
倉悠貴が主演を務めるドラマ「ある日彼女のパンティーが、」が、5月31日(日)夜11:00よりNHK総合にて放送される。日本放送作家協会とNHKが共催する「創作テレビドラマ大賞」の応募総数1056作品の中から、第49回の大賞に選ばれた加藤予備による本作は、真っすぐすぎて周りから一風変わった人に見られる夫・想太と、漫画家を目指す妻・優衣のささやかな日常を描く、ちょっぴり愉快で温かい夫婦の物語。現在は会社を休職し、家事を担当している想太。ある風の強い日、洗濯物を取りこんでいた想太は、妻の優衣のパンティーを家の前を流れる川に落としてしまう。すぐにパンティーを追うが救出は出来ず、そこから起きる大騒動や、それをきっかけに優衣が描いた漫画が2人の関係を変化させていく――。
主人公の並木想太を演じるのは、本作がNHKドラマ初主演となる倉悠貴。妻の優衣役を山下美月、優衣を担当する漫画編集者・瀬良秀樹役を風間俊介が務める。
WEBザテレビジョンでは、主人公・想太を演じた倉にインタビューを実施。最初にタイトルを聞いた時の衝撃から、リアルな視線の中で行われた撮影の裏側、そして共演する山下への絶対的な信頼まで、たっぷりと語ってもらった。
■「なんだそれは!」タイトルのインパクトと、その奥にある繊細な人間ドラマ
――NHKドラマ初主演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。
主演という意識は全くなく、タイトな撮影スケジュールだったこともあり、あっという間に終わったような感覚でした。以前から「創作テレビドラマ大賞」という賞がすごく意欲的な作品を生み出しているということは知っていたのですが、『ある日彼女のパンティーが、』という「なんだそれは!」と思うようなタイトルのドラマのオファーをいただいたので、ぜひこれは気になるな、というところが出発点でした。
――最初に台本を読まれたときの印象や、物語の魅力についてはいかがでしたか?
タイトルのインパクトはもちろんありますが、実際に脚本を読んでみると、パンティーが出てくるのは割と前半だけなんです。後半は夫婦としての形についてや、想太と優衣の成長のドラマだなと思いました。想太というキャラクターが僕の中にスッと入ってきたので、これはぜひやらせていただきたいなと思ってお受けしました。
――CGなどもふんだんに使用したドラマになっていると伺いました。
そうなんです。脚本を読んだ段階ではどうやって撮るのだろう?というシーンが結構多くて(笑)。(自分から見える景色を記録しようと)想太が頭にアクションカメラを付けることなどは、確かに衝動的な人だったらやってしまうことかもしれないと自分の中で咀嚼はできていたんです。でも、川にパンティーが流れていってそれを追いかけたり、頭の周りにパンティーが飛んでいる場面だったり、想像できない部分が多くて。撮影に入る前はどういう撮影になるのだろうという気持ちでした。モノローグもすごく多い作品なので、どのように進めていくのがいいのかなということは、山下(美月)さんとも話し合いながら進めていきました。
■キャラクターっぽくしたくない「衝動的な個性」に共感した役作り
――想太という主人公を演じる上で、意識したことはありますか?また、彼のどのようなところに魅力を感じていましたか?
想太という人物を演じる上で、あまりキャラクターっぽくしたくないなという思いが僕の中に強くありました。想太の衝動や行動を、一つの個性として捉えたかったんです。彼の魅力は、やっぱり真っすぐで嘘をつけないというところ。そして、想太と優衣は恋人ではなく夫婦なんですよね。その点もすごく大切なポイントだと思っていて、なぜこの2人は夫婦になったのか、また2人ならではの“ノリ”も大切にしました。
――役作りにおいて、特に意識したことはありますか?
