語呂の良いふた組のどちらが優勝したのかは、ぜひFODでご確認いただきたい。「THE SECOND」はドラマ部分も見ごたえたっぷり。いいところで流れるTHE YELLOW MONKEYに、きっと胸が熱くなることだろう。

■文=城戸

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