■温湿布を痛みの症状だけで貼るのは注意が必要!?
痛みを軽減するために「罨法治療」を行うことがあります。日本薬学会のホームページには、「罨法(あんぽう)とは、患部に温熱(温罨法)または寒冷(冷罨法)の刺激を与えて、炎症や充血、疼痛を緩和し、病状の好転、患者の自覚症状の軽減をはかる治療法。」とあり、下記を紹介しています。
冷罨法 乾性冷罨法・・・水枕、氷嚢、CMC製品(アイスノンⓇ)など 湿性冷罨法・・・冷湿布
温罨法 乾性温罨法・・・電気あんか、湯たんぽ、カイロなど 湿性温罨法・・・温湿布など
冷湿布や温湿布は、「疼痛を緩和し自覚症状の軽減をはかる」ことが出来ます。しかしながら、炎症以外で使用するときは、使い方を理解する必要があります。
冷湿布ではなく温湿布の方が良いのかと思い、ぎっくり腰に温湿布を貼り続ける人がいます。温湿布は冷湿布同様に、貼り続けると、血行不良や神経機能の支障を起こします。あったかいと血行が良くなったと錯覚しますが、火に当たった後火から離れると寒くなるのと同じで、温め続けると貼っている部分に血液が流れ込まなくなります。冷湿布同様、元の正常な状態に戻りたいという力=整体力が低下しますので、次第に痛みが強くなり、動けなくなる確率が高くなります。
■冷罨法・温罨法療法を効果的に行う方法とは?
痛みがあるとき、それが炎症に発展するのか、はたまた内臓疾患があって痛みが出ているのかを判断することは、医学知識がない人には難解です。私が長年の臨床経験から考え、日頃患者さんに伝えている方法を、紹介します。
(冷罨法の一方法例) 1.患部に患者さんが少し冷たいと感じるくらいの冷やしたタオル(4℃程度)を当てます。冷たさを感じなくなったら取り除きます。当てている時間は人によりますが、60秒くらいです。4℃は発熱しておでこを冷やす時にも有効な温度です。
2.タオルを取り去ったあと、患部が体温に戻る程度の間(ま)(10秒ほど)をおきます。患部に手を当てて冷たさを感じなくなったら再び冷たいタオルを当てます。その際、患部が熱を帯びたら間を開けすぎです。2度目は、早く冷たさを感じなくなります。当てている時間は40秒から50秒くらいです。
3.再びタオルを取り去ったら、患部が体温に戻る程度の間(ま)(20秒ほど)をおきます。患部に手を当てて冷たさを感じなくなったら再度冷たいタオルを当てます。その際、患部が熱を帯びたら間を開けすぎです。3度目は、より早く冷たさを感じなくなります。当てている時間は30秒から40秒くらいです。
4.3回終わったら、乾いたタオルで水分を拭きとります。
冷罨法治療が終わったら、しばらく安静にして痛みの変化を待ちます。この処置法は、痛みが軽減または消失する確率が高い方法だと思っています。 上記時間の長さは、決まっているわけではありません。イメージしやすいように、あえて書いています。実際の長さは、ケースバイケースです。いずれにしても、全体では、3分程度の処置というイメージです。
(温罨法の一方法例) 1.患部に患者さんが少し熱いと感じるくらいの蒸しタオルを当てます。熱さを感じなくなったら取り除きます。当てている時間は人によりますが、30秒くらいです。
2.タオルを取り去ったら、間髪入れずに別の蒸しタオルを当てます。2度目は、早く熱さを感じなくなります。当てている時間は20秒から25秒くらいです。
3.タオルを取り去ったら、再度間髪入れずに別の蒸しタオルを当てます。3度目はさらに早く熱さを感じなくなります。当てている時間は15秒から20秒くらいです。
4.3回終わったら、乾いたタオルで蒸しタオルを当てた部分の水分(汗)を拭きとります。
温罨法治療が終わったら、しばらく安静にして痛みの変化を待ちます。痛みが消失する確率は高い処置法です。 上記時間の長さは、冷罨法の処置法同様決まっているわけではありません。いずれにしても、全体で3分程度の処置というイメージです。 温罨法治療は、からだに疲労を感じているときに有効です。また発症してから2週間以上経過している慢性期に使用します。 紹介した方法は、冷湿布や温湿布のように、鎮痛作用の薬が入っていなくても、疼痛の解消に有効です。

