6月になったら急に学校へ行きたくないと言い出した。寝坊をするようになった。あまりやる気もなさそう・・・。今まで元気だったから戸惑ってしまう、どうしたらいい?そんな悩みについて、今回はなかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生にお話しいただきました。

4月に新学期が始まり、新しいクラス、新しい先生、新しい友だちとの生活がスタートしてから約2か月。最初は緊張しながらも頑張っていたお子さんが、6月頃になると「朝起きられない」「学校に行きたくない」「やる気が出ない」「なんとなく不安そう」といった様子を見せることがあります。
保護者の方にとっては、「怠けているのかな」「甘えているのかな」と感じることもあるかもしれません。しかし、6月は新生活の疲れが出やすい時期です。梅雨による気圧や天候の変化、運動不足、睡眠リズムの乱れなども重なり、心と体の不調が表れやすくなります。
いわゆる「魔の6月」は正式な病名ではありませんが、子どもにとっては『がんばり続けた疲れが見え始める時期』と考えるとよいでしょう。
まずは「疲れているサイン」として受け止める
子どもが「学校に行きたくない」と言った時、保護者は驚いたり、不安になったりします。つい「どうして?」「何があったの?」「ちゃんと行きなさい」と言いたくなるかもしれません。
ただ、子ども自身も理由をうまく説明できないことがあります。友だち関係、授業への不安、先生との相性、疲れ、睡眠不足など、いくつもの要因が重なっている場合もあります。
まずは、「そう感じるくらい疲れているんだね」「話してくれてありがとう」と受け止めてあげることが大切です。すぐに解決しようとするよりも、子どもが安心して気持ちを話せる雰囲気を作ることが、回復の第一歩になります。
朝起きづらい時は、睡眠リズムを見直す
6月の不調で多いのが、「朝起きられない」「寝ても疲れが取れない」という悩みです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠は子どもの健康、成長、学習、心の安定に関わる大切な休養であり、睡眠時間だけでなく、朝起きた時に休めた感覚があるかも重要とされています。
家庭でできることとして、まず意識したいのは「朝の光」です。朝起きたらカーテンを開けて光を浴びることで、体内時計が整いやすくなります。休日に昼近くまで寝てしまうと、月曜の朝がさらに起きづらくなることがあるため、休日も起きる時間を大きくずらしすぎないことがポイントです。
また、寝る直前までスマートフォンやゲームをしていると、眠る時間が遅くなりやすくなります。いきなり完全にやめるのではなく、「寝る30分前は画面を見ない」「充電は寝室の外でする」など、家庭で続けやすいルールを一緒に決めるとよいでしょう。
食事は『特別なもの』より朝食を大切に
心身の不調に対して、「これを食べれば必ず元気になる」という特別な食品はありません。大切なのは、毎日の食事のリズムを整えることです。
特に朝食は、体と脳を起こすスイッチになります。朝食を抜くと、午前中に集中しづらくなったり、だるさを感じやすくなったりすることがあります。食欲がない朝は、完璧な食事を目指さなくても大丈夫です。
たとえば、おにぎりと味噌汁、パンとヨーグルト、バナナと牛乳、卵かけごはんなど、食べやすいものから始めましょう。ごはんやパンなどの主食に、卵、魚、肉、大豆製品、乳製品などのたんぱく質を少し足すと、腹持ちがよくなります。
一方で、甘い飲み物や菓子パンだけで済ませると、血糖値の変動によって眠気やだるさを感じやすいことがあります。忙しい朝でも、「何か一口食べる」「たんぱく質を一品足す」くらいの気持ちで取り組むと、親子ともに負担が少なくなります。

