食事からの鉄分補給だけでは不足が続く場合、サプリメントの活用や医療機関への相談も選択肢のひとつです。市販の鉄分サプリと医療機関で処方される鉄剤にはそれぞれ特徴があり、選び方や服用のタイミングも大切なポイントになります。生活習慣の見直しも含めた、隠れ貧血への総合的なアプローチについて詳しく紹介します。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
鉄分不足(隠れ貧血)の取り方②:サプリメントと医療機関での対処法
食事だけでは鉄分の補給が難しい場合や、鉄分不足が疑われる場合には、サプリメントの活用や医療機関への相談を検討することも選択肢のひとつです。このセクションでは、サプリメントの活用法や医療機関での検査・治療について解説します。
鉄分サプリメントの種類と選び方
市販の鉄分補給アイテムには、健康食品としてのサプリメント(ヘム鉄など)と、第2類医薬品などの市販薬(フマル酸第一鉄などを含むもの)があります。ヘム鉄タイプは比較的吸収されやすく、胃への刺激が少ない傾向があるとされています。一方、非ヘム鉄タイプは含有量が多い製品も多く、医療機関で処方される鉄剤にも多く用いられています。
サプリメントを選ぶ際には、鉄の含有量だけでなく、ビタミンCや葉酸、ビタミンB12などが一緒に配合されているものを選ぶことで、鉄の吸収や赤血球の生成をサポートできる可能性があります。ただし、鉄分の過剰摂取は身体に負担をかける場合があるため、1日の目安量を守って使用することが大切です。
また、サプリメントはあくまで食事を補う位置づけであり、隠れ貧血が疑われる場合には、自己判断で長期間続けるのではなく、医療機関で相談することが勧められます。
医療機関での検査と鉄剤処方について
隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)の診断には、一般的な血液検査だけでなく、血清フェリチン値(体内の鉄の貯蔵量を示す指標)の測定が重要です。ヘモグロビン値(赤血球に含まれるたんぱく質の量)が正常範囲内でも、フェリチン値が低い場合には、鉄の貯蔵量が低下している可能性があります。
医療機関では、鉄欠乏の程度に応じて鉄剤が処方されることがあります。内服の鉄剤は、食後に服用することで胃腸への刺激を和らげる場合が多く、服用期間中は便が黒くなることがありますが、これはよくみられる変化です。服用に際して気になる症状が現れた場合には、処方した医師に相談することが大切です。
内科や血液内科、婦人科などを受診することで、適切な検査と治療について相談できます。自覚症状が続く場合には、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
隠れ貧血を改善するための生活習慣の見直し
鉄分の補給と同時に、鉄分が失われやすい生活習慣を見直すことも重要です。たとえば、足裏への強い衝撃を繰り返すスポーツ(長距離ランニングなど)では、足の裏で赤血球が壊れること(溶血)があり、発汗などによっても鉄が失われやすくなるとされています。適度な運動量を保ちながら、必要に応じて鉄分を補うことが大切です。
また、過度なダイエットや偏食は、鉄分だけでなく、たんぱく質・ビタミンなど、鉄の利用に関わる栄養素が不足する原因にもなります。特に若い女性に多いカロリー制限中心のダイエットは、鉄分不足のリスクを高める可能性があります。
睡眠不足や強いストレスは、食生活の乱れや体調不良につながることがあります。鉄分の補給だけでなく、身体全体のコンディションを整える視点で生活習慣を見直していくことも大切です。
まとめ
鉄分不足(隠れ貧血)は、見た目にはわかりにくいものの、日常生活に影響を与えることがあります。食事からの鉄分補給や適正量の把握、女性特有のリスクへの対策を意識することが大切です。疲れやだるさ、集中力の低下など気になる症状が続く場合には、医療機関で相談してみましょう。内科や婦人科など身近な医療機関への相談が、改善への第一歩につながります。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省 e-ヘルスネット「鉄」
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