
おいしいものを食べているときだけが「幸せ」だった、ぽっちゃり体型の女子高生・詩歌。しかしスポーツテストで飛べば男子から「マグニチュードどんくらいっすか?」とからかわれ、親友たちとの間にも疎外感を感じ始める。家族からも「豚みてぇにがっつくな」と言われ、心の拠り所を失っていく。そんな少女が痩せたいと願い、摂食障害の沼に落ちていく姿を描いたイララモモイ(@iroiro_kangae)さんの漫画『付き合えなくていいのに』の「詩歌と北山の場合」がSNSで大反響を呼んでいる。リアルな女子の人間関係を描いた本作について、作者に話を聞いた。
■人間関係への不全感が引き起こす食への執着



もともと摂食障害をテーマにした漫画を描きたい気持ちがあったというイララモモイさんは、登場人物の1人である詩歌のバックグラウンドを考えたときに、この設定が最もしっくりくると感じて執筆を決めた。劇中では、詩歌がどれだけダイエットを頑張っても教室でお腹が鳴り、トイレで親友に悪口を言われる瞬間を目撃するなど、周囲から受け入れられない描写が続く。
「自分には価値がない」と詩歌が絶望していくシーンには多くの共感の声が届いている。こだわった部分について、イララモモイさんは次のように語る。「大きなテーマである詩歌の『食への恐怖』や『執着心』は、人間関係への不全感によって強まる部分が大きいと考えていたので、そういった面の絶望感のリアリティにはこだわりました」。頑張れば頑張るほどいい方向へは進まない、少女の切実な歪みが細部まで表現されている。
■自身の経験と知識を活かした詩歌像の構築
嫌なことがあるたびにコンビニで好きなものを買い込み、過食に走ってしまう詩歌。友達も、SNSで優しくしてくれた黒猫さんも、誰も助けてはくれない絶望のなかで、やっぱり食べ物だけが自分を満たしてくれるというループから抜け出せない。
キャラクターのモデルについて、イララモモイさんは「はっきりこの人、というものはありません」としたうえで、自身が「食への難しさ」を感じた経験や、摂食障害に関する参考書、論文、SNSの発信から得た知識を活かしながら詩歌像を作り上げたと明かす。人間関係に悩み、食との距離感に迷う現代人に、きっと深く刺さるはずだ。
取材協力:イララモモイ(@iroiro_kangae)
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