
父親の行方を追ういつも不機嫌な殺し屋の女・サイレンスと、その殺し屋から雇われた何を考えているかわからない情報屋の男・スレッド。なかなか父親の行方がつかめないままひょんなことから同居することとなった2人だが、実はスレッドは早々に父親の行方を突き止めていた。血眼になって捜すサイレンスになぜか真実を隠し続ける情報屋の心理戦を描いた桜月(@k_sakurazuki)さんの漫画が話題を呼んでいる。かつて『結婚しない同盟』を「アルファポリス」で連載していた桜月さんに、本作の誕生秘話やこだわりの結末について話を聞いた。
■キャラクターの自立とあえて選んだ裏社会のテーマ



情報屋が主人公となった本作の構想について、桜月さんはもともと別作品の主人公の仲間として出そうと考えていたキャラクターだったと明かす。しかし話が全然まとまらず、この情報屋を主人公にして作品を作ってみようと考えたところ、想定外にうまくまとまったという。当初は1話だけの単発の予定だったが、気づけば12話まで続き、番外編を描くまでになった。
物騒な世界を描いた作品のコンセプトについて、桜月さんは次のように語る。「作品のテーマは『嫌なヤツ』です。なので、出てくるキャラはみんなちょっと嫌なヤツばかりになっています。あとは恋愛的な愛ではなく別の何かで深くつながる男女ものを描いてみたかった…というのもあり、裏の世界の物語にしたというのもあります」。ひょうひょうと嘘をつき、その嘘の中に真実を紛れ込ませて語るスレッドのキャラクター性は、この尖ったテーマから鋭く描き出されている。
■読者を翻弄する嘘と4通りのボツ最終話
スレッドがサイレンスに父親の行方を教えなかったのは、殺し屋なのに一番殺したい人を殺せずにいる姿を傍観し、一番いいタイミングで真相をカミングアウトして彼女の表情を愉しむためだったとされる。しかし、本当にそれだけのためだったのか、スレッドの真意は誰にもわからない。
本作は全12話で完結しているが、SNSでは別の結末パターンも4種類描かれており、すべて「ボツ最終話」としてpixivで無料公開されている。桜月さんは、お気に入りの結末として、その1「バレて怒られる」とその2「普通に仕事を終える」を挙げるが、テーマである「嫌なヤツ」のまま終わりたかったものの、後味が悪すぎるなと思いボツにしたという。さらに、「その4の『結婚エンド』は望んでいる人がいるかもしれない!と思って描いたのですが…。望んでいた方がいらっしゃったのかはわからないです…」と笑う。読者は、スレッドが吐いたセリフの「嘘」と「本当」を見極め、どの結末に納得できるだろうか。
取材協力:桜月(@k_sakurazuki)
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