山に入るときの心得
写真:PIXTA
山は、クマの生息域です。登山、ハイキング、渓流釣りなどのレジャーで山に行くときは、クマ対策をしましょう。
声や鈴で存在を知らせる
山ではクマ鈴をつける、ラジオをつける、同行者と会話をするなど、音を鳴らしながら進みましょう。渓流釣りでは、川の音で鈴の音が消されてしまうことがあります。1人でじっとしていると鈴が鳴らないので、ラジオなどを併用してください。
特に見通しの悪い曲がり角や草の生い茂った場所では、クマにばったり遭遇するのを避けるためにも音を立てることが大切です。
遭遇時の距離別対応
<クマとの距離が遠いとき>
落ち着いて、クマの進行方向とは別の方向に離れます。急に大声を出すなどして、クマを驚かせないようにしましょう。
<距離が近いとき>
クマがこちらに気づき、近づいては離れるという威嚇行動をとることがあります。このときに背中を見せて走ると、襲われる危険が高くなります。じっと動かないでいるのも、敵対する意思があるとみなされる恐れがあります。クマのようすを見ながら、クマとの間に木などの障害物を挟むようにして、ゆっくりと後ずさりをしてください。
<子クマを見かけたとき>
近くに母クマがいて、子どもを守ろうと襲ってくる恐れがあります。絶対に近づかないようにしてください。
至近距離でばったり遭遇したときは、クマが驚いて襲いかかってくる危険が高くなります。もし襲われたときは、地面に体を伏せて両手で首の後ろを守る防御姿勢をとることで、致命傷を避けるように努めてください。
好奇心が強く人を恐れないクマや、攻撃性の高いクマと遭遇する危険もあります。山に入るときは、襲われたときの最終手段としてクマ撃退スプレーを携行しましょう。
クマ撃退スプレーの携行位置と使い方
クマ撃退スプレーには、唐辛子の成分であるカプサイシンが入っています。クマに襲われたときに、目、鼻、口などの粘膜に焼けつくような刺激を与えて撃退するアイテムです。
携行時にはすぐ取り出せるよう、腰の専用ホルスターなど利き手ですぐに取り出せる位置に入れておくことが大切です。
使用の際にはセーフティ・クリップを外し、クマの顔をよく狙って、風上から一気に全量を噴霧します。刺激物が自分にかからないよう注意してください。クマがスプレーの射程距離に入っていないと効果がないため、使い方と使うタイミングをイメージトレーニングしておきましょう。
クマ撃退スプレーは、テントの周りや近くの草むらに予防として使っても、クマ除けの効果はありません。まずは音を鳴らしてクマとの遭遇を避けるなど、対策をしっかりと行うことが大切です。
<こちらの記事もよく読まれています!>→その山、活火山かも? 火山登山に必要な備えと行動のポイント
まとめ
気候変動の影響で、クマのエサとなるブナの林そのものが減少しているという報告もあります。クマがエサを求めて人の生活圏に現れる状況は、これからも続いていくと考えた方がよいでしょう。クマに遭遇したときはゆっくりと後退して離れ、車の中や家の中に避難してください。おとなしそうに見えても食べ物を与えたり、写真を撮ろうとして近づいたりするのは、絶対にやめましょう。
<執筆者プロフィル>
山見美穂子
フリーライター・防災士
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。
