ある日の午後、自宅の庭先で片付けをしていると、近所で何度か見かけたことのある男の子が、突然わが家へ駆け込んできました。
「追いかけられてる! 助けて!」
息を切らし、涙を浮かべる男の子。事情を聞くと、思いがけない理由を話し始めたのです……。
庭先に駆け込んできた近所の男の子。「助けて」と涙ぐむ理由は
ある日の午後、自宅の庭先で片付けをしていたときのことです。近所で何度か見かけたことのある、小学校中学年くらいの男の子が、慌てた様子でわが家のほうへ駆け込んできました。
男の子は門の内側に入ると、「追いかけられてる。助けて。少しここにいさせて」と言ったのです。
突然のことで、私は驚きました。男の子は息を切らし、目には涙も浮かんでいます。何かあったのかもしれないと思い、まずは事情を聞くことにしました。
「大丈夫だよ。ここで話を聞くから、何があったか教えて」
そう声をかけると、男の子は涙をこぼしながら、少しずつ事情を話してくれました。見知らぬ人に追いかけられているのかと思いましたが、実際は違いました。
本当は習い事へ行くつもりだったものの、途中で公園にいた友だちを見かけ、つい一緒に遊んでしまったそうです。習い事を休んで遊んでしまったのは初めてで、そこをお父さんに見つかり、驚いて逃げてきてしまったといいます。
「どうしよう……ママにも怒られる……」
男の子はそう言って、また泣き出してしまいました。叱られることへの不安に加え、初めて約束を破ってしまったことへの後悔も重なり、自分でもどうしたらよいのかわからなくなっていたのかもしれません。
私が話を聞いているうちに、男の子は少しずつ落ち着いてきた様子でした。そこで、「お父さんに連絡しても大丈夫? 迎えに来てもらおうか」と尋ねると、男の子は涙を拭きながら、うなずきました。
男の子は持っていたスマートフォンでお父さんに電話をかけ、私も途中で電話を代わって事情を説明しました。電話口のお父さんは驚いていましたが、すぐに迎えに来ると言ってくれました。
しばらくして到着したお父さんは、男の子の姿を見ると、ほっとした表情を浮かべました。そして、泣いている男の子に「無事でよかった」と声をかけたあと、私にも何度も頭を下げ、「ご迷惑をおかけしました」と謝ってくれました。
後日、親子であらためて謝罪に来てくださり、その後は近所で会えばあいさつをする関係になりました。
困っている子どもを見かけたら、助けたいという気持ちはあります。けれど、たとえ近所で見かけたことのある子でも、すぐに家の中へ入れてよいのか迷う場面もあるのだと実感しました。
あのときは、まず男の子の話を聞いたことで、男の子も少しずつ落ち着きを取り戻し、納得したうえでお父さんに連絡することができました。
子どもは、失敗したことへの後悔や、叱られることへの不安から、思いがけない行動を取ってしまうこともあるのだと思います。困っている子どもに出会ったときは、まず落ち着いて話を聞くことが大切なのだと感じました。
著者:永田絵見/30代女性/4歳の女の子を育てている母親。義両親と同棲を検討中
イラスト:きりぷち
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)

