甲状腺疾患の予防法・早期発見のポイント
編集部
甲状腺疾患を予防する方法はありますか?
蛭間先生
完全に予防するのは難しいのですが、バランスのとれた食生活や十分な睡眠が重要です。また、喫煙している人はバセドウ病の発症率が高いため禁煙をおすすめします。加えて、繰り返しになりますが、ヨウ素を極端に摂りすぎたり制限したりしないことも大切です。そして、予防以上に意識していただきたいのが、早期発見・早期治療です。
編集部
早期発見のためには、どのような点に注意すればよいですか?
蛭間先生
普段と違う体調の変化に気づくことが第一歩です。疲労感や体重変化、動悸などが長引くときは受診を検討してください。首のしこりや腫れに気づいた場合も、早めの受診が望まれます。放置すると症状が悪化し、生活の質を下げるだけでなく、心臓や代謝に大きな影響を及ぼすこともありますし、腫瘍であれば進行する可能性もあるため、早めの診断・治療が重要です。
編集部
甲状腺疾患の検査は、どのようにおこなわれるのでしょうか?
蛭間先生
血液検査で甲状腺ホルモンや自己抗体の値を調べ、必要に応じてエコー(超音波)で甲状腺の状態を確認します。いずれも体に負担の少ない検査です。しこりがある場合は、良性か悪性かを判断するために「細胞診」が必要になります。細胞診は、採血と同じくらいの細い針で腫瘍から細胞を採取して調べる検査です。血液検査は一般内科でも可能ですが、細胞診をおこなえる医療機関は限られています。二度手間を避けるためにも、受診前に細胞診ができるかどうかを確認しておくと安心です。
編集部
甲状腺疾患の治療についても教えてください。
蛭間先生
甲状腺疾患の治療は、ホルモンの過不足を整える薬物療法が基本で、病気の種類や重症度に応じて放射線治療や手術が選択されることもあります。
編集部
甲状腺疾患の初期症状について、ほかに伝えたいことがあればお願いします。
蛭間先生
バセドウ病では、年齢によって症状の出方が異なることに注意してください。典型的なものとしては「動悸」「甲状腺の腫れ」「眼球突出」の3つが知られていますが、小児では落ち着きのなさや学力低下、夜尿などをきっかけにバセドウ病がみつかることもあります。高齢者では体重減少や疲れ、気分の不調といった症状が目立ちます。小児バセドウ病患者のうち、およそ40%以上が注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)の基準を満たしてしまうとの報告もあります。子どものそわそわ感や集中力のなさが気になったり、また大人でも気分の不調が続いたりする場合には、一度甲状腺の検査を受けてみてほしいと思います。
編集部まとめ
甲状腺は小さな臓器ですが、全身の代謝を調整する大切な役割を担っています。疲れや体重変化、動悸などの症状は日常の不調と混同しやすいため、早めの気づきと検査が大切です。さらに、気分の不調や落ち着きのなさも甲状腺疾患の症状の1つとのことでした。気になる症状がある人は、甲状腺の専門医に早めに相談し、早期発見と安心につなげましょう。

