
小池栄子が主演を務める土曜ドラマ「ムショラン三ツ星」(毎週土曜夜10:00-10:45、NHK総合)の第2話が5月30日(土)に放送されることに先駆け、フードコーディネーターの石田有花氏と、原作者で現役刑務所管理栄養士の黒柳桂子氏のコメントが到着した。
■刑務所の“食”から更生を目指す社会派コメディー
本作は、現役の刑務所管理栄養士・黒柳桂子氏によるノンフィクションをドラマ化した社会派コメディー。腕利きのイタリアンシェフだった主人公・銀林葉子(小池)が、ひょんなことから刑務所の管理栄養士として働くことになり、塀の中の刑務官や受刑者たちと衝突しながらも、食を通して更生への道を探る姿を描く。共演には中村蒼、ともさかりえ、玉置玲央、関口メンディー、生瀬勝久、國村隼らが名を連ねる。
「料理」が重要なモチーフとなるこのドラマで、劇中に登場するすべての料理の監修・撮影時の調理・出演者への所作指導を担当したのが、フードコーディネーター・石田有花氏。刑務所給食を再現する上での工夫やこだわり、撮影の裏側やキャストとの交流などを明かした。
■フードコーディネーター・石田有花氏のコメント
――刑務所給食を作るうえでの難しさはどんなところでしたか?
これまでも映像作品のフードコーディネーターをしてきましたが、刑務所にいる受刑者が給食を作るシチュエーションは経験したことがなかったので、どうすればリアルに見えるのか悩みました。たとえば第1話の前半は、まだ葉子さん(小池栄子)が刑務所にやってくる前で、料理を教える人がいないため不格好な野菜炒めが給食で出ていたというシーンがありましたが、それがすごく難しかったですね。これまでのフードコーディネーターの仕事では、キレイでおいしそうに見える料理を心掛けていたので、私にとってもいい経験になりました。
また「給食」の特徴で、一度にたくさん作らないといけないことも大変でしたね。事前に自宅のキッチンで練習しようにも、そんなに大きなお鍋や調理器具もありませんし。加熱時間や調味料の量などの計算も難しかったです。おかげさまで無事に全うできて、今は達成感を感じています。
――キャストの皆さんとはどのようなコミュニケーションをとられましたか?
調理シーンの撮影では、実際の刑務所でも受刑者の皆さんは(例外を除き)プロの料理人ではないので、ドラマでもおのおのの役者さんが思うようにやってもらった方がリアルかなと思い、所作指導はあえて控えめにしました。
たとえば、興奮するとすぐラップが飛び出る久我瑛人役のDOTAMAさんは包丁の持ち方が危なっかしくて、そこはさすがに少し注意しましたが、包丁に慣れていないその感じがリアルでいいなと思ったり。逆に、みんなから「アニキ」と呼ばれている梅川龍二役の板橋駿谷さんは最初から包丁の扱いが上手で、中にはそういう人がいても自然かなと思ったのでそのままやっていただきました。
葉子さん役の小池さんは、現場でもかっこよくて優しくて、葉子さん役にぴったりだなと思いました。撮影の合間はおいしいものや生活用品などを紹介し合ったりして、情報交換させていただくのが楽しかったです。受刑者役の皆さんとは、チームワークを感じられた瞬間もありました。たとえば第1話に出てきたコロッケや、この先に登場するドーナツなど、揚げ物の調理シーンでは、カットがかかったあともそのまま油に入れておくと加熱が進んで料理が焦げてしまうので、受刑者役の皆さんも協力して油から取り出してくださって。そのチームプレーや思いやりは、ドラマにもにじみ出ていると思います。
――撮影期間中はたくさんの刑務所料理を作ったと思いますが、この仕事を通して感じたことなどあれば教えてください。
撮影を見ていると、みんなで一緒に給食を作ることで受刑者役の皆さんが結束力や達成感を実感されていく姿がありました。みんなで何かを作るっていいなと思いましたし、少しスポーツにも似ているなと感じましたね。チームで一緒に“メニュー完成”というゴールを目指すような。そういった目線で受刑者たちの更生への道を描いているドラマだと思うので、受刑者への見方、刑務官への見方など、新しい視点が生まれて自身の学びにもなりました。
――視聴者の方へメッセージをお願いします。
刑務所が舞台なので重い作品なのかなと思われるかもしれませんが、コメディー要素もたくさんあるので楽しく見られると思います。個人的には、物語を重ねていくごとに変化していく料理の出来栄えにも注目してほしいなと思っています。葉子さんが刑務所に来る前と来た後では、受刑者たちの心情や作業の手元なども含めて成長しているので。また、受刑者各々が持つ“食に関する物語”も今後は楽しみなポイントだと思います。


■原作・黒柳桂子氏のコメント
――原作者として、ドラマをどうご覧になっていますか?
炊場を再現したセットに見学に行ったとき、ドラマスタッフが私に「なんでもご指摘ください!」と言ってくださいました。そこで私からは、調理道具を衛生的な観点で配置替えしたり、受刑者にとって凶器になるものは鍵付きのところに置いたり、その場でいくつかは修正させていただきましたが、すごく細かいところまで忠実に再現しようとする熱意と意気込みを感じてとても感激しました。
――視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
放送が始まり、皆さんもうお気づきかと思いますが、この作品はコメディーとして見てほしいと思っています。刑務所を舞台とした作品なので、おもしろおかしく野次馬的に見たら不謹慎なのではと懸念される方もいるかもしれませんが、むしろ私は、「刑務所のメシって何!?」という興味本位でご覧いただきたいと思っています。そこから、刑務所ってこういうところなんだ、こういう人たちがいるんだと知ってもらえたらいいなと思います。そうすると、この言い方が適当か分からないのですが、ある意味刑務所を身近に感じていただけるんじゃないかと思うんです。
「刑務所の環境なんて良くする必要はない」と言われることもありますが、私は栄養士としてそこで働いていますし、刑務官たちは真夏でも制服を着崩すことなく職務に当たっています。あの中で働いている人もいるんだよということも、このドラマを通して少しでも多くの人に認識していただけたらうれしいです。
土曜ドラマ「ムショラン三ツ星」第2話は5月30日(土)夜10:00から放送予定。
※黒柳桂子氏の柳は、「木」偏に「夘」が正式表記