意識して歩き方を変えてみるなど、そういうことはこの作品ではやりたくないなと思っていたので、あえてそういうアプローチはしていません。必死にパンティーを「優衣!」と言って追いかけるような想太なので、その必死さが伝わった方が面白いですし、想太の純粋さ、真っすぐさが伝わるようにという点を重要視しました。
アクションカメラを付けることによって、どんどん感情が揺さぶられていくさまや、優衣が想太の優しさを感じる部分。それこそが、優衣がパートナーとして想太を選んだ理由になっていくように、その優しさや純粋さが伝わるようにと意識しました。あれほど真っすぐな気持ちを持っている人は、僕たちの生活の中でもかなり少ないと思うんですけど、それが逆に、周りからは“変な個性”というふうに見られている可能性がある。その点も意識しながら、丁寧に演じました。

■「普通って何だろう」現代社会の生きづらさと重なる、想太の繊細な痛み
――演じ終えて、特に印象に残っている大変だったシーンはありますか?
大変だったなと思うのは、雨の中、渋谷から歩いて帰ってきた想太が優衣と言い合いになるシーンです。その場面は、想太がずっと感じてきていたけれど、少し遠ざけて見ないようにしていたものが出てしまう、少し心が痛くなるようなシーンでした。でも、このシーンがあるからこそ、最終的に優衣が想太のことを好きになったんだというところにつながっていく。僕も山下さんも特別真摯に向き合った大切なシーンの一つです。
――想太を演じることで、倉さん自身が学び取ったことや考えさせられたことはありましたか?
このドラマを通して「あなたらしくいて」ということや、「普通」という言葉についてすごく考えました。例えば、普通の人も「普通」という個性だし、ちょっと変わっているなと思われることも、それも一つの個性。全員が個性の寄せ集めみたいなものなのに、それをわざわざ言葉で区別してしまうのは愛がないことだなと感じました。僕自身、「変」とか「おかしい」とか、自分でそのせりふを言っていてすごく傷ついたんです。それは多分、現代社会に生きていたら誰しも経験してしまうことだとも思います。僕も表に出るお仕事をしているので、色んなことをSNSに書かれてしまう。それで一喜一憂して傷ついたりすることもあります。でもそういうことではない、すごく優しいものがこのドラマには詰まっていると感じたんです。きついと感じる言葉も出てきますが、胸がきゅんとなる瞬間がたくさんある。だからこそ僕はこのドラマがすごく好きになりました。
■山下美月との再共演 感じた熱量と真面目な素顔
――妻の優衣を演じた山下美月さんとは再共演となりますが、改めて共演してみていかがでしたか?
「(妻役で)山下美月が受けてくれるかもしれない」という話を耳にして(笑)。山下さんの出演が決まり、クランクイン前にお会いする機会があったのですが、「めちゃくちゃ楽しみにしてる」と言ってくれてうれしかったですね。実際に現場に入ってからも、本当に熱量高く臨んでくださって。撮影スケジュールがかなりタイトだったので大変ではあったのですが、タイトだった分、なじみのある関係性の俳優さんと演じることができたのは僕自身すごくやりやすかったです。こちらが投げたらちゃんとそれが返ってくる、すごく信頼できる俳優さんなので、本当にありがたかったです。
――今回の現場で改めて感じた印象は?
すごく真面目な方。山下さんの台本を見たら、びっしり色んなものが書いてあって、「何を書いているんだろう?」と驚いたくらいです。同年代の仲間として、刺激を受け合える存在ですね。
――倉さんから見て、山下さんが演じた「優衣」という女性の印象はいかがでしたか?
最初は、すごく芯の強い女性というイメージを持っていたのですが、山下さんは僕のイメージを優に超えてきてくれました。想太の個性が強いので優衣がバランサーになるのかなと思いきや、優衣もすごく個性的で(笑)。それがいい具合のバランスになって、2人でお芝居ができたんじゃないかなと思います。劇中、2人でダンスをするシーンもあるんですけど、僕が想像していた凛とした優衣という人物像だけではなくて、色んな側面がある本当に人間らしい魅力的なキャラクターだなと思いました。


■「言葉じゃないところ」を大切にした、心地よい無言の時間
――「彼氏彼女ではなく夫婦」という関係性を描く上で、お2人の間でどんな空気感を作ろうとされていましたか?
