「蕁麻疹の薬」の副作用となる症状はご存知ですか?市販薬と処方薬の違いも解説!

「蕁麻疹の薬」の副作用となる症状はご存知ですか?市販薬と処方薬の違いも解説!

皮膚の一部に突然かゆみを伴う赤い膨疹(ぼうしん:一時的に皮膚が盛りあがる状態)が出たことはないでしょうか。膨疹が24時間以内に跡形もなく消えてしまった場合、それは蕁麻疹だったかもしれません。本記事では、蕁麻疹の治療法を解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

蕁麻疹の基礎知識

蕁麻疹の基礎知識

蕁麻疹はどのような病気ですか?

蕁麻疹は、何らかのきっかけにより、一時的にかゆみを伴う赤い膨疹が皮膚にできる病気です。ときにはチクチクした痛みを感じる場合もあります。ほとんどの場合、24時間以内にきれいに消失しますが、慢性蕁麻疹とよばれ、6週間以上症状が持続する場合もあります。

膨疹の形には円形、線状、花びら状などがあり、大きさも1~2mm程度から手足全体に及ぶほどのものまでさまざまです。そのほかに特殊な蕁麻疹としてまぶたや唇が腫れる場合もあり、血管性浮腫とよばれます。血管性浮腫は2、3日後にもとに戻ります。

蕁麻疹の原因は、特定できる場合とできない場合があります。引き金となりえる原因は以下のとおり多岐に渡り、いくつかの要因が複合的に関与する場合も多くあります。

細菌やウイルスへの感染

物理的刺激(皮膚の摩擦や接触、温熱、寒冷など)

運動

発汗

入浴

精神的緊張

体温上昇

食物(青魚、甲殻類、果物、そば、タケノコ、食品添加物など)

薬剤(非ステロイド性抗炎症薬など)

また、原因物質の特定可否に関わらず、ストレスや疲労、膠原病をはじめとする自己免疫疾患などの基礎疾患なども背景にあると考えられています。

なお、ほとんどの蕁麻疹は皮膚症状のみですが、まれにアナフィラキシーの一部として現れる場合があります。アナフィラキシーは、複数の臓器に同時かつ急速に強いアレルギー反応が起こる、生命の危機に関わる重篤な状態です。皮膚症状だけでなく、息苦しさ、めまい、意識の低下、激しい嘔吐、下痢、腹痛などが現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、早急に病院を受診する必要があります。

参照:『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』(日本皮膚科学会)

蕁麻疹ができるメカニズムを教えてください

何らかの機序により、血管の周りに存在するマスト細胞からヒスタミンを主成分とする化学物質が放出されます。その結果、血液中の血漿成分が集まって血管が膨張し、血管から血漿が染み出して皮膚が赤く盛りあがります。また、ヒスタミンが近くをはしる神経に作用することで、かゆみを生じます。

通常の蕁麻疹では、皮膚の表層の血管が反応しますが、血管性浮腫では、皮膚の深部を通る血管が反応します。

病院での蕁麻疹の治療法

病院での蕁麻疹の治療法

蕁麻疹は病院での治療で治る病気ですか?

病院で処方される薬の使用や原因物質の回避などによって、症状が治まる場合が大半です。

早めに病院を受診することで、症状を緩和させることができます。皮膚症状のみ出ている場合は、皮膚科の受診を検討しましょう。そのほかに全身症状が出ている場合には、内科を受診するとよいでしょう。

病院で処方される蕁麻疹の治療薬の種類と効果を教えてください

蕁麻疹の治療では、抗ヒスタミン薬を第一選択薬として使用します。
抗ヒスタミン薬は、放出されたヒスタミンが神経に作用するのを防ぐことで、ヒスタミンのはたらきを抑え、症状を抑制します。
抗ヒスタミン薬の投与で改善しない場合、以下の治療を検討します。

同じ抗ヒスタミン薬のまま投与量を増量

ほかの抗ヒスタミン薬に変更

さまざまな抗ヒスタミン薬の投与パターンを試しても改善しない場合は、補助的に以下の薬を併用することもあります。

H2拮抗薬(※)

抗ロイコトリエン薬(※)

ジアフェニルスルフォン

グリチルリチン製剤

トラネキサム酸

※蕁麻疹に適用の承認がおりていない薬もあります。適用外での使用は、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。

抗ヒスタミン薬で改善しない重症の特発性慢性蕁麻疹に対しては、デュピルマブ製剤やオマリズマブ製剤などの生物学的製剤を使用することもあります。マスト細胞の活性化を抑えることで、ヒスタミンの分泌を抑制します。

また、全身の3割以上をかきむしるなどの強いかゆみがある場合には、副腎皮質ステロイドの内服または注射を抗ヒスタミン薬と併用することもあります。ステロイドは、ヒスタミンによる炎症反応を強力に抑制しますが、副作用が強いため、慎重に投与を検討します。

かゆみを鎮めるために、石炭酸亜鉛華リニメントや抗ヒスタミン薬含有軟膏、クロタミトン軟膏などの外用薬を用いることもあります。

蕁麻疹の処方薬に副作用はありますか?

抗ヒスタミン薬の一般的な副作用として、眠気、お口の渇き、めまい、ふらつき、だるさ、下痢などが挙げられます。抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代が存在し、現在処方薬で一般的に処方される第二世代では、第一世代に比べて眠気が少なくなるよう設計されています。ただ、薬剤によって副作用の程度や頻度が異なるため、医師と相談のうえ、ご自身に合った薬剤を選択するとよいでしょう。

蕁麻疹には薬以外の治療法がありますか?

蕁麻疹の原因が特定できる場合には、原因物質を回避することが重要かつ一般的な治療法
です。

逆に原因となる刺激を意図的に負荷し続けて慣らしていくことで、過敏性を軽減できることもあります。ただし、条件を誤るとアナフィラキシーを誘発しかねないため、十分な経験のある医師の指導のもとで行う必要があります。

そのほかに対処療法として、特にかゆい部分を鎮めるために、局所的に冷やすことでも効果を期待できます。

配信元: Medical DOC

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