慢性腎臓病(CKD)を抱えている方は、健康な方と比べてサプリメントのリスクが大きく異なります。腎臓のろ過機能が低下しているため、通常であれば問題にならない量の成分でも体内に蓄積されやすく、重篤な合併症につながることがあります。どのような成分に気をつけるべきか、また使用を検討する際の進め方について確認しておきましょう。

監修医師:
田中 茂(医師)
専門は内科学・腎臓内科・血液透析・腹膜透析・臨床疫学・生物統計学
長期的なサプリメントの飲み続けに伴うリスク
サプリメントは単発の摂取よりも、長期にわたって飲み続けることで蓄積性のリスクが高まるものがあります。特に脂溶性ビタミンや一部のミネラルは、短期間では問題が現れなくても、数ヶ月・数年単位で摂取を続けることで臓器への蓄積が起こりやすくなります。
長期摂取で問題になりやすい成分と症状
ビタミンAを長期かつ過剰に摂取し続けた場合、肝臓での蓄積が進み、慢性ビタミンA過剰症として知られる肝臓障害や骨粗しょう症(こつそしょうしょう)に近い骨の変化が生じることがあります。また、ビタミンDの長期過剰摂取では腎臓への石灰沈着が生じ、慢性腎不全のリスクが高まることも報告されています。
鉄のサプリメントを長期的に過剰摂取した場合には、肝臓・心臓・すい臓などの臓器に鉄が沈着し、臓器機能の低下を引き起こすことがあります。セレンの長期過剰摂取では慢性セレン中毒として疲労感・集中力の低下・消化器症状が持続することが知られています。このように、長期使用では短期的には現れにくいリスクが潜んでいるため、定期的に摂取量を見直すことが大切です。
サプリメントの「休薬」(摂取の中断)という考え方
医薬品の世界では、一定期間使用した後に休薬期間を設けることがあります。サプリメントにも同様の考え方を取り入れることが望ましいとされる場合があります。例えば、脂溶性ビタミンや鉄などの蓄積性の高い成分は、数ヶ月ごとに血液検査を受けて体内蓄積量を確認しながら摂取するか、医師の指導のもとで定期的に休薬することが身体への負担を軽減することにつながります。
「飲み続けた方が効果が持続する」という考えは必ずしも正確ではありません。身体の状態・食生活・季節によって必要な栄養素は変化します。定期的に自分の栄養状態を見直し、サプリメントが本当に必要か、用量は適切かを確認する習慣を持つことが、長期的な健康につながる姿勢といえます。
まとめ
サプリメントは正しく使えば身体の助けとなりますが、飲み過ぎや危険な組み合わせは腎臓・肝臓に深刻な負担を与える可能性があります。複数のサプリメントや医薬品と組み合わせる際は特に注意が必要です。気になる症状がある方や持病のある方は、自己判断せずに内科や腎臓内科などの医療機関に相談することを強くおすすめします。
参考文献
厚生労働省「いわゆる「健康食品」のホームページ」
厚生労働省「「健康食品」に係る制度に関する質疑応答集について」
消費者庁「食品表示」
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