軽い運動は気分転換にもなる
梅雨の時期は外で遊ぶ機会が減り、運動不足になりがちです。体を動かす時間が少ないと、夜に眠りにくくなったり、気分が沈みやすくなったりすることがあります。
WHOは、思春期の心の健康を支える生活習慣として、健康的な睡眠、定期的な運動、感情への対処力、家族や学校などの支えのある環境が重要であるとしています。
運動といっても、激しいスポーツをする必要はありません。雨の合間に10分歩く、家の中でストレッチをする、親子で買い物に歩いて行く、階段を使うなどで十分です。
大切なのは、「運動しなさい」と言うよりも、「一緒に少し歩こうか」と誘うことです。向かい合って話すのが苦手な子でも、並んで歩いている時のほうが、ぽつりと本音を話しやすいことがあります。
「学校に行く・行かない」だけで考えない
子どもが登校をしぶる時、保護者は「休ませていいのか」「無理にでも行かせるべきか」と悩みます。しかし、選択肢は二つだけではありません。
たとえば、「1時間目だけ休む」「保健室登校を相談する」「担任の先生に朝の様子を伝える」「別室で過ごせるか確認する」など、段階的な対応ができる場合があります。
文部科学省は、保護者が子どもの悩みや変化に気づいた場合、学校に積極的に相談すること、学校側も必要に応じて関係機関と連携することの重要性を示しています。
家庭だけで抱え込まず、担任の先生、養護教諭、スクールカウンセラーなどに早めに相談しましょう。「このくらいで相談してよいのかな」と迷う段階で相談して構いません。
受診や専門家への相談を考えたいサイン
生活リズムを整え、休息を増やすことで改善する不調もあります。ただし、次のような様子が続く場合は、小児科、心療内科、児童精神科、地域の相談窓口などへの相談を考えてください。
〇眠れない、または寝ても疲れが取れない状態が続く
〇食欲が落ちている、体重が減っている
〇頭痛、腹痛、吐き気などで生活に支障が出ている
〇好きだったことに興味を示さなくなった
〇涙もろい、イライラが強い、表情が乏しい
〇学校や家庭での生活が明らかに難しくなっている
〇「消えたい」「いなくなりたい」などの言葉がある
特に、自分を傷つける発言や行動がある場合は、様子を見ず、すぐに周囲の大人や専門機関につなぐことが大切です。文部科学省は「子供のSOSの相談窓口」など、子どもや保護者が相談できる窓口を案内しています。
保護者自身も疲れていることを忘れずに
子どもの不調に気づくためには、保護者自身の心身の余裕も大切です。4月からの新生活で、送迎、弁当、行事、仕事との両立など、保護者も知らないうちに疲れをためています。
子どもに優しくしたいのに、つい強く言ってしまう日もあるでしょう。そんな時は、自分を責めすぎないでください。親も子も、6月は少しペースを落としてよい時期です。
「早く元気にしなければ」と焦るより、睡眠、朝食、軽い運動、安心して話せる時間を少しずつ整えていきましょう。そして、家庭だけで抱え込まず、学校や専門家の力を借りることも大切です。
6月の不調は、子どもからの「少し疲れたよ」というサインかもしれません。そのサインに早めに気づき、親子でがんばりすぎない工夫を重ねることが、心と体を守ることにつながります。
※草案作成・校閲の⼀部に⽣成AIを使⽤しています。
執筆者

中澤佑介
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長
[プロフィール]
【資格】金沢医科大学 医学博士、日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
2003年 京都府洛南高等学校 卒業
2012年 金沢医科大学 医学部医学科 卒業
2012年 金沢医科大学 氷見市民病院 初期臨床研修医
2014年 金沢医科大学 泌尿器科学 助教
2019年 金沢医科大学 大学院 博士課程修了
2021年 誠美会 池田クリニック(非常勤)
2021年 なかざわ腎泌尿器科クリニック 院長
2023年6月 JR金沢駅前にメンズヘルスクリニック(Gran Clinic)を開院。
2024年9月 JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニックを開院。
※Gran Clinicは自由診療部門Granとして併設
患者さんに近い立場で専門的治療を提供したいという想いから、クリニックを開設。男性だでけなく、女性にも身近な泌尿器科クリニックを目指しています。

