
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、小学生の娘がいじめ被害にあっていると知った母・家族がいじめと戦う作品「「お母さんの言うとおり」にしてきたのに 家族全員でいじめと戦うということ。 サキコの場合」(KADOKAWA)をピックアップ。
この記事では、著者のさやけんさんにインタビューを行い、本作で共感してほしいポイントやキャラクターを作る上で、最も意識したことなどをおうかがいした。
■唯一の親友と思っていたハルコに裏切られたサキコの逆恨み

我が子のためなら、一緒に遊ぶ子供にも、幼稚園の先生にも食って掛かる。モンスターペアレント化した過剰な母の愛に包まれ、育てられたサキコは、やがて自身に原因はなく、「あいつらが全部悪いんだ」と他責思考になるように…。
「家族全員でいじめと戦うということ。」の主人公・ハルコがいじめられる原因となったサキコのサイドを描いたスピンオフ作品「サキコの場合」。母子ともに良好な関係だったナツミ・ハルコと華・サキコたちは、どうして関係がこじれてしまったのか? サキコの視点から、歪んだ母子の愛情、そしてハルコとの友情と決裂が語られる。
■我が子かわいさのあまりにモンスターペアレント化

——「家族全員でいじめと戦うということ。」シリーズは「いじめ問題」を描くにあたり、当事者同士だけでなく「家族全員で戦う」という側面にフォーカスしています。その理由を教えてください。
我が子がいじめ被害を受けた時、保護者感情としては「なんとしても助けてあげたい」「いじめから救ってあげたい」という思いと同時に、「我が子をこんな目にあわせたことを絶対に許さない」と、そう考えるものだと思います。
1作目に登場する母も、2作目の母と同様、子どもの現状に対して周りの人間に対し感情的になったり、責任の所在を求めたり、何事も悪い方にばかり捉えてしまう場面がありましたが、おおよその親がそうなってしまい、俯瞰で考えるといったような冷静さは維持できないのではないでしょうか。
いじめられている子どもが1人で、いじめと立ち向かい乗り越えるのは困難なことです。
その中で、感情を暴走させることなく、本当の意味で我が子が現状を乗り越え、幸せに生きていくためにはどうしたら良いか。
言葉で言うのは簡単ですが、私自身も作品を描くにあたり改めて考えておきたい。と思い、このタイトルに決めて描き始めました。
——主人公のサキコは、親の教えを守る真面目さゆえに苦しむことになります。サキコのキャラクターを作る上で、最も意識したことや共感してほしかったポイントはどこでしょうか?
子どもにとって、親の存在はとても大きく、特に幼いうちは絶対的な存在だと思います。
おおらかに育つことが許されない、ルールが固定されすぎた家庭において、こどもは身体的実害からの安全は手に入れますが、1人で生きる強さ、挫折を乗り越える柔軟性を身につけることが難しくなるでしょう。逆もまた然りで。
サキコというキャラクターは、子育てをする家庭にとっては全く無関係ではない、正解のない中でのひとつの結果だと考えてもらえると嬉しいです。
かくいう私も、つい心配から過保護になり過ぎてしまい、こどもたちの言動や成長の様子からその影響を感じることもままあり、「おっと これではいけない。もう少しおおらかに考えなくては」と考え直すきっかけにもなりました。
——サキコのお母さんもまた、娘を思うがゆえに空回りしたり、時に間違えたりする姿がリアルに描かれています。「母親」という存在を描く上で苦労した点やこだわった点を教えてください。
お腹の中でゆっくり育ち、ようやく出会えた我が子は、目を離すと命すら危うい存在で、母親というものは、その瞬間から我が子の命を守るため奔走し、成長を強いられます。
大事な我が子ですから、傷つけられたくない、笑っていてほしい、幸せな人生を歩んでほしいと、理想の未来を思い描いたりもすることもあると思います。
ありえないほど自己中心的になってしまうサキコの母ですが、そうした感情に陥った理由に、「ああ、こういう人いるよね」「こういう背景があればそうなるかもね」と、少しでも共感できるように、感情をよりリアルに描くことにこだわりました。