長年一緒にいるからこそ、言葉じゃないところを大切にしようという話は山下さんともしていました。せりふやト書きでどう書かれていようと、“気まずい”“気まずくない”なんて、きっとお互いの顔を見ただけで分かるよね、と。あとは、ずっと一緒にいるからこそ全く喋らない日もあるだろうし、心地よい無言の時間も存在するはず。現場でも「間」を怖がらずに、ナチュラルにやっていこうという空気感を大切にしていました。
――想太は優衣のどんなところに特に惹かれたのだと思いますか?
想太もすごく真っすぐだけど、優衣もすごく真っ直ぐな人だと思うんです。あまり隠し事はしないだろうし、繊細で優しい人。若い2人が「専業主夫の夫と働く妻」というスタイルをとっていることも、なかなかの覚悟が必要なことだとも思います。優衣は愛がすごく大きな人だと思いますし、何もせずともお互いのことが分かっているという空気感があって、そういう居心地の良さに惹かれたのかなと思います。
■真冬の外で凍ったお寿司、そして「パンツ会議」まで愛に溢れた撮影現場
――撮影現場の雰囲気や、楽しかったエピソードを教えてください。
本当に楽しく、笑顔が絶えないすてきな現場でした。特に印象的だったのは、パンティーを釣り竿に引っ掛けて、それをスタッフさんが実際に川で流れているかのようにしてくれたことです。正直、映像としては僕の目線だけの話なので、実際にはなくても大丈夫なんです。ですが、そういう細部までこだわっていただけることに、作品への愛を感じました。劇中に出てくるパンツも、何種類もの中からどれがいいのかを決める「パンツ会議」があったみたいです(笑)。結果的にどれが選ばれたのかはドラマを見ていただきたいです。
――お気に入りのシーンや、クスッと笑ってしまったような瞬間はありましたか?
真冬の外でお寿司を食べるというシーンがあるのですが、そこはすごく好きです。優衣が想太のことを漫画に描いたことに関して話し合って、少しの気まずさはありつつも、いつもの2人に戻っていくというシーンなんですけど、お互いのことを気に掛けている優しさが詰まっているなと思います。真冬の外でお寿司を食べるって意外と悪くないなと思ったりもして(笑)。ただ、そのお寿司のマグロが寒さで凍っていて(笑)。本番中に食べたら口の中で「シャリッ」って音がして、笑いそうになっちゃいました。そういうハプニングも含めて空気感が良く、すてきなシーンになったと思います。
■目指したのは、誰もが体の力を抜いてクリエイティブになれる現場
――座長という立場で現場に立つ上で、意識されていたことはありますか?
座長としての意識はあまりなかったのですが、とにかく緊張感を作らない現場作りはしたかったですね。冬の撮影でしたが、みんなで暖房を囲んで、自然と談笑したりする時間を大切にしていました。気を遣わない仕事現場、極力ピリッとさせない現場作りを意識していました。
色んな現場を経験していく中で、張り詰めた現場になってしまうと、体に力が入って頭も固まってしまうような気がして。もちろん、緩すぎて現場が押してしまったら大変なんですけど、極力、重みを感じさせない現場作りができる俳優になりたいなと、今回の現場を通して改めて思いました。
――最後に、このドラマを楽しみにしている視聴者の方へメッセージをお願いします。
タイトルだけではどんな話なのか分からない物語だと思いますが、まずタイトルで「パンティー」と言っている、それだけでもなかなかないことだと思います(笑)。何より脚本が抜群に面白いので、ぜひ見ていただきたいです。日曜日の夜の放送なので、ドラマを見た後に、ちょっとスッキリして温かい気持ちになれる、人に優しくなれるようなドラマを目指して作りました。これは夫婦の形を描いていますが、夫婦に限らず、恋人でも友達でもこういう形があっていいよね、という一つの多様性、そして愛を感じられるドラマだと思います。
ちなみに、脚本の加藤予備さん的には、続編も書けるとのことなので、今回の放送の反響によっては、連ドラ化もあるかもしれないな、なんて僕と山下さんは考えています(笑)。ぜひ楽しみにご覧いただけたらうれしいです。


