
波瑠と麻生久美子がW主演を務めるドラマ「月夜行路 -答えは名作の中に-」(毎週水曜夜10:00-10:54、日本テレビ系/Huluにて配信)の第8話が5月27日に放送された。毎話、文学と密接につながって事件や人物関係がひも解かれる本作。今回は、世界中で愛される「赤毛のアン」に重ねられる展開で感動を呼んだ。(以下、ネタバレを含みます)
■バーのママ×専業主婦の異色バディによるミステリー
本作は、ミステリー作家・秋吉理香子氏の同名小説が原作の“痛快文学ロードミステリー”。
波瑠が演じるのは、重度の文学オタクである銀座のバー「マーキームーン」のママ・野宮ルナ。麻生は、仕事漬けの夫と反抗期の子どもにないがしろにされる主婦・沢辻涼子に扮(ふん)する。ひょんなことから出会った2人はバディとなり、ルナの文学の知識を生かして、行く先々で出合う事件の真相と入り組んだ人間ドラマをひも解いていく。
出演はほかに、涼子の夫で大手出版社に勤める菊雄役を田中直樹、ルナの同級生で大阪府警から警視庁で研修中の刑事・田村徹矢役を柳俊太郎、田村の元相棒・小湊弘樹役を渋川清彦が務める。
■涼子はバブリーの願いに付き添うことに
ルナの父・英介(石橋凌)のパソコンにあるらしい秘密。ルナは、母・美里(石野真子)から依頼され、涼子と共にパスコード解読を試みているが、まだ達成できずにいた。
そんなある日、涼子はルナが経営するバーの店員・バブリー(真田怜臣)から同郷の幼なじみ・マミ(恒松祐里)が結婚するため、ひと目でいいから彼女の花嫁姿を見届けたいと聞かされる。しかし、トランスジェンダー女性であるバブリーは、マミに正体を隠したままにしたいと思っていた。
涼子は、バブリーに式が行われるホテルに付き添うと申し出た。会わないとなっても、そのホテルで開催されている「赤毛のアン」をテーマにしたスイーツフェアを楽しめばいいとも提案した。
その後、ルナは涼子にトランスジェンダーの苦悩を明かした。「昔の知り合いに会えない理由はいろいろある。生きづらかった時代を思い出してつらくなる人もいるし、新しい人生を生きるために過去を捨てる人もいる。理解してもらうことの難しさが身に染みている場合もある」のだという。自分も大阪で田村に会ったとき、本当は身構えたが、田村が切り出してくれたのがうれしかったとも明かした。
涼子は自分の発言が軽はずみだったかと反省するが、ルナは涼子の優しさはバブリーも分かっていると告げた。ただ「デリケートな話ではあるから、バブリーちゃんのこと、ちゃんと見ててあげて」と頼んだ。
■窃盗事件の犯人をルナが暴く
式の当日、ルナもスイーツフェアに来たと装って駆け付けた。ところが、バブリーの落ち着いた服装からホテルスタッフに間違われてマミに話し掛けられるというハプニングに始まり、ホテルにあった高級ジュエリーとともにマミが母の形見として大事にしていたティアラが盗まれてしまう展開に。
近隣で起きていた宝石店連続窃盗事件の犯人によるものという疑いで、捜査に来ていた田村に協力し、ルナは持ち前の推理力でホテルスタッフのふりをしていた犯人を見つけ出した。
それで無事に結婚式が行われるかと思いきや、マミのティアラが入った証拠品のスーツケースを手違いで発送されてしまった。バブリーは懸命に追いかけて取り戻すと、会場に向かうマミにホテルスタッフとして手渡した。
■バブリーとマミの友情、名作「赤毛のアン」の名ぜりふが心に響く
だが、あいさつをして去ろうとするバブリーに、マミが「りっちゃん」と声を掛けた。バブリーの本名は「律」で、「りっちゃん」と呼ばれていたのだ。
実は、窃盗騒ぎの中、心配してブライズルームにいるマミのもとに行っていたバブリー。左利きのマミに合わせて水を出す位置を考慮してくれたこと、そしてオリオン座のような頬にあるほくろで気付いていたのだった。
昔と今では見た目の性別が違うバブリー。マミは驚いたものの、「でもどっちでもいい。りっちゃんが大好きって気持ちは変わんないし」と語った。そして、かつてバブリーが教えてくれた「曲がり角の向こうには、きっと最高のものが待っている」という、「赤毛のアン」に登場する言葉が心の支えになっていたと明かした。
マミが幸せな花嫁になることは、バブリーにとっての「夢」でもあった。そのマミの願いで、バブリーは結婚式に出席した。かつて幼いマミと一緒に楽しんだ“シャボン玉”が今の名前の由来であるバブリーは、花嫁姿のマミへの祝福で“バブルシャワー”の演出を、うれし涙交じりの笑顔で行った。
ルナは「世の中、涼子やマミさんみたいな人ばっかりじゃないけどね」と、理解あることばかりでないことを寂しそうに言ったが、涼子は「今はそうでも、10年後には変わってたらいいよね」と希望を語った。それも「曲がり角の向こうには、きっと最高のものが待っている」と信じたい未来だ。
ルナの見事な推理力は今回も鮮やかな一方で、トランスジェンダーであることの悩み、不安、希望を、決して重くなく、軽やかに温かく描いたのが感動的だった。ルナの母・美里も、2年ほど勉強をするうちに自然に「かわいい娘」と思えるようになったと明かしていた。ルナの父とも果たして同じような未来にたどり着けるのか注目だ。
SNSには「一番トランスジェンダーに踏み込んだ回だったと思うけど とてもよかった」「バブリーちゃんに泣かされた」「『赤毛のアン』読み返そう」「本当に10年後はもっと生きやすい世になってほしいし そうしていきたいよね」といった声が上がった。
※柳俊太郎の柳は、「木」偏に「夘」が正式表記
◆文=ザテレビジョンドラマ部

