通所介護も「微増」――サービス革新が明暗を分ける
通所介護事業者数はこの10年で微増にとどまっていますが、勝ち残るのは「新しいサービス」を提供できる事業所です。
【事例】
B社(大阪府・デイサービス)は、リハビリ専門職を常駐させ、個別機能訓練や認知症予防プログラムを導入。利用者の満足度が高く、口コミで新規利用者が増加。スタッフの定着率も高く、安定した経営を維持しています。
逆に、レクリエーション中心で目新しさのない事業所は、利用者減少で経営難に陥っています。
生産性向上は不可避――「生産性向上推進体制加算」とAI活用

2024年度の介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算」は、ICTやテクノロジー導入による業務効率化とサービス質向上を評価する制度です。
加算(I.)は月100単位、加算(II.)は月10単位で、委員会の開催や見守り機器の導入、業務改善の継続が求められます。
この加算を取得することで、事業所の収益力と職員の負担軽減、サービスの質向上を同時に実現できます。
【事例】
C社(神奈川県・小規模多機能型)は、介護記録やシフト管理をクラウド化し、見守りセンサーを全室に導入。生産性向上推進体制加算(I.)を取得し、加算分をスタッフの手当やICT機器の更新費用に充当。業務効率が大幅に向上し、スタッフの残業時間も半減しました。
今後は生成AIの活用も不可欠です。
例えば、AIによるケアプラン作成支援、記録自動化、シフト最適化など、人的リソースの限界を補うツールとして期待されています。
AI導入により、事務作業の大幅な効率化が実現し、スタッフが本来のケア業務に集中できる環境が整います。

