渡航前に頭に叩き込め、JFA幹部「AI生成児童ポルノ」有罪判決に学ぶ 「法律を知らなかった」で失う社会的地位

渡航前に頭に叩き込め、JFA幹部「AI生成児童ポルノ」有罪判決に学ぶ 「法律を知らなかった」で失う社会的地位

●生成AIでも「児童ポルノ」に該当、フランス刑法の厳しい規定

——影山氏は「見ていたのは生成AIで作成したもの」などと主張したそうですが、フランスではどのように扱われますか。

取り調べで警察が影山氏のパソコンから計1621件の児童ポルノ関連の画像や動画を発見したとも報じられています。

報道によると、これらはいずれも生成AIによって作成されたものであり、影山氏が入力したAIスクリプトでは「脚を開いている短髪の日本人の女の子」、「幼い女子が男性に洋服を脱がされている」等が警察によって確認されたとも報じられています。

6日の公判では、影山氏はこれらの画像や動画を機内で閲覧したことこそ認めたものの、画像や動画がフランスで禁止されていると知らなかったとも発言したほか、「AIが生成した芸術作品を見ていた」と裁判中に発言したと報じられました。

では、生成AIによって作成されたこれらの画像や動画はフランス刑法上では「児童ポルノ」として扱われるのでしょうか。

フランス刑法では次のような規定があります。

「未成年者の映像又は描写であって、わいせつな性質を有するものを、公然又は公表を目的として撮影し、録画し、若しくは送信した者は、5年以下の懲役又は7万5千ユーロ以下の罰金に処する。15歳未満の者の姿態について前項の行為をしたときは、公表を目的としなかった場合であっても、同様とする」

フランス刑法では「未成年者の描写」、つまり写真等の実物の未成年の画像だけでなく、絵画や生成AI等、人工的に作成された実在しない未成年者の画像や動画も刑罰の対象となります。

また、公表方法やデバイス、メディア等に関する媒体の指定もなく、いかなる方法・媒体で公表された場合であっても、刑罰の対象となります。

●禁錮や罰金のほか付加刑も「入国禁止」「性犯罪者名簿への登録」

——禁錮や罰金のほか、入国禁止や未成年者に関わる業務禁止などの刑罰も言い渡されたそうです。

実際の判決文は閲覧しておりませんが、現地報道によると、執行猶予付き禁固18カ月と罰金5000ユーロの有罪判決に加えて、次の付加刑(peines complémentaires)が言い渡されました。

10年間のフランス入国禁止 フランスの性犯罪者名簿への登録 10年間、未成年者に関わる業務への従事禁止

付加刑とは、主刑に加えて裁判所が科すことのできる刑罰であり、主刑が禁固刑である場合には、その性質や法令で定められた範囲に応じて裁判官が追加で命じることが可能です。

これらの付加刑は、犯罪の性質、被告人の更生の保障、社会的危険の防止、被害者保護の観点から重要な役割を果たすものとされています。

今回、影山氏に言い渡された付加刑のうち、「未成年者に関わる業務への従事禁止」は、犯罪の性質上、未成年者の保護を目的とした措置です。一方で、仏メディアは、これらの刑は日本国内では適用されないとも報じております。

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