食品中のAGEsは消化管で一部分解されますが、約10〜30%が腸管から吸収され、全身の組織に蓄積していく可能性があります。血管壁や皮膚、腎臓など、さまざまな部位への蓄積が老化や慢性疾患と関連するとされています。揚げ物を習慣的に食べることが身体にどのような影響をもたらすのか、具体的に見ていきます。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
揚げ物(フライドポテト等)から摂取されるAGEsが体内に与える影響
このセクションでは、食事から摂取されたAGEsが体内でどのような経路をたどり、どのような影響をもたらすのかについて具体的に説明します。日常の食習慣と身体の変化のつながりを理解することで、食の選択を見直すきっかけになるでしょう。
消化・吸収・蓄積のプロセス
食品中のAGEsは、消化管で部分的に分解されますが、すべてが消化されるわけではありません。研究によると、食事から摂取したAGEsの約10〜30%が腸管から吸収されるとされており、吸収されたものの多くは腎臓を通じて尿中に排泄されます。しかし、排泄されなかったAGEsは血液中をめぐり、全身の組織に蓄積していく可能性があります。
蓄積が起きやすい場所として、血管壁・腎臓・皮膚・目の水晶体・神経組織などが挙げられます。これらの組織にAGEsが積み重なると、それぞれの機能に支障をきたす可能性があります。血管壁への蓄積は動脈の硬化を招きやすく、皮膚への蓄積はコラーゲンの変性を通じて弾力の低下につながるとされています。
特に注意が必要なのは、AGEsが「RAGE」(AGEs受容体)と呼ばれる受容体に結合することで引き起こされる反応です。RAGEにAGEsが結合すると、炎症性の物質(サイトカイン)が放出され、慢性的な炎症状態が続きやすくなります。慢性炎症は老化を促進するだけでなく、動脈硬化や糖尿病の進行にも関与すると考えられています。
食事からのAGEs摂取を制限した研究では、血中のAGEs濃度や炎症マーカーが低下したことが確認されています。このことは、日常の食習慣を変えることがAGEsの蓄積を抑えるうえで有効である可能性を示しています。
揚げ物の過剰摂取がもたらす健康リスク
揚げ物を習慣的に摂取することによるAGEsの蓄積は、さまざまな健康リスクと関連しているとされています。なかでも代表的なものとして、糖尿病の進行促進・心血管疾患のリスク上昇・腎機能への影響が挙げられます。
糖尿病との関連で言えば、AGEsはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を傷つける方向に働くとされており、インスリン抵抗性の悪化に関与するとも考えられています。糖尿病の方が揚げ物を日常的に摂取することで、AGEsの蓄積が加速し、合併症のリスクがさらに高まる可能性が指摘されています。
心血管疾患との関連では、AGEsによる血管壁の硬化がとくに問題とされています。動脈が硬くなると血圧が上がりやすくなり、心臓への負担が増します。また、AGEsはLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の酸化を促進させるとされており、動脈硬化の進行を加速させる方向に作用すると報告されています。
腎機能への影響も見逃せません。腎臓はAGEsを排泄する重要な器官ですが、AGEsそのものが腎臓の組織を傷つける可能性も指摘されています。腎機能が低下するとAGEsの排泄が滞り、さらに蓄積が進むという悪循環が生じる可能性があります。これらのリスクを理解したうえで、揚げ物の摂取頻度を見直すことが重要です。
まとめ
揚げ物、とくにフライドポテトには終末糖化産物(AGEs)が多く含まれており、継続的な摂取によって老化の促進や慢性疾患リスクの上昇につながる可能性があります。しかし、調理法や食べ方の工夫、ベリー類・緑茶・しょうがといった抗酸化作用のある食材の活用、そして運動・睡眠を含む生活習慣の見直しによって、そのリスクを抑えることは十分に可能です。日常のちょっとした選択の積み重ねが、長期的な健康と老化ペースに影響します。気になる症状や持病をお持ちの方は、ぜひ内科や糖尿病内科などの医療機関に相談してみてください。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
国立循環器病研究センター「脂質異常症」
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