
メンズエステを舞台に、人の心の奥底に寄り添うセラピスト・加恋の活躍を描く創作漫画「メンエス嬢加恋・職業は恋愛です」。蒼乃シュウLINK_TAB(https://twitter.com/pinokodoaonoshu)[/LINK_TAB]さんによる本作は、さまざまな悩みを抱えた客との交流を通して人間模様を描く人気シリーズだ。今回登場するのは、女性に夢を見せることを生業とするホストの渋沢イーロン。母親との複雑な過去を抱える彼の物語に込めた思いについて、作者に話を聞いた。
■主人公は愛を売るホスト



今回の客をホストにした理由について蒼乃さんは、「メンズエステ嬢とホストはよく似ていて、どちらも異性のお客様にサービスをし、疑似恋愛を通じてお金をいただく世界だから」と説明する。「もしかすると共通の悩みや素性があるのではと思った」と語り、その共通点から物語を発想したという。
また、ホストという職業には一般的に「女性にお金を貢がせる悪い男」というイメージがある一方で、実際には健全な接客で楽しい時間を提供している人も多いと話す。そのうえで、「人気のあるホストのように魅力的な男性ほど、心の闇を抱えているのではないか」と考えたそうだ。「闇があるからこそ、女性が抱える闇や満たされない気持ちにも共感できるのではないかな」と、その人物像を語った。
■母親の言葉に込めた背景
加恋の施術を受けながら、幼少期を思い出すイーロン。母親の恋人が家に来る日は500円を渡されて外で時間をつぶし、恋人と過ごす母親の幸せそうな姿を見て育った。しかし恋人との関係がうまくいかなくなると母親は荒れ、「あんたなんて産むんじゃなかった」と言い放つ。
蒼乃さんは、このような描写は漫画やドラマで繰り返し描かれてきた定番のシーンであることを認めながらも、「実際に子どもへそう言ってしまう、あるいはそう思ってしまう親は存在するので、あえて描いた」と説明する。
ただし伝えたかったのは「ひどい母親がいる」という単純な話ではない。「彼女自身、母親になりたくてなったわけではないという、誰にも理解されない悲しみを抱えている」と語り、本当はもっと遊びたかったり恋愛を楽しみたかったりした気持ちもあったのではないかと考察する蒼乃さんだ。
さらに、「母親なんだから」「母親のくせに」という周囲の視線や、「子どもを愛さない母親なんていないはず」という価値観も彼女を苦しめていたのではないかと指摘。「子どもよりも自分の欲求を優先してしまう女性もきっと存在している。それを『悪い母親』と決めつけるのではなく、理解しようとすることが大切ではないでしょうか」と語った。
■イーロンはなぜホストになった?
蒼乃さんによると、イーロンは母親を恨んでいるわけではない。むしろ母親を笑顔にできなかった自分を「情けない男」だと思っているという。そんな彼がホストになった背景について、「女性はみんな、恋愛しているときが一番幸せだと思い込んでいる」と説明する。その考えから、どんな女性にも恋愛の夢を見せられるホストという仕事を選び、それが天職になったのだという。
また、「イーロンにハマる女性客は何かしら満たされない気持ちを抱えていて、その隙間にするっと入り込むことが得意なんじゃないでしょうか」と分析。「無意識に、母親から与えられなかった愛情を客の女性に与えることで、自分自身も満たされようとしているのかもしれません」と語った。
■加恋にも隠された過去が
施術を終えたイーロンは、「オレはこの世界でしか生きられない。あんただってそうだろう?」と言い残して店を後にする。その言葉を聞いた加恋の表情は曇り、彼女自身もまた何かを抱えていることを感じさせた。
人の心を癒やしてきた加恋の過去や闇が明かされる日は来るのか。今後の展開にも注目したい。
取材協力:蒼乃シュウ(@pinokodoaonoshu)
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