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「大人のウイルス性胃腸炎」で下痢止めはNG? 服用に潜む“薬の落とし穴”

「大人のウイルス性胃腸炎」で下痢止めはNG? 服用に潜む“薬の落とし穴”

ウイルス性胃腸炎には、ウイルスを直接退治する薬は現時点では一般的に使われておらず、症状を和らげる「対症療法」が治療の中心です。制吐薬・整腸薬・経口補水液など、症状ごとに使われる薬や飲み物の種類と役割を整理します。回復の鍵を握る水分・電解質補給についても詳しく解説します。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

ウイルス性胃腸炎に使われる薬の種類と役割

ウイルス性胃腸炎に対しては、ウイルスを直接やっつける薬(抗ウイルス薬)は現時点では一般的に使われておらず、症状を和らげる「対症療法」が治療の中心となります。このセクションでは、使用される薬の種類と役割について解説します。

対症療法で使用される代表的な薬

ウイルス性胃腸炎の治療で使われる薬は、症状ごとに異なります。医師が処方する薬、または薬局で購入できる市販薬のいずれかを、症状に応じて活用することになります。

まず、嘔吐に対しては「制吐薬(せいとやく)」が使われます。代表的なものにメトクロプラミドやドンペリドンがあり、胃や腸の動きを整えることで吐き気を抑える働きを持ちます。ただし、医師の判断なく自己判断で服用することは避け、特に子どもへの使用は慎重な対応が必要です。

下痢に対しては「整腸薬」が用いられます。腸内の善玉菌を補うことで腸内環境を整え、下痢の改善を促します。市販の整腸薬にも含まれており、比較的使いやすい薬のひとつです。市販の下痢止め(止瀉薬)を自己判断で使用するのは避けてください。下痢はウイルスを体外へ追い出そうとする身体の大切な防御反応です。無理に下痢を止めると、ウイルスが腸内に留まり、かえって症状が長引いたり悪化したりする恐れがあります。

腹痛に対しては、腸の痙攣(けいれん)を抑える「鎮痙薬(ちんけいやく)」が処方されることがあります。発熱や頭痛には「解熱鎮痛薬」が使われますが、身体がウイルスと戦っている状態を妨げる可能性もあるため、高熱や強い痛みがある場合に限って使用するのが一般的です。

脱水予防のための経口補水液と輸液療法

ウイルス性胃腸炎の治療において、薬と同様に重要なのが「水分・電解質の補給」です。嘔吐や下痢によって失われた水分と塩分、ミネラルを補うことが回復の鍵を握ります。

経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)は、水・塩分・糖分をバランスよく含んだ飲み物で、スポーツドリンクよりも塩分濃度が高く、脱水症状の改善に適した組成となっています。市販品(OS-1など)や、医療機関で処方されるものがあります。嘔吐が激しい場合でも、少量ずつ、こまめに飲むことで身体への負担を減らしながら水分を補うことが可能です。

スポーツドリンクや清涼飲料水は糖分が多く、電解質のバランスが脱水補正には適していないため、経口補水液の代わりにはなりにくいとされています。水だけを大量に飲んだ場合も、電解質が補えないため適切ではありません。

脱水が重篤な場合や、嘔吐が激しくて口から水分が摂れない場合は、医療機関で点滴による輸液療法が行われます。点滴では失われた水分と電解質を直接血管に補うことができるため、素早い回復が期待できます。脱水のサインが見られたら早めに受診することが、重症化を防ぐために重要です。

まとめ

ウイルス性胃腸炎は大人にとっても身近な感染症であり、症状の適切な理解と早めの対処が回復の鍵を握ります。嘔吐・下痢・発熱などの症状が現れたら、まずは安静を保ちながら水分・電解質の補給を心がけてください。市販薬を使用する際は用途や使い方をよく確認し、症状が重い場合や長引く場合には、内科や消化器内科への受診を検討することをおすすめします。

参考文献

厚生労働省「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)」

厚生労働省「感染性胃腸炎(特にロタウイルス)」

政府広報オンライン「ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?」

東京都感染症情報センター「感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に)infectious gastroenteritis」

厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」

東京都保健医療局「感染性胃腸炎について」

配信元: Medical DOC

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