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「PCOS」の症状は“大人ニキビ”?女性の『3つの原因』と改善効果【医師監修】

「PCOS」の症状は“大人ニキビ”?女性の『3つの原因』と改善効果【医師監修】

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣内に小さな卵胞が多数たまり、排卵が正常に行われにくくなる状態です。LHとFSHのホルモンバランスが崩れることで、男性ホルモンが過剰に産生されます。この記事では、そのメカニズムと月経・排卵・日常生活への具体的な影響について、わかりやすく解説します。

西野 枝里菜

監修医師:
西野 枝里菜(医師)

【経歴】
東京大学理学部生物学科卒
東京大学薬学部薬科学専攻修士課程卒
名古屋大学医学部医学科卒
JCHO東京新宿メディカルセンター初期研修
都立大塚病院産婦人科後期研修
久保田産婦人科病院
【保有資格】
産婦人科専門医
日本医師会認定産業医

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) が女性の身体に与える影響

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、女性の生殖機能や全身のホルモンバランスに広範な影響をおよぼす疾患です。このセクションでは、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) が女性の身体にどのような変化をもたらすのか、そのメカニズムとともに具体的に説明します。

ホルモンバランスの乱れとその仕組み

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、卵巣の中に小さな卵胞(らんほう)が多数たまり、排卵が正常に行われにくくなる状態です。健康な状態では、毎月いくつかの卵胞が育ち始め、その中で最も成長した一つの卵胞だけが成熟して排卵が起こります。しかし多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) では、このLHとFSHのバランスが崩れ、特にLHが過剰に分泌される傾向があります。

その結果、卵巣では男性ホルモン(アンドロゲン)が必要以上に産生されるようになります。男性ホルモンが増えると、卵胞の成熟が妨げられ、小さな卵胞が卵巣内に複数たまった状態が続きます。これがエコー検査(超音波検査)で観察されると、卵巣の外周に小さな粒が連なって見えるため「多嚢胞性」という名前がつけられています。排卵が起こらなければ、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌も十分に行われず、月経周期が長くなったり、月経が来なくなったりします。

さらに、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) ではインスリン抵抗性(身体がインスリンの働きに反応しにくくなる状態)を伴うことも多く、これが男性ホルモンの過剰分泌をさらに促進させる悪循環につながるとされています。インスリン抵抗性があると、膵臓(すいぞう)がより多くのインスリンを分泌しようとし、その高インスリン血症が卵巣を刺激してアンドロゲンの産生を高めます。このホルモンの連鎖が、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) の症状を複雑にしている一因です。

月経不順・無排卵が引き起こす具体的な症状

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) によって起こる身体への影響は、月経に関するものだけではありません。ホルモンバランスの乱れは、女性の日常生活のさまざまな面に波及します。

月経に関しては、月経周期が39日以上になる「稀発月経(きはつげっけい)」や、3ヶ月以上月経が来ない「無月経」が代表的な症状です。また、排卵が起こらないために基礎体温が二相性(排卵を境に低温期から高温期へと移行するパターン)を示さず、いつ排卵しているのかがわかりにくいという特徴もあります。

男性ホルモンの増加に伴う症状としては、顔や背中へのニキビ、体毛が濃くなる(多毛症)、頭髪が薄くなるといった変化が見られることがあります。これらは、男性ホルモンが皮脂腺や毛包(もうほう)に作用するために起こります。また、体重が増えやすくなったり、なかなか体重が減らなかったりするという悩みを抱える方も少なくありません。

不妊の原因としても多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は知られており、排卵が不規則または起こらないために妊娠しにくい状態になります。妊娠を望んでいる方にとっては、早期に適切な対応を検討することが大切です。さらに、長期的に排卵が起こらない状態が続くと、子宮内膜が厚くなり続けることで子宮内膜増殖症(しきゅうないまくぞうしょくしょう)のリスクが高まる可能性もあります。このように、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は月経の問題にとどまらず、全身のホルモン環境や将来の健康にも影響をおよぼし得る疾患です。

まとめ

多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS) は、ホルモンバランスの乱れによって月経不順や排卵障害、男性ホルモン過多などの症状をもたらし、長期的には代謝や精神的健康にも影響をおよぼす疾患です。遺伝的背景や生活習慣が発症に関与しており、薬や生活習慣の改善によって症状の管理が可能です。「もしかして」と感じたら、まず婦人科・産婦人科や内科に相談することをおすすめします。

参考文献

日本産科婦人科学会「本邦における多囊胞性卵巣症候群の治療指針(full version)」とアンケート調査結果について」

日本産科婦人科学会「多囊胞性卵巣症候群に関する全国症例調査の結果と本邦における新しい診断基準(2024)について 」

厚生労働省 「令和3年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 」

配信元: Medical DOC

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